見出し画像

おさなななじみ。2


それから、
2ヶ月くらい経って、気温が上がった7月。

2ヶ月も経てば、
季節のように人間関係もそれなりに変わる。



最もわかりやすい変化といえば
俺の周りから、ほぼ完全に遥香が消えた事だ。


遥香とは今年からクラスが違くなったものの
まだ話すことが多かったし

休みの日には、よく家に遊びに来てた。



けど、今はそれが全くない。



まぁ、彼氏がいるんだから、
そっち優先なのは、当然っちゃ当然。だけど...


それでも最近は
顔を合わせることすら、少なくなったと思う。




『ね、ねぇ...今のさくの話聞いてた?』




「へっ?
あ、あぁ...ごめん。完全にボーッとしてた。」




で、その代わりに......というほどでもないが
同じクラスのさくらとよく話すようになった。


さくらは遥香が高校で最初に仲良くなって
その繋がりで、たまに話すようになった友達。


けど、最近は"たまに"どころか毎日、毎時間
何なら、LINEの方でも話してる。


さくらは大人しくて寡黙なイメージだったから
ここまで話すようになったのは意外だった。

でも、遥香がさくら以上にうるさかったことで
相対的にそう見えていただけかもしれない。




「で、なんて?」




『だ、だから、その...』


『き、今日の放課後...さくの買い物に一緒に付き合ってほしいなぁ...って...』




「買い物?あー......」




今日の放課後は一応、部活がある。

それをサボってまで、
さくらの買い物に付き合いたいかといえば...


...まぁ、いっか。友達の頼みだし。




「別にいいけど。なに買いにいくの?」




『え、えーっ...なんだろう......』


『服...とか?』




「服...」




さくらとのその会話に、
若干、嫌な思い出が蘇った。


...が、そのことは今とは関係ない。




「...そ。服ね。」


「でもいいの?一緒に買いに行くのが俺なんかで。俺、さくらの私服見たことないけど...。」




『う、うん...!
だって、〇〇の意見が欲しかったから...!』




「...?そ、そう...?」




さくらの言ったことに少し違和感を覚えたが

とりあえず、
放課後、さくらと買い物に行くのが決まった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?