TransactorLabo

田舎の高校英語科教員です。高卒就職問題の研究と改善のための提言を行っております。このテ…

TransactorLabo

田舎の高校英語科教員です。高卒就職問題の研究と改善のための提言を行っております。このテーマを掘り続けていたら、高校生の就職問題が人口減少社会への対応と深いつながりがあることが見えてきました。最近の趣味は自転車とキャンプ。

最近の記事

バイト先のお向かいのおばあちゃんがくれたもの~バレンタインデーの思い出

今回は高卒就職問題とはあんまり関係がありません。 私の忘れられないバレンタインデーの思い出の話です。 平成になってすぐの頃。私は一浪して東京の私大に入り、親戚のツテで板橋区東山町のある建材屋さんでアルバイトをしていました。 その建材屋さんは左官屋さんが壁や土間に使う材料を売る店でした。福島訛りがあってどことなく志村けんに似た雰囲気の社長と、あとで後妻さんであることが判明するおかみさん、上州訛りがきつくてサボり癖のあるトラック運転手のイチカワさんの三人だけで切り盛りしていま

    • 人口減少社会への対応を高卒就職問題研究の立場から考える~地域別最賃制度改革の必要性~

      高卒就職問題研究のtransactorlaboです。田舎の高校で教職の傍ら、問題改善のための調査研究、発信を続けております。 北陸地方における震災および羽田空港での事故の関係者の皆様、心より哀悼の意を表します。 2025年元旦、地元紙を含む4社の新聞をまとめ買いし、比較しながら読みました。これをやるようになって10年ぐらいになりますが、そのたびに「オレもオッサンになったなあ」と自嘲します。 一番刺さったのは日経。「人口減少社会への対応」、「古い常識との決別」が柱になってい

      • 人口減少と高卒就職

        高卒就職問題研究のtransactorlabです。問題改善を目指して研究と提言を行っております。高卒就職問題の改善は日本経済の持続性にとって非常に重要な課題であると考えております。 さて、人口減少がこれだけ進むとのニュースですが、それ自体はもう聞き慣れてしまって「何を今更・・・」程度の受け止め方をする人が多いのではないでしょうか。 でもですね、社会のあらゆるところで早く手を打たないと、本当にマズいのですよ。第二次対戦後、崩壊した日本という国家システムは再構築され、世界史史

        • 高卒求人に見える二つの新しい流れ

          高卒就職問題研究のtransactorlaboです。田舎の小さな高校で進路指導をしています。数年前から日本の高卒就職市場の問題点に気づき、その改善を求めて研究と発信を続けております。 高卒就職市場の2023年11月の様相 2023年の高卒就職市場は10月中旬には9割がた終了しました。9月の1回目の応募で試験を受けた生徒のほとんどが内定をもらった感じです。 求人倍率を私は5倍近くになるだろうと予測していましたが、だいたい当たりか、むしろそれ以上になりそうです。この求人倍率

        バイト先のお向かいのおばあちゃんがくれたもの~バレンタインデーの思い出

          高卒就職市場の現状と・・・

          ごぶさたしておりました。高卒就職問題研究のtransactorlabです。 高卒就職市場では求人倍率が3倍や4倍もの高さのウルトラハイパー売り手市場が続いているにもかかわらず、賃金上昇が伴っていないことに疑問を持ち、その他のいろいろな問題も含めた高卒就職問題の改善を求めて研究と発信を続けております。 まず下のグラフをご覧下さい。ある地域の高卒初任給(黄色棒)と当該地域の最低賃金との相関関係を示すものです。赤線が最低賃金×8時間×21.5日の金額。青線はその2割増しの金額。緑

          高卒就職市場の現状と・・・

          2023年夏 高卒就職市場の様相

          暑中お見舞い申し上げます。 高卒就職問題研究のtransactorlabです。田舎の小さな高校の英語科教員、進路指導主事、野球部長です。2つめと3つめが忙しく、どれが本務なのかよくわからなくなっていますが、一応、英語教師であります。あんまり忙しくてしばらく書けていませんでした。やっと落ち着いてきたので久しぶりに一筆啓上したいと思います。 2023年夏 高卒就職市場の様相 さて、まず2023年夏の高卒就職市場の話です。 ある事情がありまして具体的な数字は出せないのですが、今

          2023年夏 高卒就職市場の様相

          学校業務のデジタル化今昔物語と教員プログラマーの悲哀

          高卒就職問題研究のtransactorlaboです。 気が付けばもう6月下旬。2023年夏の高卒求人公開も間近になりました。 本当にありがたいことに、こんな私のブログにもフォローしてくださる方がいらっしゃいます。励みになります。 2023年度高卒就職市場の相場予測 今夏の高卒就職市場は、昨年にも増して求人倍率が高まり、超々売り手市場となるでしょう。今年度、コロナが明けた影響もあるでしょうが、これまでなかった大企業が高卒就職市場に動いてきています。 今のところ、そうした大

          学校業務のデジタル化今昔物語と教員プログラマーの悲哀

          高卒就職支援を通して見える「ひとりの人間の労働者としての価値の変化」

          しばらくご無沙汰しておりました。高卒就職問題研究のtransactorlabです。 5月も終盤にさしかかりましたが、高卒就職支援の現場では連日の企業からの訪問がひっきりなしにある中、毎週どこかで合同就職説明会や相談会、ハローワークだったり教育委員会だったりが主催する会議への出席など、とても忙しい日々を過ごしております。 ひと月ほど前、昨年の高卒の求人倍率の最終集計値が発表されました。私の住む地域では3.8倍と、史上最高値を記録したとのことでした。 おそらくどこの地域でも

          高卒就職支援を通して見える「ひとりの人間の労働者としての価値の変化」

          本当に必要なのは大きな改革よりも日々少しずつの修正や改善・・・確かに

           高卒就職問題研究のtransactorlaboです。  今回のタイトル「本当に必要なのは大きな改革よりも日々の改善・・・」は某有名自動車会社からではなく、デービッド・アトキンソンさんの記事からの借用です。強い感銘を受けました。引用させていただきます。   高卒就職市場は超売り手市場が続いているのに賃金上昇がとても(異常に?)緩やかであることに問題意識をもち研究を始めました。高卒就職にはは大卒や一般のそれとは違う独特なルールや慣行がありますが、そのうちの一つが求人相場情報の

          本当に必要なのは大きな改革よりも日々少しずつの修正や改善・・・確かに

          最低賃金が30円上がる月給はどうなるか

           高卒就職問題研究のtransactorlaboです。  前回に続いて賃上げの波が高卒賃金にどのような影響を与えるかの話です。 (タイトル画像は2022年7月の東京都高卒求人の度数散布図。縦軸は年間休日数、横軸は月給。赤い点は平均値118日18.9万円)  過去3年間、最低賃金(正確には「地域別最低賃金時給」)は、だいたいどこの地域でも30円ずつのペースで上がってきています。3年間でほぼ100円近く上がった計算になります。  この最低賃金の上昇は、時給制のアルバイトやパ

          最低賃金が30円上がる月給はどうなるか

          賃上げの波と高卒求人について

           高卒就職問題研究のtransactorlaboです。  令和5年度がスタートしました。  コロナ禍が収束に近づき、新しい時代の到来を感じさせる話題が巷に溢れています。 最賃区分の再編!  そんな中、高卒就職問題を研究している者にとっては衝撃的なニュースが飛び込んできました。  最低賃金の区分を現行のABCDの4区分からABCの3つに再編することになったというニュースです。全国平均1000円と地域間格差の縮小を狙っての改革だとのこと。  新しい最賃制度は例年9月末から

          賃上げの波と高卒求人について

          日本の新卒初任給が安いワケ

          高卒就職問題研究のtransactorlaboです。 noteでの発信を始めて丸一年が経ち、「高卒就職問題」に「待遇」とか「相場」などのキーワードを加えてググると上位にヒットするようになりました。関心を持って下さる方がそれなりに増えているのかなと嬉しく思っております。 さて、春闘がスタートしました。賃上げを政府がこれまでにない力の入れようで求めていますし、経営側にも前向きな姿勢が見られることから、長く続いた賃金伸び悩みの時代にもようやく終止符が打たれことを願ってやみません。

          日本の新卒初任給が安いワケ

          引用「情報開示の強化により、「若者への投資競争が起こることが望ましい」」

          2023年2月6日付日経の会員向け有料記事です。 学生採用に関わる方々は是非ご一読いただきたい内容です。 高卒就職市場においても、というより、高卒就職市場にこそ「情報開示により若者への投資競争」が活発化されることが必要ですよ。

          引用「情報開示の強化により、「若者への投資競争が起こることが望ましい」」

          今の高卒新卒採用の相場がどれぐらいか

          高卒就職問題研究のtransactorlaboです。 2022年度夏公開の高卒求人の全国調査結果が出ましたのでお知らせします。 今高卒新卒採用の待遇相場がどれぐらいなのか、知りたい方にはひとつの参考にしていただけると思います。 下リンクのホームページからダウンロードしてご利用ください。 現状、高卒求人に関する情報へのアクセス権は仲介者の役目を負う高校教育関係者に限定されているため、相場がわかる情報がとても不足しています。とくに求人事業者には情報がなく、どれぐらいの待遇条件を

          今の高卒新卒採用の相場がどれぐらいか

          超採用難、少子化、賃金伸び悩み・・・高卒就職市場の待遇相場観の共有が有効な治療薬だと思うのですよ

          高卒就職問題研究のtransactorlaboです。 1月も後半となりました。進学校では共通テスト後の2次試験の準備がまさに佳境を迎えておりますし、一方、進路多様校では3年生の進路がほぼ落ち着き卒業モード。進路指導室ではそろそろ現2年生の進路指導の検討に入る頃です。 求人事業者の方々、今年度の採用事業の結果はいかがだったでしょうか。全般的に昨年以上に厳しい状況であったことと思います。 私たち高卒就職問題研究transactor laboratoryは、全国の高卒求人をウ

          超採用難、少子化、賃金伸び悩み・・・高卒就職市場の待遇相場観の共有が有効な治療薬だと思うのですよ

          高卒就職市場の不健全解消のためには

          高卒就職問題研究のtransactorlaboです。 もうすぐ令和4年も終わろうとしています。高校生の就職戦線はほぼほぼ落ち着いたころで、年を越すのはごく一部の生徒たちといったところです。 厚生労働省による9月末発表の数字では、今年の求人倍率は3.29倍。今年も超売り手市場の状態が続いています。少子化に加え、進学率が高くなっていますので、この状態はずっと続くでしょう。 求人倍率3倍越えとは、就職希望者が10人しかいないのに30人以上の需要があるという状態です。この状態が平

          高卒就職市場の不健全解消のためには