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#28【固有背筋】固有背筋と自律神経の関係

今回はちょっと趣向を変えて、自律神経について紹介しようと思います。鍼灸は人の体の生理学的な反応を上手く利用して治療する医学です。神経系は人の身体にとって重要なシステムですし、鍼灸師の勉強をしている私にとってとても興味深い内容です。

今回は固有背筋と自律神経の関係について紹介していきます。
整体をするヒントにもなり得ると思いますのでぜひご覧ください。


1.自律神経とは

自律神経について解剖の教科書にはこう書かれています。

自律神経系は、心筋・平滑筋の運動や腺の分泌を支配する神経であり、これらの構造は意識にのぼることなく自動的に調節される。
自律神経系は交感神経系と副交感神経系とに大別される。

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自律神経は運動神経同様、脊髄から出る末梢神経になります。運動神経が筋骨格系を動かす随意運動を担当しているのに対して、自律神経は内蔵の筋を動かす神経であり、不随意運動に関わる神経となっています。

運動神経は全ての脊髄レベルから出ていますが、自律神経は交感神経と副交感神経で脊髄レベルが明確に分かれています。これを局在という言い方をします。
交感神経は胸髄と腰髄から出るので胸腰局在といいます。副交感神経は脳と仙髄から出るので頭仙局在といいます。

この局在はとても重要ですので覚えておきましょう。

2.固有背筋とは

固有背筋には、脊柱起立筋や板状筋、横突起に付着しているような細かい筋群などが含まれます。これらは全て、脊髄神経後枝による支配を受けています。

固有背筋は姿勢を維持するための筋肉と言われますが、姿勢を維持するというのは体を起こしているときに倒れないようにするということです。
つまり、立位や座位で背骨が折れ曲がったりしないようにしているということです。これは不随意で起こる筋の運動であり、脊髄神経後枝が意志とは関係なくこの固有背筋を収縮させています。

3.固有背筋と自律神経の関係

固有背筋を支配する脊髄神経後枝が興奮していると言ったとき、この脊髄は胸髄や腰髄を指しています。胸髄や腰髄は交感神経の局在があるレベルですので、脊髄神経後枝の興奮は交感神経の興奮にも影響を与えている可能性があります。

平たく言えば、体を起こしているときは固有背筋が収縮しているので、自ずと交感神経も活性化されているということです。

整体をしていると脊柱起立筋がカチコチになっている人がいます。それはもしかすると、交感神経のスイッチが入りっぱなしになっている人ということも言えるかもしれません。
逆に言うと脊柱起立筋を緩めることができれば、交感神経の興奮を抑えることができるかもしれません。
背中を押されたときの心地よさは、この固有背筋と自律神経(交感神経)との関わりで説明できるかもしれません。

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