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人口減少と高卒就職

厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は22日、2050年までの地域別の将来推計人口を公表した。20年から25年にかけて46道府県で人口が減り、東京も40年からは減少に転じる。50年には11県で20年と比べた人口が3割以上減る。人口減を前提とした社会や制度の構築が急務となる。

日本経済新聞

高卒就職問題研究のtransactorlabです。問題改善を目指して研究と提言を行っております。高卒就職問題の改善は日本経済の持続性にとって非常に重要な課題であると考えております。

さて、人口減少がこれだけ進むとのニュースですが、それ自体はもう聞き慣れてしまって「何を今更・・・」程度の受け止め方をする人が多いのではないでしょうか。

でもですね、社会のあらゆるところで早く手を打たないと、本当にマズいのですよ。第二次対戦後、崩壊した日本という国家システムは再構築され、世界史史上稀に見る発展を遂げましたが、それを支えたのは生産年齢人口増加の生産性の向上です。飛躍的な経済成長はこの二つがかけあわさった結果だと言えます。

国の経済力 = 生産年齢人口(働く人の数) × 生産性(ひとり当たりの生産能力)

よく、「経済の安定成長が大事」とよく言いますが、国の経済を成長させるには、おおざっぱに言うと上のふたつのうちのどちらかがあまり変わらないとすれば、もう片方を増やさないといけないですよね。人口がどんどん減っているのですから、人口の減り方を抑えつつ生産性を上げないと国の経済力はぐんぐん落ちていく、ということになります。

国の経済力って何?  とか、
日本の経済力って、そんなに大事なの? とか
日本の経済力って落ちてるの? 

学校で子どもたちからこんな質問をされることがあります。

あなたならどう応えますか?

私は高校の英語教員ですので、普段はあんまり社会的・政治的な話題には深く刺さらないようにしていますが、SDZsがらみの話題が最近の教材には増えてきています。それらを読んだり聞いたりしたあと、理解するだけでなく議論させるような授業が求められており、生徒たちの社会科の常識に関する理解レベルをある程度整えないと成立させにくくなってきております。

そんな必要性から、「国家ってのは、国民の生命や安全、幸福を確保するためのシステムだ」とか、「そのためには経済力が必須だろ」といった超基本的なことや、国の経済が貧しいということはどういうことかか考えさせるな資料を与えたりしています。

そのひとつが、ドキュメンタリー映画「On The Way to School 」です。

DVDを自腹で買いました。ホントに素晴らしい映画です。全ての人に観てほしい映画です。子どもとは、学校とは、教育とは、人の幸福とは、といったテーマだけでなく、国家とは、富とは、正しい政治とは、などといったテーマに関しても考えることができます。

さて、2023年ももう年末。高卒就職市場の店じまいの時期は今年さらに早まりました。超売り手市場状態がさらに進行。求人倍率は4倍近く、月給平均は昨年から約5000円上がったようです。首都圏、とくに東京都はもっと激しく上昇しています。求人の充足状況を見ると、若い働き手獲得の難しさがさらに深刻になっています。

とっくに全員決まりましたの状態なのですが、進路指導室には依然として二次・三次募集の求人票が送られてきます。開いては前回送られてきた求人票と一緒に保存するので見比べてみると、残念ながら、別に待遇条件に変化があるわけでもない、同じ内容の求人票がほとんどです。これでは人は採れないでしょう。

何か手を打たないといけないと思うのですが・・・。

現在、企業や役所などを含めた様々な組織の意志決定をする立場の方々の多くは50歳以上、昭和時代に生まれた方々です。人口増加の時代に生まれ育った世代です。同級生が多く、競争相手も多く、「君の代わりはいくらでもいる」の時代。

今は全く逆です。

ひとりの若者の価値は昭和の時代と比べるととんでもなく上がっているのです。変えなければいけないのは社会システムだけではないと、私は思うのです。


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