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本のこと・読書の記録

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『名作ミステリで学ぶ英文読解』刊行

『名作ミステリで学ぶ英文読解』刊行

『名作ミステリで学ぶ英文読解』が刊行されました。早川書房がハヤカワ新書を創刊するにあたって、最初のラインナップ5作のひとつとして(しかも、その001番として)選んでもらえたことをうれしく思います。
 この本は、海外ミステリの名作を題材として、6つの作品から6か所ずつの英文を選び、訳文や注釈とともに5問前後の設問と解説をつけたものです。
 題材としたのは以下の6作品です。

『Yの悲劇』
『エジプト

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翻訳書ができるまで② 翻訳出版の契約と編集、そして読者のもとに届くまで

翻訳書ができるまで② 翻訳出版の契約と編集、そして読者のもとに届くまで

さて、前回にひきつづき、翻訳書ができるまでにどういう仕事を出版社の編集者が行っているのかを、ご紹介します。翻訳書以外の本(主に人文書)ができるまでは、先日ご紹介しました。

また、前提知識として「版権エージェント」「出版エージェント」という仕事があることを、前回ご紹介したので、未読の方はまずこちらをお読み下さい。

翻訳書ができるまでのおおまかな流れは、翻訳以外の本と大きく変わるわけではありません

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いとしい古本

いとしい古本

あるエッセイの原書リーディングを依頼され、この2週間ほどかかりきりになっていた。リーディングとは、"reading"だ。ただし単に原書を読むだけでなく、著者の紹介、梗概(あらすじ)、感想、類書の紹介と比較、原書の文体の分析、訳す上での留意点、日本での受け入れについての予測など、その原書をあらゆる方面から分析してA4数枚にまとめる仕事である。正直に言うと、訳すよりも難しく、ときとしてつらい仕事になる

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