見出し画像

人間力は「説明の巧さ」に表れる。


最近テレビを見ていてすごく勉強になったことがあった。
MISIAの代表曲「Everything」のコード進行のテクニックについてだ。

説明はアレンジを担当した富田ラボさんと「モテキ」など映画やCM 等の楽曲提供をしている岩崎太整さんのお二人。
岩崎太整さんの分析も分かりやすかったのだけれど、ほほーぅと唸ってしまったのが富田ラボさんの話だった。

作曲者から曲を預かると、まずはメロディのみを抜き出してそのメロディに富田さんのイメージするコード(和音)を新しくつけ直す。

和音は音数を増やしたり減らしたりすることでキャラクターが変わる。

例えばドミソの和音にもう1音、どんな音を足すか、どこの音を抜くか、それによって響きが異なるのだ。
暗め、明るめ、ちょっと暗め、ふわっとした感じや、不安で緊張した感じなど。

目玉焼きにソースをかけるのか、醤油をかけるのか、はたまた塩なのか、味のバリエーションみたいなものである。
こってり行きたければソースだし、和風に味わいたければ醤油、シンプルあっさりめで塩と言ったところだろうか。


実際にどんなコードを当てはめるかメロディから情景をイメージして当てはめるらしい。
「Everything」は7分もの長い曲なので(普通は5分位)、中弛みしないようコード進行を終始次に繋がるように作り、
一つのフレーズが終わっても、コードだけは完結することなくサビへの階段を徐々に登っていくような作りにすることで、その高揚感が聴き手の興味を薄れさせない仕組みになっていると言うのだ。

なので、曲の中に抑揚が生まれ7分という時間を長く感じない仕掛けとなっている。

言われてみれば、バラードだがそんな長い曲だと感じたことはない。

内容は本当に専門的なことだが、この説明が本当に解りやすい。
平たくいえば、物語を書くのと同じであるし、絵を描いて色を塗るのとも同じである。
それを音で表現していると言うだけだ。

専門的なことを理解しやすくすることで、知識のある人間はその専門性が面白く、知識のない人間には理解が深まり興味が湧く。

この番組の凄いところは、「説明の巧い」プロを起用し、初心者〜プロまでが楽しめる内容に仕上げていることだ(ゲストやレギュラーに超初心者を置いていることで初心者の共感も得られる)。
情報番組や経済番組で分かりやすいものはあるが、ここまで効率良く作られている番組は少ない。

何かを人に説明するとき、相手によって理解度や価値観が違うため上手く伝わらないことは多々ある。

こう言った場合、相手によって説明の仕方を変えたり、万人が分かるように話を噛み砕いて説明する必要がある。

この噛み砕いて説明できるかどうかは、要点やポイントを上手く取り出してシンプルで簡潔にする能力
相手の立場に立ってどう表現すれば解りやすいかと言うことを考えられるかが鍵になる。

やはり慮る力が必要になる訳である。
相手の事を考えられるからこそ、解りやすい説明ができるのだ。

「解りやすく説明できる力」もはやこれはその人の資質であり、人柄を表すものとさえも言えるのではないか。
コミュニケーションの核でもある。

これができれば、仕事もプライベートも、奥さんへ弁明するときも大いに役立つと思う。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?