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第六十四難

六十四難は経穴についての記述です。

陰経の五要穴(井・栄・兪・経・合)が木・火・土・金・水となっているのに対して、陽経の五要穴は金・水・木・火・土となっているのはなぜか、という問いについてです。

これは陰陽のバランスを取るためにこのようになっている、という説明しかありません。
陰経の井穴が木であれば、陽経の井穴は金として陰陽の調和を保っています。

こじつけに聞こえますが、東洋医学の場合、先に治るという現象があってそれを陰陽論や五行論に当てはめていきました。
陰経と陽経でツボの性質をズラしているのも、治るという現象を説明するために考え出されたものだということが言われています。

『難経ハンドブック』の著者である池田政一先生は臨床での経験についてこのように述べています。

腎虚証(脈診)に対して、腎の合水穴である陰谷を補うが、いまいち脈が出てこない時は、胃の合土穴である足三里を同じように補うと腎の脈が現れてくる。

池田政一、難経ハンドブック、1983、医道の日本社

陰経の虚証を補う際に同名経の同じ性質を持つ穴を使いますが、同時にその経を剋する経の陽経の五要穴を補うと良いということです。
各経について列挙するとこうなります。

肝虚=大敦(井木穴) 
       → 大腸経の商陽(井金穴)

心虚=労宮(栄火穴) 
       → 膀胱経の通谷(栄水穴)

脾虚=太白(兪土穴) 
       → 胆経の臨泣(兪木穴)

肺虚=経渠(経金穴) 
       → 小腸経の陽谷(経火穴)

腎虚=陰谷(合水穴) 
       → 胃経の足三里(合土穴)

参考図書・文献
池田政一、難経ハンドブック、1983、医道の日本社

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