Traveling Alice

旅の途中の考え事💭これまで訪れたステキな場所、忘れられない出来事をつづっています。

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就活をやめて憧れの地へ旅立った日のこと

引き出しの奥に眠る赤いパスポート。もう10年近く前、このパスポートを手にして旅立った、あのめまぐるしい一日が懐かしい。 *** まだ寒い春だった。 成田空港第1ターミナルの北ウイングで、私は母に手を振った。この日を心待ちにしていた私は笑顔だったが、母は複雑な表情だったと思う。口にしないが内心かなり心配しているようだ、と兄から聞いていた。 23番ゲートの前でひとり、イスに座ったところで急に涙が込み上げてきた。国内の一人旅すらしたことがないのに、突然海外へ行くなんて。英語

    • はるか彼方の宝島

      私にとって海は特別なものだった。ここぞというときにだけ連れて行ってもらえる、遠い遠いところ。幼い頃は異国の地という感覚だったかもしれない。 2年前に母と二人で訪れたときの旅路を振り返ってみる。 まずは羽田空港へ… この時点で自宅から1時間前後。 飛行機に乗って2時間半の空の旅。 那覇空港に到着。 空港のお土産ショップを覗きたい気持ちを抑え、バス乗り場へ急ぐ。(一本逃すと大変) 北部へ向かう「エアポートシャトル」か「やんばる急行バス」に乗る。 私が乗ったエアポート

      • 黒猫と目が合った

        オックスフォードに滞在していたとき、カルチャーショックのようなものを体験した。語学学校へ向かう道の途中で黒猫に出会った日のことだ。 「魔女の宅急便」のジジみたいなかわいい黒猫が、煉瓦造りの家の門で日向ぼっこをしていた。あまりに絵になるロマンチックな光景に、私はテンションが上がった。 ステキな物語が始まりそう! そんな気持ちを共有しようと、学校に着いてから早速みんなに写真を見せた。すると、スイス人の男の子が頭を抱えて不吉なことの前触れだと言いだした。 ほう… そんな捉え

        • 空を刺すのはビルか山か [読書旅行記]

          vol.3 余韻 最終日、朝一で東寺へ。京都駅から歩いていけるのがいい。 曇り空が似合うひっそりとした雰囲気。神社とはまた違った良さがある。そう思いながらいつかの父の言葉を思い出した。 「大人になれば寺の良さがわかるよ」 少し似てきたのだろうか。認めたくないけど。 *** 新幹線が東京駅に近づき、窓の向こうは山の代わりにビルが建つ。空が小さくて息苦しい。 目を閉じて思い浮かべる、夏と秋の間の京都。 茂る青もみじの中に息をのむほど鮮やかな赤がチラリと顔を出す。 誰も

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        • TRAIN JOURNEY
          4本
        • SKY TRAVEL
          3本

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          鳥居をくぐり夢現 [読書旅行記]

          vol.2 道中 五条の小さなビジネスホテルを拠点に、京都をめぐる4日間の一人旅。 地下鉄とバスが乗り放題になる乗車券を買った。聞こえてくる駅員さんや運転手さんの声に感動する。イントネーションが、ものすごく京都。なんて素敵な喋り方なんだろう。 駅のホームで道に迷ったときにも車掌さんが助けてくれた。私が迷子だとバレてしまったのか、運転席の窓から顔を出して丁寧に道を教えてくれた。危ない、全く逆方向に歩き出すところだった。 *** 伏見は好きな俳優さんが生まれ育った街だ。

          鳥居をくぐり夢現 [読書旅行記]

          本を読みに、京都へ。[読書旅行記]

          vol.1 旅立ち 秋のはじめ。長袖のワンピース1枚がちょうどいい季節。 旅人が行き交う東京駅の地下街でサンドイッチを買う。小さなスーツケースをコロコロ引いて、東海道・山陽新幹線のホームを目指す。 自動販売機でカフェオレのボタンを押したのに何も出てこない。もう一度ICカードをかざしてボタンを押す。ガタンと音がした辺りを探ると、350mlペットボトルが2本みつかった。 東京駅11時発のぞみ225号 動き出したと気付かないほどのなめらかな発車。 旅が、始まる。 この瞬間

          本を読みに、京都へ。[読書旅行記]

          オックスフォードのバスの中で

          ホームステイが始まってまだ1ヵ月もしない頃だったと思う。 私はすごく活動的だった。日本にいるときはインドアだったのに、とにかく毎日朝から晩までどこかへ出かけていた。 平日は語学学校で授業を受けて、そのあとは街の中心地へ出てカフェや雑貨屋さん、いろんなお店を巡った。 スーパーで買い物をしたある日の帰り道。 市街地からホームステイ先まではバスに乗る。いつものように窓側の座席に座って揺られながら、ぼんやり乗客たちの話し声に耳を傾けていた。容赦ないスピードの英語で、細かい内容は

          オックスフォードのバスの中で

          「立派な大人」という呪縛

          30歳を過ぎて気付いたこと。 コンビニの店員さん、担当の美容師さん、フィットネスの先生。 なんだかみんな若い。周りに年下が増えてきた。 つい最近まで新人だと思っていた職場では、仕事の相談をされたり、リーダーと呼ばれるようになったり。 この焦りと戸惑いはなんだろう? いつのまにか大人側へ来てしまった。子供の頃、学校の先生たちはものすごく「立派な大人」に見えた。大人はなんでも知っていて、強くて、悩みなんてないと思っていた。だけど自分が大人になってみると、全然違う。 「立

          「立派な大人」という呪縛

          雨のご褒美

          サッカー部の階段ダッシュ。 窓の外、降り続く雨を見ていると、懐かしい記憶が蘇る。 中学生のとき、サッカー部に気になる男の子がいた。 部活の時間、いつもサッカー部はグラウンドで練習するが、雨の日は外に出られない。体育館はバスケ部やテニス部が使っている。 そんな日、サッカー部の男子たちは、校内の階段を1階から4階まで駆け上っては駆け下りる、キツいトレーニングをしていた。今考えるとかわいそうだが、当時の私はこれがちょっと楽しみだった。 4階には美術室がある。放課後の私の居場

          雨のご褒美

          ノスタルジーとトキメキ

          旅の途中、車窓から外を眺めて、ぼんやりと考え事をする時間が好きだ。 流れる景色の中に、懐かしいあの頃を思い出す。 前の職場のこと。本のにおいが落ち着く大学の図書館。嬉しいときは小走りで、悲しいときはゆっくり歩いた帰り道。 ふとみつけた、昔のアルバムをめくっているときのような。 これまでの旅路を振り返り、この先の道を想像する。今向かっている場所では、どんな出来事が待っているだろう?目的地が近付くワクワク感。 行きたいところがある。まだまだ、見たいものがたくさんある。

          ノスタルジーとトキメキ