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【キッカケの漫画】祖父はプランター発明者!農×IoT×エンタメ=アグリテインメントを切り拓く男の原点【プランティオCEO芹澤孝悦(後編)】

祖父はプランター発明者であり、IT企業・エンタメ分野でのプロデューサー経験もあるプランティオ株式会社CEOの芹澤孝悦(せりざわ たかよし)さん。
そんな芹澤さんは『ブッダ』や『火の鳥』に影響を受けて、『ダイの大冒険』のマトリフやアバン先生の言葉に支えられてきたとのことでした。
後編でも引き続き、芹澤さんが影響を受けた漫画の話を伺っていきます。

インタビュイー(受け手)
芹澤孝悦(せりざわ たかよし)
プランティオ株式会社CEO
祖父が世界ではじめて『プランター』という和製英語・製品を発明。
「みんなでたのしく野菜を育てる世界へ」をビジョンに掲げ、シェア型のIoTコミュニティファームや、野菜を育てる人を繋ぐアプリ・ウェブサイトを展開。
https://twitter.com/takayoshi179
インタビュアー(聞き手)
齋藤、絹巻 
「マンガコンテンツで感情と行動を変える」株式会社トレンド・プロ編集者

▼前編記事はこちら

■挫折の末に気づいた祖父の発明の本質と、自分にしかできない『アグリテインメント』

齋藤
芹澤さんは『自分にしかできないアグリテインメントがある』と仰いました。
自分がドラゴンクエストシリーズでいう勇者的な存在、『ロトの血を引く者』だと考えるようになるまでに、どういった心の動きがあったんですか?

芹澤
私は以前はスマートプランター(AIや通信機能を備えたプランター)の開発に注力していました。ですが最初の試作型ができた時に、プランティオの共同パートナーである孫泰蔵(そんたいぞう)さんに見せにいくとお叱りを受けました。
「手段ばかりにこだわっている中二病なら、出資したお金を引き上げるよ」「君のおじいさんの発明の本質は高性能なプランターを作ったことではなく、人々が『農』に触れる機会を作ったことだ」と孫泰蔵さんは言いました。
私は非常に衝撃を受けて、2ヶ月間引きこもりながら漫画を読み漁りつつ考え抜きました。日本の食の安全や食料安全保障をふりかえると、種や食料の自給率が非常に低く、農家の人口も年々減っています。一方で海外ではアーバンファーミングと呼ばれる、一般人による都市部での野菜栽培が広がっていて自給率がどんどん上がっています。その取り組みは野菜の種を取って、また種をまく…といった持続可能な性質を持っています。
そこが僕の中では火の鳥の輪廻転生に通じますし、『そういった取り組みを続けられるのは、エンターテイメントのような性質もあって楽しいからだ』『楽しい漫画はずっと読み続けられるように、エンタメには持続可能な力があるんだ』と気付きました。それからは『楽しく野菜を育てて食べるにはどうすればいいか?』を考え抜きました。
その結果、ITを活用することで『農業』を誰でもできる『農的活動』にまで敷居を下げて、エンタメとしてクエストを攻略するような感覚で楽しく野菜栽培をする……といった仕組みを作りました。
そういった形でのアプローチは、三代目として生まれてエンタメ畑・IT畑の業務経験も持つ私にしかできないと気付き、「僕はロトの血を引いていたのかもしれない」と考えるようになりました(笑)

■ドラクエの魔王に挑むような楽しさを分かち合う野菜栽培!

齋藤
現在ではゲーム攻略情報はwikiを見ればいいですが、私が小学生だった頃はインターネットがまだそこまで発達していませんでした。そのためゲームの攻略情報を誰かが入手して、友達の家にみんなで集まって実際にゲームで試してみる、成功しても失敗しても結果を共有する……といった交流が生まれていました。そういった有機的な繋がりって、プランティオさんでやろうとしているコミュニティの作り方にも通じるところがあると思います。いかがでしょうか?

芹澤
結論からいうと、楽しいところに人は集まります。
野菜栽培は失敗する時もありますが、だからこそ上手く育った時が楽しい。ドラゴンクエストで強い敵が出てきて負けても、レベルを上げて試行錯誤して魔王を倒すのが楽しい……というのと同じ原理です。オンラインでもオフラインでも、そういった楽しさをみんなで分かち合おうというところに人は集まります。

齋藤
お話を聞いていると昔のものだけでなく、最近のゲームや漫画など様々なコンテンツに触れている印象を受けますが、いかがでしょうか?
 
芹澤
今は原神をプレイしていますね。だいぶやり込んでいて、ほぼキャラを揃えています(笑)
 
齋藤
やっぱり資金かあ…(笑)私も好きな声優のキャラクターが原神で出たので、会社の忘年会の最中にずっとガチャを回していました。

■人を動かす原動力はハートムービング!パリピ孔明が教えてくれた、昔も今も変わらない人の本質

齋藤
芹澤さんへの事前アンケートでパリピ孔明の話が出ていましたよね。あの作品で特に印象に残った点についてお聞かせください。

パリピ孔明(原作:四葉夕卜、作画:小川亮)
五丈原の戦いで死期を迎えた名軍師・諸葛亮孔明が、現代日本へと転生した! 渋谷のパリピ達に誘われ、たどり着いたのはダンスミュージックが鳴り響くチャラめなクラブ。そこでシンガーを目指す月見英子と出逢い、孔明の二度目の人生が幕を開けた! あの諸葛亮孔明が軍師(マネージャー)となって策を駆使して、駆け出しのシンガーをスター街道に乗せていく……という個性溢れる作品。

芹澤
パリピ孔明では軍師……スタートアップでいうCOO(最高執行責任者)が、英子という才能ある歌姫を見出し、ラッパーなどの人材も集めていきます。ドラクエのようにパーティを組んで何かを成し遂げる、そしてプロデューサーなどの障害と戦っていく。
私自身もスタートアップをやっていて人を集める・動かすことの難しさは実感しています。パリピ孔明では人を動かすキッカケがしっかり描かれていて、ハートがムーブしないと人が動かない。そこが良い漫画だと思っています。
 
齋藤
人の動かし方は孔明自身の悩みだったとも思います。最前線で動くのは孔明本人ではなく英子なので、孔明だけでは事態を解決できない。考える側とやる側の立ち位置の違いもあって、歯がゆい思いをすることもたくさんあります。
それでも自分の立ち位置を守り、あれだけ軍師に徹していられるのはすごいことです。『現実世界でもこれができれば全ての仕事は円滑に回るだろうな』と思いました。
 
芹澤
後は孔明が用いる策について、昔通用した兵法が今の世界でも通じているところが印象的でした。それだけ人の本質は変わっていない、人が動く原動力はハートムービングだ……というところが素敵だと思いました。

■『楽しいこと』を持続可能にする秘訣は、価値観をアップデートしていくこと

齋藤
それでは最後の質問です。
『失敗する楽しさ』『成功する楽しさ』『漫画が楽しい』など、色々な『楽しい』が存在すると思います。芹澤さんが定義するとすれば、『持続可能な楽しさ』とはどういうものですか?
 
芹澤
『楽しい』を通じて苦労したり成長したりすると思いますが、その過程で価値観を変えていけるかどうかだと思います。価値観を自分自身でアップデートしていければ時代に適応した人間になれるし、老害になることも避けられると思います。
『人生はロールプレイング』という有名な言葉もありますが、ドラクエのボスにワクワクしながら挑戦し、それを繰り返すことで自分自身が成長するし、価値観もアップデートするのでより楽しんで生きていける。ワクワクしながら挑戦し、成長や価値観の変化を楽しむ……といったサイクルが一番持続可能だと思っています。たとえば『世界が大変だから野菜を育てて食料自給率を上げなきゃ』ではなく、『楽しいから野菜を栽培しようよ、それで結果的に世の中が良くなったらいいよね』が私の目指している世界です。これからもエンターテイメントの心を忘れずに、皆さんのハートをムーブできるような製品・サービスを作っていきたいと思います。

齋藤
持続可能な楽しさが世の中を良くしていく。これはアグリテインメントに限らず、これからの時代に求められる考え方ですね。
芹澤さん、ありがとうございました!

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