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高卒求人に見える二つの新しい流れ

高卒就職問題研究のtransactorlaboです。田舎の小さな高校で進路指導をしています。数年前から日本の高卒就職市場の問題点に気づき、その改善を求めて研究と発信を続けております。

高卒就職市場の2023年11月の様相

2023年の高卒就職市場は10月中旬には9割がた終了しました。9月の1回目の応募で試験を受けた生徒のほとんどが内定をもらった感じです。

求人倍率を私は5倍近くになるだろうと予測していましたが、だいたい当たりか、むしろそれ以上になりそうです。この求人倍率5倍という数字。すごい状況です。今年の全国の就職希望高校生は概算で12万人程度だと思われます。それに対して約60万人分の求人が出て、なんと48万人分もの求人が余るという状況です。「求人が余る」はイコール「働き手が足りない」ということであり、しかも足りないのは若手。技術やノウハウ伝承の受け手がいないということでもあります。

また、全国の状況を見ていると、人口が多い地域では人手不足による売り手市場が極に達し、リクルーティングにいくつか新しい流れが生じてきているように感じます。賃上げや福利厚生条件改善の他にです。今回は短いですが、その新しい流れについて書きたいと思います。

高卒求人の新しい流れ

ひとつめは、求人事業者の採用コンサル離れです。新卒学生が欲しい事業者は採用コンサルタント会社と契約して手伝ってもらうところが多いのですが、結構なコンサル料がかかります。しかし、この少子化のご時世、応募はなかなか集まりません。そこで出てきたのが「コンサルに払うより、入社してくれたら祝い金をはずむと求人票に掲げたらどうだろう」との発想です。

唸りました。凄いアイディアです。コンサルに100万円払っても応募がある可能性は薄い。初任給を上げないと応募者を獲得できないのはわかるが、現有社員の給与も上げねばならず、会社全体の人件費がドンと跳ね上がる。しかも、それをしても応募があるかどうか、やはり分からない。しかし、新入社員への入社祝いという一時金ならば!という考え方です。考えた人はホントに頭がいい。実際、その企業には応募者がドカンと集まり、たちまち充足、勢いに乗って追加募集を検討しているとのことです。

もうひとつは、同業他社と新入社員の募集採用および育成を共同で行う形です。看護師の人材育成・確保の世界では昔からあった考え方ですが、最近よく目にするようになってきたのは自動車整備士や林業従事者、建築士(大工さん)などの業界です。中小の建設業や運送業などでも同様の動きが出てきました。

いずれも、いわゆる「人への投資」です。それををいかに上手にやるかが重要な課題なのでしょう。今に始まったことじゃないのかもしれませんが・・・。

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