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超短編小説『ナンセンス劇場』049

【謎のスイッチ】

 月の裏側を探索していた宇宙飛行士が奇妙なものを発見した。
 大きな岩にスイッチのような物が付いていたのだ。
 宇宙飛行士は恐る恐るそれを押してみた。
 しかし何が起こるというわけでもなかった。

 同時刻、6年間家に引きこもっていた吉田タケシが突然猛烈に勉強を始め、9ヶ月後大学に合格した。
大学を卒業してから数年後、彼は癌の特効薬を開発し人類は癌を克服するに至った。
宇宙飛行士が押したそれは吉田タケシのやる気スイッチだったのだ。
その後も吉田タケシは様々な研究・開発を続け人類に偉大な飛躍をもたらした。


【ボーダーライン】

「あー忙しい、猫の手も借りたいくらいだよ」

「僕の手なら貸してあげるよ」

「おー、ニャン太郎くん。ぜひともお願いするよ」

「私も手伝うわ」

「フェレットちゃんもありがとう」

「あの、僕も暇なんで何かお手伝いしましょうか?」

「いや、ハダカデバネズミの手は借りない」

「そ、そうですか・・・」


【既知との遭遇】

 男が車を走らせていると森の中から眩い光が差し込んできた。
 男は車を路肩に止め好奇心にまかせて光の方へと歩いて行く。
 すると目の前に今までに見たこともない光り輝く謎の物体が現れた。
 男がそれを暫く観察していると突如扉らしきものが開き、中から人型の生物が3体降りてきた。
 人型の生物は男の前まで来るとこう言った。

「ワレワレハ・・・地球人ダ」

「何だよ! 紛らわしいことしてんじゃねーよ!」


【ニッポン・チャチャチャ】

「U・S・A! U・S・A!」

「よし、俺達も負けずに応援するぞ。
 J・P・N! J・P・N!」

「お前、アメリカのスパイだな!」

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