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【第15話】大事なアレをなくして途方に暮れる

こんにちは、旅する自転車です。

前回は8月初旬の土日を使い、福井県の敦賀から石川県金沢まで走りました。今回は日を跨いで8月末になりますが、再び金沢から旅をスタートしたいと思います。

↓↓前回のおさらい↓↓

予定プランを先にお伝えしておくと、1日目は金沢から羽咋、2日目は富山でゴールとなります。1日目は千里浜なぎさドライブウェイで日没を迎え、最高の夕日写真を撮ろう、といった計画です。しかしあることが理由で、これは実現されないことになります。いったい何が起るのでしょうか…。

セーブポイント・金沢へ

金沢駅に着いたのは13時だった。とりあえず名物でもなんでもないが、おいしいと噂のカレー店でコンセプチュアルな一皿を食べる。今日がこんなにゆったりなスケジュールなのには理由がある。これから向かう千里浜なぎさドライブウェイが素晴らしい夕日スポットで、日没のタイムングで現地に到着したいからだ。金沢から40㎞もないので、昼に出発しても余裕というわけである。金沢の市街を抜けた頃にはもう14時30分を過ぎていた。

「金沢カレー」という名物グルメもあるが、これはスリランカ料理店の本格カレー
犀川という小さな川にサイクリングロードがあったので、ここから河口川へ向かうことに

砂丘を自転車で走ってみよう!

金沢駅周辺から離れるにつれ、田園地帯が広がってきた。大野川を渡ると内灘町に入った。この町にある内灘砂丘は砂のきめが細かく、自動車でも乗り入れることができる。今日の目的地である千里浜なぎさドライブウェイのコンパクト版といったところだ。ただ砂丘としての規模は大きく、条件付きではあるが国内では3番目の大きさだという。さっそく自転車で走ってみようとペダルを漕いだ。が、砂を巻き上げるだけで全然進めなかった。

「この先海」という、なんともざっくりとした案内のもと向かう
内灘砂丘が広がっていた。たしかに車で海岸の際まで進めるようだ
北陸鉄道浅野川線の終点・内灘駅にはかわいらしいローカル列車が集まっていた

ついに事件は起きた

今日のゴール地点を目指して、まっすぐ道を進んだ。心配事は、雲が増えてきて青空が隠れ始めたことくらいだった。走りながら自分の尻を触って気づく。「財布がない」。財布がないのだ。尻の右ポッケに入れていたはずの財布がない。自転車を停めて全身調べてみる。どこにもない。本当に財布がない。こんなことあるだろうか。昼ごはんの時は確かにあった。いや、その後使った記憶がない。ということは金沢市街からここに来るまでの十数㎞の間に落としたのだ。絶望だった。案外すぐに見つかるんじゃないかと、来た道を引き返すことに。注意深く路面を確認しながら走った。しかし一向に見つからなかった。少し走った所に交番があったので尋ねてみた。届いていない。お巡りさんが警察署へ連絡をしてくれた。とぼとぼと交番を出て自転車に乗ろうとした時、さらに悲劇が起きた。自転車のチェーンがバチンと切れたのだ。死んだ蛇のように切れたチェーンが路上に落ちた。

この場所で写真を撮っていた時に財布がないことが発覚
北陸鉄道浅野川線粟ヶ崎駅で日暮れを迎えた。この時は駅の待合用の小屋で寝ようと思っていた
夕暮れの北の空は紫色になる。これが千里浜なぎさドライブウェイで見られたらどんなに素晴らしかったか…。

事件解決に向けた動き

すでに日は暮れかけていた。財布もなく現金もなく、家に帰ることができるだろうか、いやいや、今日の寝床は? 飯は…?? なす術もなく、看板が光り始めたコンビニの駐車場で縮こまっていた。そんな時、一本の電話がかかってきた。先程の警察署からだ。財布が届いたらしい。すぐに向かいますと自転車に乗った。ダメだ、チェーンがないから走れない。しかし頭を使った。チェーンがなくても自転車は走れる。左のペダルに右足を乗せ、左足で地面を蹴り進む。キックボードの要領だ。爽快でもなんでもなかった。金沢西警察署まで5㎞弱の距離があり、想像以上にハードだった。警察署で自分の財布を受け取った頃には、もう21時前だった。こんな時間だが宿を探そうとGoogleマップを開いたところ、なんと健康ランドを発見! 健康ランドであれば間違いなく宿泊できる。これでダメならもう帰ろう。また3㎞の距離をキックボードの如く蹴り進み、無事に健康ランドへ到着したのだった。爆睡した。

健康ランドで唐揚げ定食を食べる
自分のお金で飲むビールは最高にうまかった

財布を落としたおかげで、千里浜なぎさドライブウェイの夕日を逃すどころか、振り出し地点の金沢まで戻って来てしまった。前回の猛暑といい、北陸には好かれていないのだろうか…。

もう走る意義をなくしてしまったが、せっかく来た石川県。2日目は有意義に過ごそうではないか。

第15話へ続く。

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