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日本の生産性が低い理由

皆さん、ボンジュール!投資家Cuberです。

「日本の労働時間は長いけど、生産性が低い」というのは、よく聞きます。
それは、本当なのか、実際のデータで見ていきましょう。

①世界中の生産性

まず、世界中の生産性について確認していきましょう。
OECD(経済協力開発機構)のデータを確認しますと、OECD加盟35か国の中に、日本の生産性は21位です。
G7の中でも、最下位になります。

1_OECD_生産性

②世界中の労働時間

また、同じく、OECDのデータから、世界中の労働時間を確認しますと、日本は22位です。

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ここだけ詳しくみていきますと、実は日本の労働時間はアメリカより短いです。
但し、男性だけの労働時間を見ると、日本は世界1位になります。

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ここは、日本の生産性が低い1つの理由が出てきます。
日本では、専業主婦がまだ多くて、女性の家事労働時間も確認しますと、男性の約5倍となります。
世界3位です。

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専業主婦が多いというのは、夫は2人・3人・4人の家族の生活を維持することになります。夫しか仕事していない場合は、一人の基本給料だけでは、4人家族をサポートすることは、無理です。
金銭的には合いません。
なので、自分の給料を上げるしかありません。
その給料を上げる一番簡単な方法は、残業することです。
残業するほど、残業代をもらって、簡単に稼げます。
残業をすれば、もちろん労働時間が長くなりますが、必ず成果を出すことになりませんので、生産性が低くなります。

③残業に対する全く違う考え方

では、そもそも、なぜ、残業しても何も言われないのか。

ドイツのケースを見ていきましょう。
ドイツの場合は、法律で、1日の労働時間は原則で8時間を超えてはいけません。
また、単純に「今忙しい」、「受注がたくさん来た」という理由でも、残業をするのは、基本的には、できません。
どうしても、残業をしなければならない日は、次の日の労働時間を短くして、平均で8時間にしなければなりません。
法律ですから。
つまり、日本みたいに、「残業代を稼ぐ」ことはできません。

ドイツの労働時間は1356時間で、日本(1710時間)と比べたら、約21%短いです。

5_ドイツ労働時間

それを見ると「ドイツ人は仕事をサボってんな」と思う人がいるかもしれません。
全くそうではありません。
ドイツの生産性はOECDの中に14位です。
日本は21位です。

つまり、ドイツの労働時間が短くて、生産性が高い、ということは可能です。
日本は労働時間が長くて、生産性が低いです。

④日本はなぜ生産性が低いのか?

では、なぜ、日本ではそんなことになっているのか、考えていきたいと思います。

先ほど、家族の構成と給料の問題について少し話しましたが、それだけではありません。
最も大きな問題は、やはり、日本の文化そのものです。

日本では、「頑張る」、「お疲れ様です」、「ご苦労様です」、「一生懸命」、「お忙しい中」など、学校や職場でよく使う、「苦労」を訴求する言葉がたくさんあります。
日本では、成果よりは、その苦労を認めます。
成果を出さなくても、頑張っていたら、全く問題がありません。
頑張った分は、褒められます。
「よう頑張ったな」とか。
残業代もそうです。

また、先の給料の話に戻りますが、簡単に給料を上げるのは、残業すればよいです。
成果を出して定時に帰る人は、成果を出さない、残業している人よりは、給料が低いです。
それは事実です。
つまり、残業代は生産性の低い人のご褒美です。

その結果、生産性が低いほど、給料が高い、という最悪な現状になります。
そのうえで、プライベートよりは仕事を優先している人の方が、社内で尊敬されます。
「頑張っている」、「苦労している」ということのアピールになりますから。
会社のために、自分のことを犠牲するのは、会社としてはうれしいです。

では、海外の場合、給料を上げるのはどうしているのでしょうか。
海外の場合は、給料を上げたいのであれば、成果を出して、出世するしかありません。
特に理由なしで残業をすれば、「お前、何してんの?早く帰れ」と必ず言われます。
勝手にお金をもらうために、残業をするのは、ダメです。
そもそも、成果を出せない人は、すぐクビになります。
成果を出さない、効率の悪い人は、会社としては要らないですから。

日本では、頑張って成果を出しても、何も変わりません。
基本的には、出世は年齢と連携していますので、年を重ねるほど、出世できます。

⑤なぜ生産性が低いまま、状況が続いているのか?

では、なぜ、日本では、こんな状態になっているのか。
その理由は、日本は「成果主義」ではなくて、「プロセス主義」だからです。
成果を出しても、成果を出さなくても、給料は基本的には同じです。

また、成果を出そうとしても、今までと同じやり方で仕事をしないとダメです。
先輩のことを尊敬して、教えてもらったことを必ず守らなければなりません。
入社して、会社のやり方やプロセスに問題を見つけて、それを上司に相談しようとしたら、「お前、新人のクセに、こんなことを言うのを勘弁してくれ」といわれることがあります。

それは、僕も、体験しました。

昔のやり方で成功しましたから、昔のやり方でいい、と思う人は、残念ながら大半です。

ただ、昔のやり方はもう今の時代に合いません。
日本のシステムと仕事のやり方は、もう古いです。
「はんこを守る会」とか、もう笑うしかありません。

また、日本では、「忙しい」というのは大前提です。
余裕がある人は、ただ単に仕事をサボっていると思われます。
効率よく仕事して、定時に帰る人は、「この人、いつも早く帰っている。ダメだな」と。
これこそ「プロセス主義」です。
日本では、「仕事をする」というのは、「出社する」と同じ意味です。
「頑張る」というのは、「遅く帰る」「残業する」ことです。
どうみても、成果と関係がありません。

⑥コロナ禍で見られた光

でも今年は、大きなチャンスが来たと思います。
テレワークが多くの企業で導入されました。
家で仕事をすることになりましたので、残業代が出ません。
それはなぜかというと、「出社する」ことを確認できなくてなって、「仕事をしている」ことも確認できないからです。
なので、仕事をしているかどうかを確認するために、成果を見るしかありません。

「今日は頑張った」と上司に報告したら、「具体的に」と必ず聞かれます。
なので、ある程度、残業をせず、成果を出さなければなりません。

テレワークは、ある意味、成果主義への一つのステップです。

また、テレワークについて、こういうデータもあります。
テレワークを始めて、実は、生産性が上がったと思っている人はとても多いです。

6_テレワーク

ということで、日本でも、成果を出そうとすれば、成果を出せます。
しかも、それは、残業を出ずに。

はやり、職場の雰囲気は生産性に大きく影響をしていると、ここでよくわかります。
「定時に帰ったらまずい」とか、「頑張ってるのを見せなきゃ」とか。

そのうえで、遅くまで会社にいるだけで、お金をもらえますので、社員としても、別に問題がないと思ってしまう人が多いです。

⑦結論

日本では、はやり、一番影響しているのは、文化です。
日本の伝統的な文化のせいで、生産性を上げるのは非常に難しいです。
ただ、テレワークなどの普及もあり、各社も成果と連動するボーナスなどを導入し始めていますので、徐々に変わっていくのではないかと、期待していきたい。

2020年10月16日
投資家Cuber

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