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週刊 マーケットを読み解くゼミナール 2021年6月28日

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週刊 マーケットを読み解くゼミナール

2021年6月28日号                     

講師:神代龍児(こうじろりゅうじ)


【国内は一進一退、米国は底固い動き】


今週の日経平均株価は、米金融政策に影響を与える米経済統計の発表を待ちながら、一進一退の値動きになりそうです。


下値では、7月の4-6月期決算発表の際に、年度業績見通しが上方修正されるとの期待で押し目買いが入るでしょう。また、日銀が先週月曜日の急落時に、約2か月ぶりにETFを買い入れたことも一定の安心感につながります。
 そうした中、秋に実施されるとみられる衆議院議員選挙(総選挙)に対する不透明感が、積極的な上値追いを手控える理由になりそうです。特に、新型コロナの感染が再拡大すれば与党への逆風となりかねなないだけに、足下で感染者数が下げ止まりの状況を示していることが株式相場の重しとなっています。


 それを示すように、今月の日米株価指数のパフォーマンス比較では、日経平均株価は中立的ではあるものの(右上グラフ)、年初来でみれば、上昇する米株から徐々に引き離されている状況です(右下グラフ参照)。


 一方、米国株式相場は長期金利の落ち着きと、企業決算の発表を期待して底固い値動きになりそうです。先週末に超党派の上院議員が1兆ドル規模のインフラ投資法案に合意したことが、改めて景気敏感株の押し目買いにつながっています。


 そうしたなか、今週は米国でISM製造業景況指数や雇用統計など重要な経済指標の発表があり、景気拡大による早期利上げを警戒して戻り売りが増える場面が想定されます。ただ、このイベントを通じて米長期債への買い意欲の強さ(長期金利の上値の重さ)が確認されると、金利敏感のグロース株やナスダック指数採用銘柄に改めて資金が流入する可能性があります。


<来年末の利上げを織り込む動き>


(米雇用統計に注目)

今週の米国市場では、7月1日(木)発表のISM製造業景況指数(6月分)と、同2日(金)発表の雇用統計(6月分)を巡る思惑が、投資家の買い手控えや戻り売りにつながる場面がありそうです。この統計の結果が、7月の米連邦公開市場委員(FOMC、7月28-29日開催予定)やジャクソンホール会議(8月26-28日に米ワイオミング州ジャクソンホールで開催される予定の金融当局者会議)での具体的な政策変更につながる可能性が高いからです。

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