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【第39話】沖縄本島一周編その⑤ 辺戸岬→宜野座村

みなさんお久しぶりです。

……お久しぶりのレベルを超えた期間を開けてしまいました。
実に7ヶ月。一体何をしていたんだ!?

これからはスローペースに、ちょっとずつ更新していこうと思います。
ということで沖縄ツーリングの続きです。
※退職時の有給残分を全て使って沖縄を一週間自転車で周ったというお話しです。

前回は本島最北端・辺戸岬へとやって来ました。
ここで一泊して4日目が始まります……。

▼▼前回のおはなし▼▼

ヤンバルを一人、自転車乗りが走る

宿のご主人からお酒をふるまってもらったり、延々と流れ続けるオルゴールの音色に包まれ床に着いたりと、なんだか夢のような夜を過ごした。そして4日目の朝を迎えた。心地よい目覚めで、出発したのは7時30分を過ぎたところだった。今日の行程は北端から東海岸を通り、ひたすら南へ。目的地は決めていないが、特に見どころもなさそうなので距離を稼いでおきたい。温かな朝の日差しを森の木々が遮り、木漏れ日となって降り注ぐ。のんびりと走っているうちに、やがて山林を抜けて河口に広がる安波という集落へ到着した。集落の中心であろう共同売店でスパムおにぎりを買い、腹ごしらえをした。

泊まった宿を道路の上から眺めてみる。不思議な体験をさせてもらった
カメラは間に合わなかったが、道路を歩くヤンバルクイナの姿も見られた
ワサビ・マヨ

国頭村から東村へ。道のりは長い

おにぎりを食べ終わり出発する頃にはもう10時前だった。ここからの道は、不自然に海岸を避けるように内陸へと延びている。米軍の練習所があるらしい。先ほどまでの森林とは違い樹高の低い植生が広がるため、高原を走っているのがよくわかる。海こそ見えないが、南の島のサイクリングとしては快走路だ。しばらく走ると山を抜けて穏やかなビーチへと辿り着いた。ここ平良湾は東村の中心部で、集落としての規模は大きい。道の駅のような観光施設があったので、昼食をとることにした。

向こうに広がるのはソテツの森だろうか
山を降りて久々の海岸美。平良湾はちょっとしたリゾートのよう
道の駅のような施設「サンライズひがし」は、2020年に道の駅に昇格したらしい
苦手意識を捨てて豚足に挑戦してみる。やはり苦手なものは苦手だった

マングローブ林を発見!

豚足のパワーを吸収し、再びペダルを踏み込んだ。およそ4㎞走ったとことで、やっと見どころらしい見どころに出会えた。慶佐次湾に面した東村ふれあいヒルギ公園。マングローブ林だ。公園内には遊歩道が整備され、樹林の中を歩くことができる……が、4日目の疲労と迫り来る1日のタイムリミットに怯え、少しだけ歩いて去ることにした。すでに14時。スタートしてからちょうど50㎞といったところだ。

海が青い
ヒルギ林の中を歩く。これ以上進むと二度と戻ってこれない気がしたので引き返した

名護市はノンストップ・スルー

無心に走り続けた。少し休憩を挟んだりしたが、観光に足を止めることはなく、ひたすらゴールを目指した。今日の終着地は、宜野座村に宿をとった。先ほどの慶佐次湾から40㎞弱ある。緊迫した雰囲気の米軍基地は、さすがにカメラを構えることはできなかった。南へ向かうほど、「集落」というより「町」の景色が見られるようになってきた。ちょうど17時を過ぎたところで、やっと宿へと到着した。ロードサイドに建つ年季漂うドライブインは、民宿としても営業している。素泊まりで予約していたので、目の前にある道の駅 ぎのざで適当な軽食を買い、部屋で夕食をとった。

「わんさか大浦パーク 」で補給。カレー+スパムおにぎり+サーターアンダギーの3点セットで体力全回復!
だいぶ市街地を感じさせる風景と交通量になってきた
道路から見える美しい干潟が気になったが、止まって確認している時間はなかった
民宿 感那荘。現在は残念なことに跡形もなくセブンイレブンに姿を変えてしまっている
道の駅 ぎのざは閉館間際でも多くの人で賑わっていた

安息の隔離室

客室は、廃病院か、あるいは牢獄のような無骨なコンクリートの空間だった。つい昨晩の宿での思い出深い出来事や、初日のゲストハウスでの三線のレッスンなど、楽しい体験を期待してしまっている自分もいたが、ここでは他者との一切の交流がなかった。今日の宿泊客は恐らく自分一人で、真っ暗で長い廊下には自分の部屋の灯だけがついていた。まさに静寂。不安を紛らわすためにTVを付けてみる。アガサ・クリスティ作『パディントン発4時50分』が放映されていたので、それを観てから眠りについた。

目の前にはオーシャンビューが広がる以外は本当に何もない部屋だった
この殺風景な廊下が夜には真っ暗になるのだから、恐怖以外の何も感じない

おやすみなさい……。
5日目へと続く。

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