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#57【股関節】前捻角がわかれば股関節がわかる。

大腿骨には特徴的な形状があります。前捻角はその一つと言えるでしょう。
初めて前捻角について聞いたとき、だからどうした、という感じでした。
しかし股関節について学ぶ中で、前捻角の重要性を知りました。

今回は前捻角と股関節の関係について解説します。
※持論を多く含みます。


1.前捻角とは何か

百聞は一見に如かず。これが股関節の模式図です。

右股関節を上から見ている。

念の為説明しておきますが、これは上から見ている図なので、骨幹部の奥行きには脛骨や足部があります。

そしてこれが、前捻角です。

前捻角

厳密には違いますが、この方がわかりやすいので良しとします。

ちなみに、どちらも解剖学的肢位の股関節です。
前捻角がある為、解剖学的肢位では、臼蓋と骨頭で形成される股関節は骨幹部より前方にあります。
これは大事なことなので覚えておきましょう。

2.前捻角があるから股関節は不安定である

前捻角があるので、解剖学的肢位では股関節は不安定であります。
模式図を見ればわかるかと思いますが、骨頭の前方が臼蓋からはみ出ていますよね。下の図の青い部分です。

骨だけで考えればこうなります。本当は関節唇とかがついてます。

股関節は体重を支える大事な関節です。
不安定だと不安なので、安定させたくなるのが人というものでしょう。

股関節を安定させるためには内旋させれば良いのです。

3.股関節を安定させるには内旋させればよい

股関節は内旋すると安定します。

内旋位

股関節を内旋させると、骨頭が広く臼蓋に覆われます。
しかも股関節と骨幹部の前後の位置が揃います。
解剖学的肢位よりも遥かに安定してくれそうですよね。

では股関節は内旋させときゃいいのかと言うと、そんな簡単な話じゃありません。

4.股関節内旋位は危うい

股関節を内旋させて立っている人は、内股の人です。
股関節を内旋させると運動連鎖で骨盤が前傾し、腰椎は前弯します。
一般的に言われる反り腰です。

過度な腰椎の前弯は腰部の問題に繋がってきます。
また腰椎が前弯することで、胸椎は後弯し、猫背が強くなってしまいます。猫背は首や肩の問題に繋がります。

股関節を内旋させて骨の安定が得られたとしても、その肢位が続くと腰椎に大きな負荷をかけてしまいます。
胸椎の後弯からストレートネックにも繋がるので頚椎にとってもよくはありません。

内旋がだめなら、今度は外旋させるとどうでしょうか。

5.股関節外旋位も危うい

外旋位の図がこちらです。


外旋位

外旋位になると、骨頭の多くの部分が臼蓋からはみ出してしまいます。
もちろん骨的にはかなり不安定になっています。

接している関節面が狭い分、臼蓋や骨頭に加わる力は大きくなります。
尖った物の方が当たると痛いですよね。
骨にとってはいい迷惑です。

また外旋位になると梨状筋が短縮し、股関節を支えることになります。
外旋位がが続くと梨状筋が疲労し固くなります。
梨状筋が固くなると坐骨神経痛などの原因になります。

6.結局、中庸が理想的

結局、中庸が一番良いということですね。

内旋しすぎてもだめ。外旋しすぎてもだめ。
真ん中あたりにありつつ、内旋にも外旋にもどちらにも動けるのが理想的です。

内旋・外旋のどちらかが制限されている人は多いです。
内旋位・外旋位どちらかで安定してしまうと、反対の方向に動きにくくなってしまいます。
不安定こそが安定、というやつですね。

股関節の安定・不安定について知ることは、必ず施術で活きてきます。
ここからいろいろ考えていくと面白いですよ。
股関節がわかれば全身の姿勢がわかると言ってもいいでしょう。

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