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おさなななじみ。【完結】

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幼馴染みである遥香のことが好きだった、主人公の〇〇。 しかし、ある日 遥香から「彼氏ができた」と伝えられて....
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おさなななじみ。1

おさなななじみ。1

子供の頃からずっと一緒にいたからこそ
恋愛的に好きになった。

子供の頃からずっと一緒にいたからこそ
恋愛的には好きにならなかった。

こと恋愛において、"幼馴染"というものほど

こうも二極化されてしまう存在はないと思う。

『はいこれ。〇〇に。』

そして、俺達の場合

俺は前者で、遥香は後者だった。

部活で忙しかった土曜に比べて

することもなければ、
したいこともなかった、そんな虚無の日

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おさなななじみ。2

おさなななじみ。2

それから、
2ヶ月くらい経って、気温が上がった7月。

2ヶ月も経てば、
季節のように環境もそれなりに変わる。

最もわかりやすい変化といえば
俺の周りから、ほぼ完全に遥香が消えた事だ。

遥香とは今年からクラスが違くなったものの
まだ話すことが多かったし

休みの日には、よく家に遊びに来てた。

けど、今はそれが全くない。

まぁ、彼氏がいるんだから、
そっち優先なのは、当然っちゃ当然。だけど.

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おさなななじみ。3

おさなななじみ。3

『ど、どう...かな?』

そう言いながら
自信なさげに試着室から出てくるさくら。

いったいなんでそんなに自信がなさそうなのか
不思議に思ってしまうくらい

「うん。めっちゃいいじゃん。似合ってる。」

正直、めちゃくちゃ似合っていた。

『そ、そう...?...んふふっ。』

『じゃあ、これにしようかなぁ...』

「えっ?」

『えっ?』

「あ、いや...せっかくだから、他の服も見て着てみ

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おさなななじみ。4

おさなななじみ。4

「ん......あっっつ......」

目が覚めたら、すぐにエアコンをつける。

すると、冷風が出てきて
8畳ほどの部屋はすぐに涼しくなった。

時計を見ると時刻は既に10時過ぎ。

しかし、学校に遅刻する...と焦る必要はない。

なぜなら、うちの高校は先週から

"夏休み"に入ったからだ。

...とはいえ、
夏休みだからって何があるわけでもない。

特に今年は

『いつまで寝てんの?遊びに

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おさなななじみ。5

おさなななじみ。5

「っー......ふぅ...」

区切りのいいところまで読み終えたので
座ったまま、1度ググッと背伸びをする。

スマホを見ると、18時を少し過ぎていた。

そのため、席から立ち上がり
まだ本を読んでいるさくらの肩をトンと叩く。

すると、さくらはビクッとして振り向いた。

「(読んでるとこごめん。)」

「(もう6時過ぎだから、本は借りてそろそろ帰ろうと思ったんだけど...さくらはどうする?)」

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おさなななじみ。6

おさなななじみ。6

「はぁ...ただいまー......」

19時過ぎ、今日は部活が午前からあったせいで
疲れ果てて帰ってきた。

汗を吸った服が肌に張り付いて気持ち悪い。

とりあえず、カバンを玄関に置くと
母さんが「おかえり〜。」とやって来る。

「ご飯できてるけど、先お風呂入る?」

「ん。そうする。汗やばいし。」

そう答えて、その場で上を脱ごうとすると

「ちょっとあんた、洗面所で脱ぎなさいよ。」

いつも

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おさなななじみ。7

おさなななじみ。7

『よいしょー!』

ぼふっ...と、遥香は俺のベッドに飛び込む。

「はぁ...勝手に人のベッドに飛び込むなよ。」

『ふん、これくらいいい...で...しょ!』

それから、枕を俺に投げつけ
遥香はエアコンをピピピッとつけた。

ここは俺の部屋なのに
あたかも自分の部屋かのように遥香は扱う。

けど、これが不思議と嫌な感じはしない。

むしろ懐かしい感じがする。

なんやかんや夜飯の時間を経て

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おさなななじみ。8

おさなななじみ。8

『ご、ごめん...!おまたせっ...!』

待ち合わせの場所に立っていると
声が聞こえて振り返る。

そこには、浴衣を着たさくらが立っていた。

「ぜ、全然。俺も...今来たとこだし。」

いつもと雰囲気がガラリと違うその姿を見て
"何故か"心がドキッとする。

...いや、違う。ドキッとした原因は

"さくのこと、好きなの?"

あの日の遥香の言葉が
さくらを見て、再び俺の頭を過ぎったからだ。

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おさなななじみ。9

おさなななじみ。9

「あのさ、今から花火でもやんない?」

22時。手持ち花火のでかいセットを持って
インターホンを鳴らし、話しかける。

『...いいけど、なんで急に?』

すると、玄関のドアが開いて

Tシャツにハーフパンツという、薄いラフな格好の幼馴染がサンダルを履いて出てきた。

『っていうか、花火って。
ついさっき、さくと見てきたんじゃないの?』

「あぁー、うん。まぁな。」

「でも、打ち上げと手持ちは全

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おさなななじみ。終

おさなななじみ。終

子供の頃からずっと一緒にいたからこそ
恋愛的に好きになった。

子供の頃からずっと一緒にいたからこそ
恋愛的には好きにならなかった。

漫画やアニメの話の中にもあるように

恋愛において、"幼馴染"って関係ほど

ここまで分かれてしまう存在はないと思う。



「だから!教えねぇっての!」

そして、私達の場合

私は前者で、〇〇は後者だった。

放課後、職員室に呼び出されてたある日。

先生と

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おさななじみ。[9→救]

おさななじみ。[9→救]

*注
必ず『おさなななじみ。10』を読んでから
こちらの話を読んでください。

もし、あの日

『さくのこと、好きなの?』

なんて言わなければ

もし、違う言葉を言っていたら

さくちゃんと○○はどうなっていたんだろう。

...って、そんなこと
今更、考えたところで意味ないのに。

『......最低だ、私。』

ただの幼馴染のくせに。

この話は
『おさなななじみ。7』から始まります。

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