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コロナ禍を通して介護業界について考察する

2023年5月8日から新型コロナウイルス感染症は5類感染症に位置付けられました。
医療機関や高齢者施設では、引き続き感染対策を行いますが、これを機にコロナ禍でのデイサービスの変化を通して介護業界について考察していきたいと思います。

色々な想いを抱えながらも、素直な気持ちを記事にしました。
記事にしていいものかと考えつつも、ぜひみなさんに読んでもらいたい思いがあります。

拙い文章かつ、一部感情的な文章となっていますが、ぜひ、最後まで読んでいただければ幸いです。

1. 新型コロナウイルスで失ったもの

まずは、新型コロナウイルスによって失ったものについて書いていきます。

1-1. 命

やはり、失ったものの中で一番大きいのは利用者さんの尊い命です。

利用者さんやその家族、職員などの頑張りがあり、施設内でクラスター感染が起きることはありませんでしたが、利用者さん家族も働かざるを得ない環境の中で感染を防ぎきることはできず、利用者さんの家族から利用者さん本人に感染するケースはありました。
感染後は入院での療養となりましたが、その後、合併した肺炎により亡くなられました。

家族は、親を亡くした悲しみだけでなく、自身がきっかけとなってしまったことに対して自責の念に駆られるという最も悪いと考えられる状態となってサービスが終了しました。

間違いなく、悪いのは新型コロナウイルスであって、家族ではありませんが、家族本人は自分を責め続けます。

介護施設は利用者さんが亡くなられるとサービス提供は終了するため、直接的な関与はできず、行政などに連絡するぐらいしかできません。
しかし、社会福祉士であれば、利用者さんの家族に寄り添い、悲しみに共感することができ、必要とあればサービスに結びつけることもできます。

今回の経験を経て、デイサービスにおいても社会福祉士という専門職は必要であり、同時に家族へのケアも必要であると強く感じました。
そして、長く利用してくれていた利用者さんに対しての職員の想いも同様にケアが必要だと感じました。

新型コロナウイルス感染症に対して、許せないという思いを正直持ちました。
悲しくも、改めて高齢者にとって、新型コロナウイルス感染は危険だと強く感じさせられました。

1-2. サービス提供

イベントごとでは、新型コロナ感染拡大以前は近くのスーパーや、隣町にある道の駅などで買い物したり、ファミレスなどにスイーツを食べに行ったりしていましたが、人流が多いところでの3密を避けるため、それらは中止となり、施設内で過ごす時間が圧倒的に増加しました。

新型コロナウイルスが落ち着いた現在は、感染対策を施しつつ、季節のお花を見にドライブに行ったり、運動会をしたり、美術館を見学したりするなど、徐々に再開していますが、まだ慎重に検討しながら進めています。

レクリエーションに関しても、コロナ禍前はチーム対抗や全員でレクリエーションも混ぜながら行っていましたが、コロナ禍では、原則個人でのレクとなりました。
現在は、全員参加型のレクリエーションなどもやるようになり、チーム、個人、全員のレクリエーションを上手く織り交ぜながら日々楽しく行っています。

レクリエーションなど施設内で行うものに関しては、対策を取った上で行う分には問題はありませんが、イベントごと、特に外出に関しては、不特定多数の人と接触する可能性があり、また、家族によっては強い不安を感じる方もいるため、どうしても慎重にならざるを得ません。

利用者さんの家族に許可を取り、実行することももちろん可能ですが、やはり、利用者さんとその家族の方々全員が安心してサービスを利用できることが重要であると考えます。

だからといって、新型コロナウイルスが完全収束するのを待つのではなく、より安全な対策を講じ、家族が安心できるような取組みを考え、その姿勢を示すことが最重要なのです。

1-3. 社会的な交流

こちらもコロナ禍前は近隣の保育園の子どもたちやボランティアの方々が来てくれていましたが、それらも中止となりました。

現在は、毎月、音楽療法の先生が来てくださり、マスク着用かつスペースを保った状態で再開しています。

地域の民生委員さんと震災を想定した避難訓練に取り組むなど、外部との交流を少しずつ再開していますが、行事やイベント同様慎重に行動しています。

地域を知ること、地域に知ってもらうことは非常に重要であるため、交流の機会を設けることは積極的に企画していく思いです。

楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する。
この稲盛さんの言葉を胸に留め、行動していきたいと思います。

2. 新型コロナウイルスで得たもの

次に、新型コロナウイルスによって得たものについて書いていきます。

2-1. 日常および施設の大切さ

以前、他デイサービスの職員さんから、クラスターが発生した際に1週間程度やむなく閉鎖したところ、再開したときの利用者さんのADLがひどく低下していたと聞きました。

デイサービスに来訪すること、そして、入浴やレク、体操などデイサービスで過ごすということは、利用者さんのADLに強く関係していることを改めて感じることができました。

そして、そのときはたった1週間でと驚きましたが、高齢者の方々にとって1週間は長く、貴重で、自分たちの時間の概念を物差しとして考えることは誤りであると考えました。

運営の難しさ

新型コロナウイルスは新種のウイルスであるため、対応・対策が難しい中、利用者さんとその家族、職員を含めての施設運営は大変だったと思います。
職員も濃厚接触者になると1週間自宅待機となるため、人員配置を改めて考え直したり、保健所と連絡を取り合ったり、また、感染者が出たときの対応など、24時間気が抜けない日々のなかでの戦いだったと思います。

また、利用者さんで感染者が発生した場合は、感染拡大を防ぐための備品を購入し、設備を増強するなど、支出は膨らむ一方で、新規利用を止めるため、収入は減少する。
経営は決して良い状態ではないにも関わらず、給与を払い続けてくれたことには大変感謝しております。

2-2. 職員の成長

やはり新型コロナウイルスを乗り越えた一番の理由は職員の存在です。

様々な規制がかかっているなかで、各々が利用者さんに対して、質の高いサービスを提供するために創意工夫をし、試行錯誤をしながら対応していました。

たとえば、マスク着用に関して言葉で伝えるだけでなく、製作物にマスクを着けるなど、感染対策としてのマスクの必要性を浸透させる工夫をしたり、施設内での過ごし方に気を配り、自宅の庭に咲いているお花を持ってきてくださるなど、施設でも四季の花を楽しませるような環境を作ってくれました。

こうした配慮ある対応のおかげで、コロナ禍においても、可能な限りでの最大限のサービスを提供することができたと感じます。

このコロナ禍での経験は、職員一人ひとりの能力や心を高めるだけでなく、創意工夫により利用者さんが喜んでくれることが自信につながったと思います。

また、新型コロナウイルス感染者が身近に現れたときには、職員同士で補い合い、協力して業務に取り組んだことにが、結束力をより一層強固にしたと感じます。

3. 介護業界に必要なもの

改めて振り返ってみると、当たり前ではない日常を送れていることに感謝の気持ちしかありません。

しかし、これからが大切です。

コロナ収束後に以前のようなサービス提供をする施設に戻るのか、それとも今回の経験を糧として新たなサービス提供の形を築くのか。

革新的なような大きな変化は必要はなく、ちょっとした変化を加えるだけで良いのです。
その変化の積み重ねがとても重要だと考えます。

これは福祉・介護業界のみならず、どの業界においても言えることであり、デジタルとアナログ、ITやAIを程よく組み合わせた新たな形として作っていくことが大切です。

たとえば、ChatGPTが最近話題となっていますが、ChatGPTを導入し、業務効率化を図ることが必須ではないと考えています。
ChatGPTを試し、こういうものがあるのね、これは面白いね、と遊び感覚で試してみること、これがすでに変化なのです。

つまり、変化とは難しいことではなく、新しいことを経験値というフィルターを通さず、試してみることが変化ということです。

少子高齢化という大きな社会問題に直面している日本は、国の財源および行政や自治体の財源が減る一方で、国民一人ひとりの介護負担は増加傾向にあり、在宅福祉を迫られるなど、介護業界が抱えている問題は計り知れません。

しかし、今回、新型コロナウイルスという未曾有のウイルス感染拡大の時代を乗り越えることができたように、いかなる最悪の事態も乗り越えることはできます。

そのために必要なことは、変化を恐れないことだと考えます。

まとめ

私自身は福祉・介護業界のこれからに対して、不安を抱えつつも楽しみでもあります。
ぜひ、同じ業界に従事するみなさんも不安視だけをせず、日常の中で変化を加え、一緒に未来を築き上げていけたらと思います。

今回は、素直な気持ちを文章にさせていただきました。

まとめとして、前向きな文章としてまとめましたが、内心は新型コロナウイルスがなかったら…と考えない日はありません。

必要悪がこの世にあるのだとしたら、人の命まで奪う必要があるのかと問いたい気持ちです。

それぐらい家族から、私たちから利用者さんの日々の生活を奪った、命を奪った新型コロナウイルスが憎くて仕方ありません。

イラストがなく読みにくい部分があったかもしれませんが、言葉を聞いてほしく、あえてイラストをなしにした記事としました。

わがままな記事ではありますが、少しでも共感や介護業界に理解をしていただければ幸いです。

ご高覧いただきありがとうございました。

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