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#61【症例報告】胃経実の急性腰痛

先日、急性腰痛の方が来ました。

腰部の左側に痛みがあるということでした。
前屈が全然できない様子。

私は陽経治療を勉強しているので、急性腰痛は陽経の実が原因と考え体を探っていきます。

腰部を通っているのは膀胱経。だから腰部の痛みで真っ先に考えるのは膀胱経の実です。
しかし片側に痛みが集中している場合は胆経の実の可能性が高い。ということで、左の胆経で圧痛点を探ります。

結果・・・圧痛点なし。

では膀胱経か!と、膀胱経で圧痛点を探してみる。

これだ!・・・と言うのが無い。

ということは、まさか・・・
胃経で圧痛を探ってみる。

結果・・・陥谷のあたりに激痛が!

これだ。
腹臥位の膝屈曲90度で腰の痛みが出ていましたが、陥谷(というか第2・第3中足骨の間)を優しくグリグリすると踵とお尻がくっつくくらいまで曲がりました。
すごくね?

もともとこの方反り腰のようで、反り腰は大腿四頭筋などが短縮するので胃の経筋は常に実の状態だったのでしょう。
それが今回、弾みでぎっくり腰を起こしてしまった。

ちなみに外腹斜筋の腸骨付着部にも強い圧痛が見られました。
外腹斜筋を胃経筋に含めるというのは間違っていなかったのではないでしょうか。

(興味のある方は経筋のまとめ記事を御覧ください。胃経筋は体の前面のみだと思われそうですが、実は外腹斜筋を含んでいるので背部〜腰部にも伸びている)

もちろん胃経筋のみを治療するわけではなく、股関節周りを重点的に施術。
今回の患者さんは左の仙腸関節の後方離開が強いせいで腰部に疼痛が出ていたと推測されました。
吉岡先生の理論で言えば、耳状面の前方の固着です。

こういうときは、前方が固着する原因となる寛骨の内旋を解消してあげるように股関節周りを緩めていけば、股関節で腰部をカバーできるので軽いぎっくり腰ならすぐに良くなります。

吉岡先生の仙腸関節理論と陽経治療の合せ技一本、です。

完璧!とまではいかなかったけど、その日の治療で痛みが半分に。次の日来院された時はすいすい動けていたので良かったです。
その次の日からばっちり仕事ができるように、もう一度施術させていただきました。

とまあクドクドと書いてきましたが、話を戻しますと、一番言いたかったのは胃経実の腰痛があるということ。
これは経絡上の痛みではないので陽経治療の考え方とは若干異なるのです。

ただ杉山先生も腰痛と胃経に関係が無いとは言っていません。むしろ胃経による腰痛は少なくないと言っています。
そこで、胃経筋が外腹斜筋を介して腰部まで繋がっていると考えれば、経筋治療の考え方で胃経実の腰痛だと捉えることができます。

陽経治療と経筋治療はどちらも要穴に瀉法をするというやり方で痛みを改善させる治療法なので、陽経治療における胃経の腰痛は経筋治療で説明できそうです。

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