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スペイン・バスク地方のシードルハウス(Sagardotegi)でシードルと伝統料理を楽しもう!

バスク地方はスペインとフランスの国境をまたぎ独自の文化と言語を持つ地域です。 スペイン・バスクはバスク州とナバーラ州の2州で構成され、さらにバスク州はアラバ県 、ビスカヤ県 、ギプスコア県 の3県で成り立っています。

スペイン・バスク地方におけるシードルの生産と消費は、特にギプスコア県(Gipuzkoa)で盛んです。

ギプスコア県の中でも、アスティガラガ、ウスルビル、エルナニといった町がシードルの主要な生産エリアとして知られています。

アスティガラガは特に「シードルの都」とも呼ばれるほど、多くのシードルハウス(Sagardotegi / Sidrería)が存在し、多くの人々がシードルを楽しむために訪れます。シードルハウスでのシードルの直接の注ぎ方や、特定の時期に開催されるシードルのテイスティングイベントなど、この地域のシードル文化は深く、多くの人々に愛されています。

シードルハウス(Sagardotegi)とは?

シードルハウス(Sagardotegi)はバスクのシードルハウスを指します。これは、シードルを生産する場所であり、同時に地域の人々が集まってシードルを楽しむ社交の場ともなっています。シードルハウス(Sagardotegi)では、伝統的なバスク料理とともにシードルが提供され、ゲストはタンクから直接シードルを注ぐ独自の方法で楽しむのが一般的です。
*「Sagardotegi サガルドテギ」はバスク語です。バスク語で「sagar」は「リンゴ」を意味し、一方「dotegi」は「醸造所」や「貯蔵庫」を意味します。したがって、「Sagardotegi」は「シードル醸造所」や「シードルの家」を意味します。バスク地方において、これはシードルを生産し、同時に伝統的な料理を提供するレストランや施設を指す言葉として使われます。「Sagardotegi」のスペイン語の対応する言葉は「Sidrería」です。スペイン語の「Sidrería シドレリア」はシードル(Sidra)を提供する場所、つまりシードルハウスやシードル醸造所を意味します。

シードルハウス(Sagardotegi)の役割

シードルハウス(Sagardotegi)は、シードルの製造、保存、そして直接顧客に提供する場として機能していました。ここでの食事は、シードルの味を最大限に引き出すためのものでした。伝統的な料理としては、コダのオムレツ、ステーキ、羊のチーズ、くるみがあります。シードルハウス(Sagardotegi)の訪問は、シードルを試すだけでなく、地域の文化や伝統を体験する機会でもありました。

シードル、羊のチーズ、くるみ シードルハウスにて

シードルと伝統料理のペアリングを楽しもう!

シードルハウス(Sagardotegi)はシードルと共に伝統的な料理を提供する場所として知られています。主な料理には以下のようなものがあります。

バカラオのオムレツ(Torta de bacalao): 塩で調味された鱈から作られるシンプルだが風味豊かなオムレツです。

バカラオのオムレツ(Torta de bacalao)

チュレタ(Chuleta): 骨付きの大きな牛のステーキで、炭火で焼かれるのが特徴です。通常、大きなグループで分け合って食べられることが多いです。

チュレタ(Chuleta)

炒めたバカラオ(Bacalao a la vizcaína): オリーブオイルとニンニクで炒められた塩鱈。トマトやピーマンを使用することもある。風味が濃く、バスク料理の中でも特に人気のある一品です。

炒めたバカラオ(Bacalao a la vizcaína)

マルミタコ(Marmitako): マグロ、じゃがいも、ピーマン、玉ねぎなどを使ったシチュー。特に漁師の間で人気の料理として知られています。

マルミタコ(Marmitako)

タルタ・デ・ケソ(Tarta de queso): バスク地方の伝統的なチーズケーキ。とてもクリーミーで濃厚な風味が特徴です。

タルタ・デ・ケソ(Tarta de queso)

これらの料理は、バスク地方のシードルとともに楽しむのが一般的です。シードルは特有の発酵プロセスで造られ、独特の風味を持っています。シードルハウスでの体験の一部として、巨大な樽から直接シードルを注ぐのが伝統となっています。

知っておいた方が良いシードルハウス(Sagardotegi)でのマナーや習慣

シードルハウス(Sagardotegi)はバスク地方の伝統的な文化と歴史を体験する場所ですので、行く前に知っておくと良いマナーや習慣がいくつかあります。以下にそのポイントをまとめました。

シードルの注ぎ方(escanciar):シードルハウスには自分でシードルを注ぐ場面が多くあります。シードルは少量ずつ高い位置からグラスに注ぎます。
これはシードルに空気を混ぜ、風味や香りを引き出すための方法です。シードルを注ぐのが初めての場合は、スタッフや他の客にどのように注ぐかを見て、真似すると良いでしょう。

Txotxのシーズン:年初めの数ヶ月間は「Txotx」のシーズンとされ、シードルハウスの樽が公開され、直接シードルを試飲できる期間です。
この言葉は樽からシードルを注ぐ際の伝統的な合図でもあります。この期間中は特に混雑するので、事前に予約をしておくことをおすすめします。
*Txotx(チョッチ)は、バスク地方の伝統的なシードルの樽を開ける儀式や、その際の合図を指します。樽の蛇口を開ける際に「Txotx!」と叫び、参加者がグラスで直接シードルを受け取るというのがその特徴です。これはシードルを楽しむ際の一つのイベントともなっており、参加者が集まって楽しむことが多いです。

食事との組み合わせ:シードルハウス(Sagardotegi)での食事は一般的にコース形式で、一つずつ提供されるのが一般的です。

食事のマナー:伝統的なシードルハウス(Sagardotegi)では、大きな共同のテーブルで食事を楽しむことが一般的です。隣の人との距離が近くなるため、他の客のスペースを尊重し、親しみやすい態度で接することが大切です。

飲み放題ではない:一部のシードルハウス(Sagardotegi)では、一定の料金で飲み放題のスタイルが取られることもありますが、
全てのシードルハウス(Sagardotegi)がそうではありません。料金やシステムについて入店時や予約時に確認しておくと良いでしょう。

地元の言葉を覚える:バスク地方ではスペイン語とバスク語が話されています。基本的な挨拶や感謝の言葉をバスク語で覚えておくと、地元の人々とのコミュニケーションがスムーズになります。

シードルハウス(Sagardotegi)での体験は、飲食だけでなく、文化や地域性を感じることができるものです。これらのマナーや習慣を意識することで、より一層の体験を楽しむことができるでしょう。

シードルを通して地域に息づく伝統と文化

バスク地方のシードルの歴史は、古代からの飲み物として知られ、少なくとも中世まで遡ることができます。シードルにはこの地域の歴史や文化が刻まれています。シードルハウス(Sagardotegi)では、バスクの深いシードル文化や伝統、習慣、そして地域の食文化を直接体験することができるのです。


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