新型肺炎のインバウンドへの影響

旧正月(春節)休暇が始まりました。例年以上にピリピリしているのは中国・武漢を中心に流行している新型肺炎の影響でしょう。日本でも武漢からの旅行者の中に感染者が報告されています。ついには、感染の拡大を防ぐため、中国は27日から海外団体旅行の禁止が発表されました。

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日本政府観光局(JNTO)によると、2019年1年間に訪日した中国人の数は959万人で訪日者数全体の30%を占めました。うち、今回の海外団体旅行の禁止の影響を受ける「団体ツアー」と「個人向けの旅行パッケージ商品」を利用して訪日した人が約30%と推計されています。(観光庁訪日外国人消費動向調査より)

ざっくりとした計算ではありますが、海外団体旅行の禁止がどの程度訪日者数に影響するのか試算してみました。

12か月トレンド

直近12ヶ月の訪日中国人のトレンドから予測すると、2020年の訪日中国人数は1,059万人となります。うち、30%が今回の海外団体旅行禁止の影響を受ける団体ツアーもしくは個人向けの旅行パッケージ商品を利用していますから、海外団体旅行の禁止が12月まで続いてしまい、団体ツアーもしくは個人向けの旅行パッケージ商品を利用するはずだった人が個人手配に切り替えなかったという場合、約317万人の訪日中国人に影響する可能性があります。(実際は海外団体旅行の禁止がいつまで続くか分かりませんし、団体旅行で来るはずだった人が個人で手配して訪日することだって十分考えられますから、上記は影響が最大だった場合の試算です。)

317万人というと訪日者数全体の10%に当たりますから影響はかなりありそうです。また、新型肺炎で訪日者数の稼ぎ頭である訪日中国人数に影響が出ることは多くの方もお察しの通りなのですが、個人的には、今回の新型肺炎が原因で欧米豪の旅行者が訪日を避けてしまう点を懸念しています。過去のSARSが流行した2003年を見ますと訪日米国人は前年を下回っていたことが分かります。(欧米豪市場の中には2003年も好調に増加した国もありますが。)

DB_4. 各国・地域別の推移_年別1. グラフ1. 日本語

訪日予約の手配時期が早い欧米豪の旅行者は「今年の夏、日本に行こうと思っていたけど、アジアで新型肺炎が流行しているし、やっぱりやめておこうかしら。」なんてことにならなければ良いのですが。新型肺炎が早く収束することを期待しつつ、通常は予約時期が早い欧米豪の旅行者に向けて、新型肺炎が収束してから、ラストミニッツ(出発直前の駆け込み売り)で欧米豪の旅行者向けに旅行商品を販売したり、プロモーションやキャンペーンをするなんてことも考えておいた方が良いかもしれません。

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