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『Good to Great』⑧恒久の繁栄のために

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『Good to Great』⑦テクノロジーとイノベーション

『Good to Great』/ Jim Collins

革新的な企業の法則を紹介している本書。本書の要約記事も8回目となり、いよいよ最終回。ここまでお付き合いいただきありがとうございました!

イノベーションが起こるとき

イノベーションはどのように起こるのか。外からみるととてもダイナミックな変化が突如として起こるように思われる。奇抜なアイデアが既存の概念を覆し、思いもよらない新商品やサービスが生まれる。そんな風に考える人も多いかもしれない。

だが、筆者によるとそうではない。イノベーションは段階的に起こるものである。確かに転換点には極めて爆発的な成長がみられるが、その前から着実に内部では変革が進んでいるのだ。イノベーションは内部の変化が積み重なった結果に過ぎない。外からは当然気づくことがなく、内部にいてさえ気づかないような変化の積み重ねがイノベーションをもたらす。決して最初から狙ってイノベーションが起こせるわけではない。後から振り返ってイノベーションだったと気づくことができるのだという。

その発展は恒久か?

革新的に見える企業であっても、すぐに衰退を迎えてしまう企業もある。蓋を開けてみれば実態が違ったという例も少なくない。恒久的な繁栄ができる企業とは何が違うのだろうか?

それは、これまでの章で確認してきたようにGreatなリーダー、Greatな文化を持ち合わせ、Greatな戦略をとり続けてきたかどうかということになる。

以下では僕が考えるGreatになりきれなかった企業の具体例を見ていきたい。

Greatになりきれなかった企業

株式会社ノヴァ。英会話教室。ビデオ会議システムを利用した「駅前留学」「お茶の間留学」を1990年代から展開。オンライン英会話の先駆け的存在。資金繰りが原因で倒産。倒産後公開された社長室は極めて豪華であった。リーダーが私欲を優先しておりGreatではなかったのだろう。

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RIZAP株式会社。「結果にコミット」をスローガンにプライベート肉体改造ジムを展開。印象的なCM効果も相まって一世を風靡した。しかし、2018年の11月に業績予想を大幅下方修正。M&A戦略による急拡大を反省することになる。企業文化と合うかどうかも定かではないインテリア、アパレル、ゲーム、音楽、新聞社といった企業を次々に買収したことはRIZAPにとってGreatな戦略ではなかっただろう。

RIZAPグループの株価を見ると、いかに2018年11月のインパクトが大きかったかがわかる。

もっともRIZAPは経営破綻したわけではないので、今後の再起に期待したいところではある。

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NOVAにしてもRIZAPにしても、勢いがあった当時のメディアへの取り上げられ方は尋常ではなかった。ほとんどの人がどちらも繁栄を続けるのではないかと思ったのではないだろうか。しかし、残念ながらそうはならなかった。

一方で真にGreatな企業はイノベーションを起こした後も成長を続ける。そのために必要なのは事業の急拡大や奇抜な戦略ではない。自社にとって必要な人・文化・戦略を愚直に選び続けること。一足飛びではなく段階的な成長を目指すこと。

謙虚で地味な成長を続けることによって革新が起こる。そしてその後もこれまでのことを一貫して続けることが重要。それが筆者によるGreatな企業をめざす組織へのメッセージであり、僕たちが肝に銘じておくべきことなのだろう。

最後に

では逆にGreatな企業の事例は?と聞かれるとこれが非常に難しい。

いくつか候補は思いつくものの、それが本当にGreatな企業かどうかを判断することは困難を極めるからだ。

今の時点ではGreatな企業も、将来的にはどうなるかわからない。そして今Greatになろうと努力している企業の内部変化は、外からは観ることができない。

なのでGreatな企業についての実例を挙げるのは避けようと思う。本書の内容を参考にぜひ自分自身で探してみてほしい。そしてもし「Greatな企業に違いない」と思える企業を見つけたら、その会社の株を買ってみるのがよいだろう。そうすればきっと、数年後には一体感をもってイノベーションを楽しめることだろう。

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