見出し画像

【完全版②】 経済が分かる景気指標について

先行指標
将来景気がどこへ向かうか教えてくれる指標

一致指標
現在の景気の様子を教えてくれる指標

遅行指標
過去の景気の状態を教えてくれる指標

大事な考え方(本記事で扱います)
・GDP(国内総生産) = 個人消費(70%) + 投資支出(15~20%) + 政府支出(15~20%) + 貿易収支
・複合的指標
・インフレその他の不安要素

①個人消費に関する経済指標
【完全版①】 経済が分かる景気指標について

②投資支出に関する経済指標
【完全版②】 経済が分かる景気指標について

③政府支出に関する経済指標
【完全版③】 経済が分かる景気指標について

④複合的指標とインフレその他の不安要素
【完全版④】 経済が分かる景気指標について

投資支出に関する経済指標

4. 銅価格

「銅は景気を知っている」
銅価格が上がっているときは経済は順調、下がっているときは経済が思わしくない表れ。
銅の供給は安定しており、物価の変動からもそれほど影響を受けない。よって需要の増加を素直に反映して価格が上がる。電気や熱に対する高い伝導性がある故に電気配線や自動車、電子器具などの製造の現場で欠かせない。

ポイント

・先行指標
・銅価格が上昇→好景気の前触れ
→銅や製造業関連株に投資。景気拡大に向けてポートフォリオを整理する。
・銅価格が下落→景気後退の前触れ
→銅や製造業関連株を売る。

※労働者のストライキがあった場合などは、銅の供給量が減るので価格が上昇したりする。

画像1


5. 耐久財受注(前月比)

企業や家庭が大型商品をどれくらい買っているか。

企業 : 製造機械や工場などの資本設備。
家庭 : 冷蔵庫や洗濯機などの大型家電や自動車など。

ポイント

・先行指標
・一般消費者の耐久財購入増→人々の購買意欲が上がっている。
→S%P500など広範なインデックスを買う
・企業の耐久財購入増→業界が全体的にうまくいっており、経済に対する信頼感が上がっている。
・変動が大きい指標なので、全体のトレンドを掴むのが大事
※航空機、防衛関連などの輸送機を除いた耐久財受注(輸送除くコア)の方がデータの傾向が見えやすくなる。航空機は非常に高額で、受注のタイミングに一貫性がないため。

画像2


6. 住宅建築許可件数と住宅着工件数

住宅建築許可件数は、住宅の着工に先立つ建築許可の発行数を指す。
住宅着工件数は、実際に住宅の建築が始まった件数を指す。
業者が家やマンションを建設するためには、人々が買ってくれるはずだという確信が必要。一方で人々が家を買うためには、将来的に安定した収入があるだろうという見通しが必要。

ポイント

・先行指標
・住宅建築許可件数と住宅着工件数が増えてきたら、経済全体が活気付くサイン。
・住宅が建築される際には、資材が発注される必要があり、業界全体が潤うことになる。
・不況下では金利が低くなり、ローンが安くなるため着工件数などが増える
・好景気の時には金利が上がるため、ローンを組むと割高になり着工件数は減る。
・全体のトレンドが大事。
・住宅市場が上がってきたら、住宅建築業者、住宅建築関連(林業や鉱業)の株を買う。

画像3

住宅建築許可件数

画像4

住宅着工件数


7. 鉱工業生産指数と設備稼働率

鉱工業生産指数は、米国の鉱業及び、製造業において月々どれだけの量のものが生産されたかを測る指標。
医薬品や携帯電話、テレビなどの製品、金塊や銅、木板なども全てこの指標に含まれる。
設備稼働率は、理論的な最大生産能力に対する実際の生産量の比率を表す指標。最大生産能力とは、米国のあらゆる企業が全ての工場の設備を休みなくフル稼働させた場合に生産できる量のこと。

ポイント

・鉱工業生産指数 : 一致指標
・設備稼働率 : 先行指標
・設備稼働率が高い水準→製造業は好調。景気回復期
→設備稼働率が高いときは、設備投資を行ったり、雇用が生まれる。
→設備稼働率が一定の高さになってくると、今度はコストが膨らんでくる。
設備稼働率が高い→ものが売れてる→高い値段で取引→多くの企業が値上げ→原料の値上げ
※原料コスト増の時は、原料を提供する側の企業(天然資源やコモディティ)を選ぶ。

画像5

鉱工業生産指数(前月比)

画像6

設備稼働率(前月比)


8. ISM製造業景況指数

全米の製造業の購買担当役員にアンケート調査を実施し、その結果をもとに製造業の景況感を示したもの。

ポイント
・先行指標
・50を超えれば景気拡大、下回ると景気後退を示す。

画像7


9. ISM非製造業景況指数

サービス業はGDP(GDP(国内総生産) = 個人消費(70%) + 投資支出(15~20%) + 政府支出(15~20%) + 貿易収支)で政府支出を除いた民間経済のおよそ7割を示す。
銀行、商店、卸売業、不動産業など

ポイント

・先行指標
・50を超えれば景気拡大、下回ると景気後退を示す。
・コンスタントに50を超えている
→株などのリスクの高い資産を買う
・コンスタントに50を下回っている
→国債などの不況に強い資産を買う

画像8


10. 単位労働コスト

全体としてどれだけの効率で仕事が行われているかを表す。
単位労働コストは、企業が一定量のものを作るのに必要な労働コストを示す。

ポイント
・一致指標
・他の指標と組み合わせてみる必要がある。
・不景気の時、単位労働コスト増→賃金の増加を意味する。
→景気回復のサイン
・不景気の時、単位労働コスト減→デフレや更なる景気悪化のサイン
・好景気の時、単位労働コスト増→インフレを招く要因となる。
→原材料費が同じ水準で人件費だけが上がっている場合、企業は同じ利益を出すために製品の価格を上げざるを得ない。
・好景気の時、単位労働コスト減→ 生産性の向上で景気がさらに良くなるサイン

画像9


参考
経済指標読み方のルール―ウォールストリート・ジャーナル式

①個人消費に関する経済指標
【完全版①】 経済が分かる景気指標について

②投資支出に関する経済指標
【完全版②】 経済が分かる景気指標について

③政府支出に関する経済指標
【完全版③】 経済が分かる景気指標について

④複合的指標とインフレその他の不安要素
【完全版④】 経済が分かる景気指標について

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?