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Webtoonから名作は生まれるか?~コスパコンテンツの時代~

Webtoonの勢いが止まらない。

ここ1年間でWebtoon事業に参入する国内の出版社、電子書店、漫画アプリ、コンテンツ制作会社が爆増した。
※下記の記事に現状がわかりやすくまとめられている。

また、先日ついに集英社・小学館のWebtoon事業参入が報じられた。

いったいなぜ、Webtoonはこれほどまでに流行っているのか?

これからも流行り続け、漫画のニューノーマルになり得るのか?

そして、四半世紀語り継がれる「名作」はWebtoonから生まれるのか?


この記事では、Webtoonの特性とコスパコンテンツの時代について、独断と偏見を交えて考察していきたい。

■Webtoonとは何か

Webtoonとは、簡単に言えばスマホ用に最適化されたフルカラーの縦スクロール漫画で、現状ではLINEマンガやピッコマなどの海外資本アプリが最大手の配信媒体となっている。

Webtoonは1990年代末〜2000年代初めに韓国で生まれたとされているが、歴史や定義については下記記事などをご参照いただきたい。

2010年以降にスマホが普及したことでWebtoonは脚光を浴び、『梨泰院クラス』や『Sweet Home』などはNetflixでドラマ化され、一躍有名となった。

市場規模も計り知れず、2021年時点で36億7347万ドル(約4400億円)、2028年には262億1359万ドル(約3兆1500億円)に達すると予測されている。

Webtoonがここまで読まれるようになった背景としてはスマホの普及が大きいが、それだけでは説明できない程の広がりを見せている。

いったいなぜ、Webtoonはこれほどまでの人気を獲得したのだろうか?

■すべてがコスパになる

現代人にとって24時間で終わる1日はあまりにも短い。

ネットやSNSの普及によりできることが急に増え、漫画だけでなくアニメ、ゲーム、ドラマ、映画、小説、音楽など、あらゆるコンテンツが量産され、しかも簡単にアクセスできるようになった。

ウィズコロナ時代に突入したことでリモート化が進み、仕事における様々なシーンが効率化されたとはいえ、1日の中でやりたいことを全てやり、見たいものを全て見るのは不可能だろう。

日々の可処分時間がますます減っていく中で、生活のほとんどがコスパに支配されつつある。

仕事だけではなく趣味・娯楽にも効率が求められる現代において、漫画もその例外ではない。

そして、Webtoonは非常にコスパの良い漫画コンテンツである。

腰を据えて単行本を読む時間が無くても、スマホがあれば電車の中やスキマ時間で漫画を楽しめる。
一日待てば次話が無料で読めるなどの仕掛けは、現代人の少ない可処分時間を非常によく理解した設計と言えるだろう。

こんなに便利なコンテンツが流行らないわけがない。

■Webtoonから名作は生まれるか?

なぜこのような問いかけをしているのかと言うと、別にWebtoonを否定する気はなく、むしろ筆者も毎日Webtoonを楽しんでいる。

ただ、これほどまでにWebtoonの市場規模が大きくなり、「これからの漫画はWebtoonだ!」というような内容をメディアやSNSで見かけることが多くなったので、それについて少し考えてみたいだけである。

そもそも名作の定義など人それぞれだが、ここではあえて「四半世紀語り継がれる作品」として話を進めてみる。

キャラクター・ストーリー・世界観・絵柄など、漫画の構成要素は多々あるが、多くの人々に感動を与え、長く語り継がれる作品の条件とは何か。

その1つとして、十分な長さの物語に時間をかけて没入することで、キャラや世界が自分の中で動き出し、感動に繋がるという感覚が個人的にはある。
(もちろん巻数が多い=名作というわけではない)

そして、Webtoonもコマ数が多く話数が長ければこの条件はクリアできる。

しかし、とても良くできた人気Webtoon作品を300話以上読んでも、自分が今まで読んできた名作と同じように感動できるかというと、少し難しい気もする。

では、形式としての違いはどうか。

通常漫画とWebtoonでは1ページ(1画面)の情報量とコマ割りが違う。
ページ毎の情報量のメリハリ、コマ割りのバリエーションも、感動を生み出す重要な要素の1つではないかと思う。

図2

縦スクロールに合わせたコマ割りだと、どうしてもシーン毎のメリハリや盛り上げ方に限界が生じる。
ページの区切りを利用した演出や、名シーンにおける大ゴマの活用は通常漫画の強みと言えるだろう。

付け加えると、単純に媒体の大きさというのも重要な要素の1つと考えられる。同じ映画をPC・TVと映画館で観れば迫力が違うように(音響の違いも大きいが)、同じ漫画をスマホと単行本で読めば当然印象は異なる。

その意味では、Webtoonの限界というよりスマホコンテンツの限界と言う方が正しいかもしれない。ただもちろん媒体が大きいほど感動が大きくなるわけではないし、媒体の大きさに合わせた形式・情報量でコンテンツを制作することが大事である。

その意味でWebtoonはスマホ用に最適化された漫画に見えるが、個人的には一度に目に入る情報量をもう少し増やしてスクロール回数を減らすのもアリかと思う。
古い感覚の持ち主からすると、コマ数、セリフが少なめの横読み漫画の方がスマホでの読みごたえを感じるので、Webtoonも今後は少し凝縮された構成が増えるかもしれないと勝手に考えている(そうなった場合モノクロWebtoonも増えていく気がする)。

また、最近はロケットスタッフがWebtoonとモーショングラフィックスを融合した専用ビューアを開発したなどの動きもある。

漫画とアニメーション・音声を融合し、一度に得られる情報量を増やした新しい形のWebtoonということで、どのような作品が生まれるのか楽しみではある。

この他にも、よりユーザーニーズに合った媒体・形式が模索されており、読みやすさと満足度のコスパで今後の漫画の在り方は決まっていく。

そしてコンテンツ数が爆増し個々の賞味期限が短くなった現代においては、Webtoonに限らず名作として語り継がれる作品は無くなっていくだろう。

■コンテンツの未来

Webtoonはスマホでいつでもどこで楽しめるコスパコンテンツとしては非常に優秀だし、漫画文化の普及には間違いなく貢献している。

さらに、アニメ化やドラマ化、映画化により世界的な人気を博した作品もある。Webtoon自体も1つのコンテンツではあるが、メディアミックスによる大ヒット作を生み出すための原作IPとしての存在意義が大きい。

漫画に限らず、可処分時間の少ない現代人はコスパの良いものを消費する。アニメ、ゲーム、ドラマ、映画、小説、音楽など、あらゆるコンテンツにコスパが求められる。

『インスタントミュージック 世界中に溢れ 子供達は溺れてる』
(the pillows「インスタントミュージック」)

そして、コスパの悪いコンテンツは消費されなくなっていく。
深い感動を味わえるフォーマットは場所を選び、時間がかかることも多いため、一部のマニア向け嗜好品になるのかもしれない。

かといって昔はよかったと言っていては老害と呼ばれても仕方ない。
感動なんて相対的なものだし、誰にとっても10代の頃に触れた娯楽が至高であり続ける。これからの世代はコスパコンテンツから深い感動を得ていくだろう(そもそも漫画自体が昔の人から見ればコスパコンテンツであり、筆者も長編小説などはほとんど読まなくなった)。

結局、世代交代とともにコンテンツの形式が変わっていくことは避けられないし、受け入れるべきものである。

■コスパ×エンタメ×ビジネス=新サービス

本来コスパが求められるのは、エンタメよりもビジネスだ。
そしてビジネスにもエンタメ性が求められる時代になってきている。

ならばいっそ、現代人のニーズに合わせてよりコスパが良くなったエンタメコンテンツを活用した新サービス開発を進めようと思う。

例えばPCよりスマホをよく使う若年層向けに、いつでもどこでも漫画で楽しく短時間で訴求できるWebtoon型PRコンテンツ「Biztoon」はどうだろうか。

【Biztoonイメージ(弊社実績)】

最近はゲームのように遊びながらユーザーの満足度や社員の生産性を向上させる「ゲーミフィケーション」も注目されているが、スマホ1つあればスキマ時間で楽しめるWebtoonはさらにビジネスとの相性がいいかもしれない。

最後唐突に宣伝っぽくなってしまったが、今後ますますコスパコンテンツの時代が加速していくのであれば、その流れに乗ってコスパ・エンタメ性の高い新サービスをどんどん開発していこうと思う。

文:中嶋駿

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