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コンシェルジュへの依頼から。「断捨離を始めました。良い方法を教えてください。」

<このnoteは、TPOでコーポレート・コンシェルジュ 田中水美(みなみ)が書いています。>

コロナで自宅にいる時間が増え、オフであった空間がオンになり、
外出できないなら、せめて家の中を自分にとって最高に居心地のいい空間にしたい、今までずっと綺麗にしようと思って時間がなかったけれど、
ようやく落ち着いて時間のかかる作業をできるゆとりが生まれた、
はたまたコロナによって自分の生き方そのもの、価値観が変わった・・・。

いろんな理由で断捨離を始める人が増えています。
緊急事態宣言以降、

「リフォーム業者を探して欲しい」
「テレワークに最適な椅子と机が欲しい」
「断捨離を始めたので不用品回収業者を探して欲しい」
「断捨離の方法や書籍など役立つ情報を知りたい」


こんな依頼がコンスタントにコンシェルジュへ
寄せられるようになりました。

断捨離の真の意味

昔からある言葉のように使っている「断捨離」という言葉ですが
戦後日本にヨガを普及した草分け的存在、沖正弘(ヨガ指導者)が提唱したのが始まりと言われています。

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作家のやましたひでこさんが2009年に出版した『新・片付け術 断捨離』(マガジンハウス)で提唱したことから、断捨離という言葉が一般的に知られるようになりました。

断捨離は、「もったいない」という固定観念に凝り固まってしまった心を、ヨーガの行法である断行(だんぎょう)・捨行(しゃぎょう)・離行(りぎょう)を応用し、

断:入ってくるいらない物を断つ。
捨:家にずっとあるいらない物を捨てる。
離:物への執着から離れる。

として不要な物を断ち、捨てることで、物への執着から離れ、
自身で作り出している重荷からの解放を図り、
身軽で快適な生活と人生を手に入れることが目的。
ヨーガの行法が元になっているため、単なる片付けとは異なるもの
されています。

自分と自分の持ち物に向き合うことで、
自分が抱えている心理的なこだわりを見つめ、
それと離れることで自分自身の生き方も見つめる

断捨離には、人生を転換させマインドを180度チェンジする効果も秘めています。

「こんまり」と「断捨離」

ここまで読んで「え?断捨離って言えば、こんまりさんじゃないの?」と
思われる方もいらっしゃるかもしれません。


リサーチの過程で得た情報を整理すると、

・こんまり(近藤麻理恵さん:1984年生まれ)
 幼稚園年長の時からESSEなどの主婦雑誌を愛読、小学生では整理整頓係。
 幼少期から「整理整頓」に強い関心を持つ。
・中学生の時に「捨てる技術!」辰巳渚著を読んで大きな影響を受け、
 本格的に「片付けコンサルティング」の道に入る。
・2010年に顧客からの勧めで執筆した、「人生がときめく片付けの魔法」
(サンマーク出版)
で一躍有名に。
・その後、結婚と同時に2014年からアメリカへ拠点を移し、Netfrixの
 ドキュメンタリー出演や日本のテレビ番組への出演で一躍時の人へ。

元来のお片付け好きから独学で知識を得て、独自のビジネスを構築。
こんまり流片付けメソッドと「モノヘのときめき」といったワードによって、片付け=こんまりの世界を作った、稀有の方です。
「整理整頓」と「自分を見つめる」メンタルヘルスを結びつけることで、
カウンセリング大国アメリカで脚光を浴びたことも特筆すべき点。

物を捨てて綺麗に家の中を整えるだけではないヨーガの行である断捨離の哲学や、ミニマリスト的な暮らしとは似ているようで少し違う、
片付けを通した自分探しの過程を経て「ポジティブで素敵な暮らし」を手に入れることが「こんまり流お片づけ」と言えそうです。
広い庭のある素敵なご自宅は、シンプルで豊かな暮らしそのものです。

究極の憧れは、ミニマリスト?


断捨離によってものを捨て始めると、
極限までものを減らした「ミニマリスト」まで進化させたい!と思う人も
出てくるようです。
ミニマリストとは、必要最小限のものだけを身の回りに置いて、
しかも生活を充実させることを目的としています。

最小限のものを選ぶのと同時に、本当に好きなものだけに囲まれて暮らす。捨てるかどうかの判断に「今、ときめいているかどうか」という基準で
考える場合は多く、そのあたりは、こんまりさんと共通します。
しかし、「捨てる=片付ける=ミニマリストに近づく」ではありません。
断捨離を最初に世に広めた、やましたひでこさんも
「断捨離とミニマリストは違う」と言及しています。

弊社メンバーで、Withコロナの時にミニマリスト生活を始めた女性がいます。断捨離についてのご依頼が来たとき、彼女に話を聞いてみました。
(TPOメンバー 絢乃(あやの)さん)

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「きっかけは家のリフォームをしたこと。物を片付ける必要があり、それをきっかけにミニマリストになろうと決意しました。
物を捨てる基準は、その物に対して、今ときめいているか。
昔はときめいていたとしても今何も感じていなければ、思い切って処分しました。
<捨てられない>には心理的な理由があります。
 高かった、想い出がある、もしかしたらまた使うかもしれない・・・。
そんな執着から一旦離れて、まずは捨ててみる。
なくなってみると、本当にそれが自分に必要かどうかがはっきりと分かります。どうしても捨てられない時は、外から中身が見えない袋や段ボールにしまって、しばらく、塩漬けにします。
1年経って、結局開封することがなければ、そのまま捨てることが大切です。中身を開けると、また<もったいない>と思ってしまう恐れがあるからです。失敗しても、また買えばいい。そう思って手放しています。
ミニマリストの考え方はただ物を減らして捨てるだけではなく、
いかにゴミを出さないかもテーマ。
野菜を皮ごと使ったり、なるべく丸ごと使うようにしています。
シャンプー、洗顔、クレンジングもやめて今は使っていません。
お湯だけで洗うスタイルに変えました。
シャンプー剤も浴用石鹸類も、うちにはありません。
やってみると、特に汗臭くもないし、髪の毛が脂ぎってしまうこともありません。薬剤を使うことは地球に対しても肌に対しても、良くないことかもしれないと思うようになりました。

物がなくなると部屋の空間が大きくなって、そこに何を飾りたいか、何を置きたいかが見えてきます。
モノの一つ一つにこだわりが生まれ、本当に自分の好きなものだけを置きたい!と思います。自分の真の欲求に気づけるようになりました。
汚れが目立つので、自然と綺麗好きになるのも良い効果だと思っています。」

そんな彼女の部屋にある椅子は、手作りのマクラメ。
タイトル画像に使わせていただいた椅子です。
余計な物を手放した彼女が選んで残した逸品・・・そう思って見ていると
どんな高価な椅子よりも美しく見えるのは、私だけでしょうか。

ミニマリストの憧れ的存在として、アフロヘアがトレードマークの
元新聞記者、稲垣えみ子さんがいらっしゃいます。

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冷蔵庫も洗濯機もなし。調理用具はスプーン一つとわずかな器具のみ。
東日本大震災の原発事故をきっかけに節電をはじめ、家電などの持ち物を大幅に減らしたのがきっかけだそうです。
お気に入りのブックカフェがオフィス代わり。

今あるモノのを10から1へと減らしていく。そうして残った1には、絶対的な価値がある、と稲垣さんは断言します。
「残った1は、まさに一軍選手。ミラクルなんです。だから、何の疑問もなく使い続けることができます。逆に、省いた9は、できるだけ引き取り手を探すようにしています。もともと好きで買ったものだから、私には合わなくてもも、他の人に合えばよかったなとこ心から思う。会社でも、活躍の場を変えたら人が輝くことがありますよね。モノの見直しは、人事異動と同じです」。
「私は、モノを買う楽しさ、たくさん所有する豊かさを実感しながら生きてきた世代です。でも、そういう豊かさってキリがないんですよね。何かを手に入れても、またすぐに別の何かが欲しくなる。そして気づけば、身の回りには使わないものがギッシリと溢れている。これが本当に自分の求めた豊かさだったのか、いつになったらこのサイクルから解放されるのか、次第に閉塞感を感じるようになっていました。
それが思いがけず収納のない家に暮らすことになって、本当に自分が必要なものを改めて考えることができました。今は、必要なものは全て持っていると実感できているので、ものが増えると圧迫感を感じます。自分がちゃんと管理できる量しか持たない暮らしは、自由で憂いがなくなると感じています」

欲望には際限がない。
欲を手放してわかる、本当に今自分に必要なものは何か。
ないならないなりに暮らすことができるし、
それを惨めとは思わない。

勇気とチャレンジ。
研ぎ澄まされた美意識。
断捨離やミニマリストの先には
「人生を考える」という時間が待っています。
あなたも今日からまず一つ、モノを手放してみませんか。







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