memo41【東洋医学】五臓六腑についてのあれこれ
佐伯孝之先生の書籍「東洋医学の理法」から得た、五臓六腑の豆知識まとめです。羅列していきます。
1.肝・胆
睡眠中に肝が血を蔵せないと、眠りが浅くなり夢を多く見るようになります。
疏泄について。
「精神・感情面」は気持ちのびのび。疏泄がダメだと情緒不安定でイライラしがち。
「消化・吸収」は円滑になる。疏泄がダメだと食欲がなくなる、もしくは暴飲暴食してしまう。
「全身の気血」が流れるようになれば筋(関節)の運動がスムーズになる。
適度な運動は疏泄を良好にし、情緒が安定し食欲も増す。
『苦髪楽爪』という言葉
苦労が多いと髪は早く伸びます。苦労すると腎精が消耗します。腎精の消耗は「ほてり」に繋がり、熱が頭へ昇ってしまいます。その結果髪が早く伸びます。
対して楽をしていると爪が早く伸びます。楽をしているということは肝血を消耗していないということです。余った肝血は手足へといき、その結果爪が早く伸びます。
胆汁について
西洋医学的には、胆汁は脂肪の消化を助けています。東洋医学においても脾胃の消化を助ける働きがありますが、加えて肝に蔵されている血を浄化するという作用があります。
睡眠中は肝に血が集まります。集まった血を胆が浄化するのです。浄化できなかった血は、頭痛のもとになったり頚や肩のこりの原因になります。また肝鬱になると大きなため息が出ますが、これは呼吸によって血を浄化しようとしているのです。
肝と胆は行動力の源泉だと言えます。
肝が計画を立て、胆が決断を下します。
2.心・小腸
心の華は『面』です。
神はすぐ表情に出るのです。
心は小腸を温めます。
心火(陽気)が小腸の働きを助けています。
3.脾・胃
脾は『営』を蔵します。
(肝は血、心は神、肺は気、腎は精を蔵します)
昇清作用について
①清を頭まで上げます。頭が聡明になります。
②清を肺まで上げます。肺が清を四肢末端に送ります。
③内蔵を持ち上げます。
四肢の動きは脾の運化を助けます。
4.肺・大腸
皮膚は艶を持っているのがよい状態です。
肺・大腸は金の性質があります。皮膚の艶は金星のかがやきによるものです。
肺は「魄(本能と感性)」が原動力となります。魄の状態は呼吸や気分としてあらわれます。
気分と関わりやすいのは臭いです。肺の五官は「鼻」ですので、においは気分に影響しやすいのです。また「皮」も肺の五体ですが、皮膚感覚も快ー不快と強く関わっています。
気を使う、気を配るといったときに働いているのは肺です。肺は気を蔵しており気を使うのは肺なのです。
肺は心と共に上焦にあり、肺は心を補佐しています。深呼吸をすると心が落ち着くのはその為です。
5.腎・膀胱
腎は水量を調整しています。
汗のかきやすさ、尿の出やすさ、むくみなどは腎と関係しています。
腎には「納気」の働きがあります。
これは臍下丹田に吸入した気を集めることです。
大腸や膀胱は腎陽によって働いています。
腎陽は「命門の火」と呼ばれています。
6.心包・命門・三焦
心の「君火」に対して、心包や三焦は「相火」と呼ばれています。
命門は右の腎のことで、上焦に心の陽気があるのに対して下焦の陽気の源となっています。下焦を温め精力の源泉になるとともに、大腸や膀胱、脾胃を温めこれらの働きを助けています。
(左の腎は陰中の陰臓です)
三焦は臓腑の外衛です。
「先天の三焦」と「後天の三焦」があります。
先天の三焦は左右両腎の間に宿る気、すなわち腎間の動気です。これは生気の源であり、三焦はこれを全身に配分しています。
後天の三焦は、飲食物を消化(胃)、清と濁に分け(小腸)、不要物を排出する(大腸)という一連の働きを、統一的に調節しています。
三焦の働き
上焦:衛気を全身にめぐらせる
中焦:胃から生まれた精気(営気と血)を全身にめぐらせる
下焦:糟粕からの水を膀胱へ運ぶ
参考図書・文献
佐伯孝之、東洋医学の理法〜古典医学の基本体系〜、2008、たにぐち書店