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業務プロセスの「広さ」「深さ」、そして「成熟度」

久しぶりにプロセスマネジメントについての記事を書きます。

10,000字くらいの長い記事を書いても良かったのですが、図解も含めてコンパクトにまとめることにしました。

本記事で伝えたいことは以下の3点です。

その①
改善したい業務プロセスの問題が「広い」問題なのか「深い」問題なのかを事前に考える必要がある。間違っても混同してはいけない。
その②
「広い」かつ「深い」問題に対しては先に「広さ」の問題を解決する必要がある。「深さ」のアプローチから始めてはいけない。
その③
業務プロセスの「広さ」「深さ」ともに「成熟度」という別軸をもつ。成熟度の高いプロセスは再現性と柔軟性に優れる。

業務プロセスの分解とアプローチの選定

業務プロセスは「深さ」「広さ」「成熟度」に分解することができます。これはすべての業界・職種問わず共通です。図解すると以下のようになります。

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業務改善に関する本や事例をたくさん見てきましたが、どうも「深さ」に対するアプローチばかりが強調されてしまっているというのが個人の感想です。

たとえば以下のような事例です。

RPAやプログラミングによって作業効率向上やミスの削減を行うことはとても良いことです。しかしそれによって解決できるプロセスは限定的であり、広くはないことを知っておかなければなりません。

仮にとある業務プロセス群のうち、一つのプロセスだけを効率化させたとしても、全体の効率向上には繋がらない。これはエリヤフ・ゴールドラットの『ザ・ゴール』でも言及されています。

全体の効率を向上させるためには何をすればよいのか?それが業務プロセスの「広さ」に対するアプローチをとることです。

関連するプロセスの関係性を明確にする、異なる部署のプロセスを理解するといったことが解決策としてあげられます。

例えば複数部署にまたがるプロセスを「プロセスマップ」を使って整理してみる、というのもよいでしょう。

「成熟度」という軸

プロセスの「広さ」「深さ」ともに適切な解決方法をとれば一時的な効果を上げることは簡単です。しかし、それらを組織として長期間維持していくためにはとても難しいことです。

「広さ」「深さ」ともに「成熟度」という別の軸があり、この成熟度をあげていくことが組織としてプロセスの再現性と柔軟性を高めていくことへの取り組みとなります。

組織におけるプロセス管理レベルについては、わかりやすいフレームワークとしてプロセス成熟度レベル(CMMI)があります。5段階で業務プロセスの成熟度を示してくれています。自分自身の業務プロセスがどういう状態かを客観的に評価するために有効だと思います。

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CMMI Institute の情報を元に作成
https://cmmiinstitute.com/cmmi

まとめ:業界・職種かかわらずプロセスマネジメントのフレームワークをー知ることは有効である

ぜひ目の前の作業を作業としてとらえず、大きなプロセスとして捉えてみてください。解決したい課題を考えたときに、それが「広さ」の問題なのか「深さ」の問題なのかを考えてみてください。

迷ったら「広さ」の問題について考えてみてください。「広さ」の問題は「深さ」の問題よりも関係者が多いので解決の難易度が高いことが多いです。しかし「広さ」を無視して「深さ」だけにアプローチしても、全体最適には決してならないことを忘れないでください。

もし課題解決が見えてきたら「成熟度」という軸で解決策を強化することを実践してみてください。自分だけが知っている解決方法ではなく、組織で担保できる解決策になっているか?再現性があり、柔軟に仕様変更できる施策であるか?考えてみてください。

こうやって日々プロセスを改善していくことは周囲を幸せにしていく活動ですし、何より自分自身が楽しいと感じるはずです。

みなさまの活動に少しでもお役に立てればなあと願っています。

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