飢えとの戦い

父親に引き取られた私と弟は
すぐに女の人に会わされました。
やっぱりな、、、と思いましたが、
予想してなかったのは
その女の人にも連れ子がいたことでした。
小学3年生くらいのその子は、
自分の母親を取られたくなかったのでしょう。
会ったときから、すごい目で
私と弟を見ていました。

一緒に暮らし始めてからほんの数ヵ月で
私と弟とは暮らせない、と
父親に言ったようです。

私と弟は六畳一間の風呂なし
トイレ共同のアパートに
住むことになりました。
中学生二人で、親のいない暮らしが
始まりました。

父親はたまに来て、お金を少し
置いていきました。
それを計算して、銭湯代や
ご飯代にしました。
けれど料理もしたことがないし、
台所というにはお粗末な
半畳ほどの水回りがあるだけでした。

父親は、腹立たしいことがあるとやって来て、
私たちのことを罵って、竹刀で殴って
少しのお金をおいて帰っていきました。
新しい女の人とうまくいっていないようでした。
父親は、私たちが来たから
うまくいかなくなった、と言っていました。
私は元々
施設にいた方がましだと思っていたので、
強引に引き取ったくせに
うまくいかないことを私たちのせいにする
なんて、卑怯だと思いました。
そんなことを言おうものなら、
立てなくなるまで殴られるのは
目に見えていたので、
もちろん、心の中で思っていただけですが。

中学3年の終わり頃、
父親はほとんど姿を見せなくなりました。
一か月に一度くらいでしょうか。
一万円だけおいていきました。
私と弟は、いつもお腹を空かせていました。
最終的には、小麦粉に砂糖を入れて水で溶かして、それを焼いて食べました。
クレープの皮のようなものでしょうか。

受験もしました。
受験当日、お弁当が必要でしたが
もちろん持っていくことができずに
お腹を空かせたまま受けました。

高校は、かろうじて合格しました。
けれど、父親は入学の手続きを
してはくれませんでした。


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