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2023年夏 高卒就職市場の様相

暑中お見舞い申し上げます。
高卒就職問題研究のtransactorlabです。田舎の小さな高校の英語科教員、進路指導主事、野球部長です。2つめと3つめが忙しく、どれが本務なのかよくわからなくなっていますが、一応、英語教師であります。あんまり忙しくてしばらく書けていませんでした。やっと落ち着いてきたので久しぶりに一筆啓上したいと思います。

2023年夏 高卒就職市場の様相

さて、まず2023年夏の高卒就職市場の話です。
ある事情がありまして具体的な数字は出せないのですが、今年は超売り手市場の様相がさらに強まり、ウルトラハイパー売り手市場状態になっております。求人件数・求人数はともに20%増で、最低賃金の大幅(?)アップも合いまって給与相場もだいたい昨年より5000円程度上昇しているようです。
生徒の全体数が減り、さらに就職志望者の割合も落ち込んでいることから、求人倍率の上昇はさらに激しく、昨年3倍から3.5倍だったのが4倍から5倍に跳ね上がりそうな気配です。

高校の就職支援の現場では脱紙求人票の動きが広まってきています。昔ながらの紙の求人票を一枚一枚めくって志望先を探す方式から、就業地域・月給・産業種・職種等の検索条件を入力し、それらに叶う求人票だけがピックアップするというデータベース検索方式を取る高校が増えてきています。なにしろ求人件数がものすごい数ですので、選ぶ方はかなり高い値を入れます。そうでもしないととても見切れないからです。よって、相当の数の求人票は誰の目にも触れないまま来年の6月を迎えることになります。待遇条件が平均値付近では応募者獲得可能性はほぼなく、それより低い設定では99.9%ないでしょう。

私と親しい進路関係教員の言葉です。
「コロナが収まって学校訪問を受け入れるようにしたら、客が多すぎててんてこ舞いだ」「縁もゆかりもない遠方からもひっきりなしに求人に来る。他の仕事ができない。」「連絡も何もなしに求人票だけ郵便で送りつけて来るような企業を生徒を紹介できるわけがない。捨てる手間さえ惜しい。正直やめてほしい。」
3つめは私も同感です。

しかし、そのようにして届いた沢山の求人票を見ていると、この売り手市場状態の深化がここの求人票に表れている感じはほとんどしません。昨年とほぼ同じか1000円上がっただけといった感じです。求人する企業の方々が状況を分かっていないのだな・・・そう思わざるをえません。

高卒求人情報のオープン化を

で、私の思いは結局、高卒就職のルール改正の必要性に向きます。現行ルールでは求人情報へのアクセス権は仲介者である学校関係者にしか与えられていません。このせいで求人事業者側に正しい相場観が伝わることがほぼないのです。これほどの売り手市場なのに昨年一昨年とほとんど変わらない(しかも、もともとが低い)待遇設定の企業が多いのはその表れだと私は思います。高卒求人情報をもっとオープンに、誰もがアクセスできるようにするべきです。そうなると、その待遇を提示できなかったり、それだけの投資に見合わないと判断したりして、手を引く企業も相当数出るでしょう。こうした一時的な混乱は生じるでしょうが、しかしそれは市場がこれまでの不健全な状態からまっとうな状態になろうとする自然な動きです。日本社会が次のステージに進むには必要なことだと思います。

善なるものとは

世の中にあるありとあらゆる組織もルールも全て人が作り出したものです。たくさんのものが出来上がっています。その当初の目的はすべて「幸せになりたい」あるいは「幸せにしたい」に集約できます。そして、より多くの人のより多い幸せに寄与するものが「より善なるもの」です。私たちはそうしたもののおかげで生きていられるわけですが、時を経るにしたがい、過去には善であったものがあまり善とはいえなくなってしまうものも数多くあります。

「幸せ」という日本語は定義が難しい言葉ですが、私は英語”well being”をあてるつもりで述べています。簡単に言うと「よく生きること」あるいは「よい状態であること」です。その「よい」は、身体的な「よい」も精神的な「よい」も、さらに倫理的な「よい」も全部ひっくるめた「よい」です。これに「より」を加えると"better being"とかbetter living"つまり「よりよく生る」を表す言葉になります。この言葉を知る人は、あらゆるものごとの目的がこのbetter livingであり他は全て手段なのだ、とか、手段はいろいろあるが手段にこだわってと目的を取り違えないようにしよう、とか考えることができるようになります。

そういえば、この「より良く生きる」。文部科学省が出した新しい学習指導要領のキーワードのひとつになったのですよ。ペーペーの教員がこんなことを言うのも僭越ですが、これ、私は高く高く評価しています。これまでの日本の学校教育はこの視点が欠けていました。
しっかり定着させたいものです。

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