見出し画像

【第62話】本土最南端へ行くとこうなる @鹿児島県・佐多岬

みなさんこんにちは。
旅する自転車、九州ツーリング編。
3月末に有給を取得し、2泊3日の南九州の旅へ! 初日は宮崎空港から串間駅へ輪行、ここからは自転車で大隅半島の中心・鹿児島県鹿屋市へとやって来ました。今日はひたすら南下し、九州最南端の佐多岬を目指します。そしてその後は、その時になったら考えます。……このあまりにも無鉄砲な計画が、後になって自分の首を絞める事になるのでした……。

▼前回のおはなし▼

鹿児島の朝は早い

南九州ツーリング、2日目の朝がやって来た。宿を出発したのは5時30分頃。静かに眠る街に別れを告げ、ペダルを漕ぎ始めた。目的地の佐多岬は、ここから南へ60㎞先。大した距離ではないと思われるが、岬へ到達した後はいずれかの町まで戻ってこなくてはならないため、復路も込みだと最低100㎞は走ることになる。なので日の出前の出発はマストだった。まずは県道68号、540号、73号といった具合に南西方面へと進んでいった。出発して1時間もすると国道269号に合流。ここからは海岸に沿ってひたすら南へと向かう。アップダウンは少なく見晴らしは良い。しかし雲に覆われた薄暗い空のせいで、気持ちのいいサイクリングとはいかなかった。

鹿屋市街を流れる肝属川
宿主が親切にもプレゼントしてくれたミネラルウォーター。朝起きたら「財宝」
鹿児島湾に面した国道269号。この日は向かい風が酷かった
ロマンのかけらも無い「かごしまロマン街道」

そんなこんなで最南端

出発して4時間、45㎞ほど進みたどり着いたのは佐多という集落。ここを境に国道は終わり、県道68号が始まる。大隅半島の南端付近は割と起伏のある地形で、県道は内陸へと入り込み、険しい登り坂が待ち受けていた。佐多岬もだいぶ近づいてきたようだ。小高い丘を越え、商店や郵便局のみの大泊という小さな集落へ。「佐多岬まで直進8㎞」のゲートをくぐると、ここからは県道566号となる。淡々とアップダウンを繰り返しているうちに、前方に何やら文字の書かれたモニュメントを発見。「本州最南端・佐多岬」、ついに到着だ! モニュメントは周りには何もない見晴台にポツリと立っていたが、ここから数十m先へ進むと広い駐車場が整備され、ビジターセンターや展望台が設けられていた。さらに、建物の横には歩行者専用(といっても車両も通行できる程の大きさ)のトンネルが用意されていて、山の向こう側へ抜けられるようになっていた。この遊歩道を進んでいくと、本当の最南端の地へ行けるようだ。歩いて向かってみよう。

半島の先端へ近づいているはずなのに、険しい山道へと突っ込んでいく
県道566号。椰子やソテツの森が広がっている
ハンガーノック気味で朦朧としながら山道を進んでいくと、坂を降りた先に観光船乗り場を発見! 待合所には奇跡的に軽食処があり、迷わずカレーライスを注文
こんな感じで佇む最南端のモニュメント。北緯31度線を示しており、モニュメントの高さは4.7m、幅は5mと巨大
片道800mと続く佐多岬遊歩道にはソテツやガジュマルなどの亜熱帯植物が自生し、沖縄の森を歩いているような気分になれる
岬から南に50m沖には大輪島が浮かび、日本最古の灯台の一つである佐多岬灯台が建つ

さて、この後はどうしようか

さて、この後はどうしようか。あまりにもノープランすぎた。どうにかして鉄道駅へ戻って輪行がしたい。ここから最も近い駅は90㎞北東方向にある志布志駅。とても1日で走れる距離ではない。頑張っても今日スタートした鹿屋市までが限界だろう。それでは3日目に日南海岸へ行くことができない。ではこうしたらどうか。行きがけに通った根占港まで35㎞戻り、ここから船で対岸の薩摩半島へと渡る。そして指宿駅から電車に乗って鹿児島駅を経由して宮崎へと向かう。果てしない移動距離とお金を必要とするが、これなら明日、日南海岸を走ることも可能になる。これでいこう。これからの見通しが立つと、曇り空も晴れに変わってきた。これで全てがうまくいく……という訳にはいかなかった。根占港に到着して船のチケットを買おうとすると、職員から驚きの一言が。「今日の船は終わりましたよ」。まだ16時前だったのに、高潮か強風の影響かで船が欠航になったらしい。詰んだ……。ここから25㎞走って鹿屋市へ戻ろうか。明日の日南海岸は諦めようか。

往路から打って変わって晴天に恵まれる
鹿児島湾を挟んで対岸に見えるのは「薩摩富士」とも呼ばれる開聞岳
哀愁漂う根占港

ええい、こうなったら…!!

しかし困難を打破する方法はあった。それはバス輪行という強行手段だ。港から鹿屋まで向かう路線バスが通っているらしい。バスの輪行は推奨されていない。輪行袋があまりにもデカく、他のお客さんに迷惑になるからだ。港のスタッフ曰く、バスに乗ろうとしても運転手に断られる場合もあるそうだ。これは賭けるしかなかった。そして港にバスがやって来た。結論、問題なく輪行はできた。他の乗客はおらず貸切状態で、運転手も快く受け入れてくれた。50分ほどの乗車で鹿屋市街へ。そして鹿屋バスターミナルで他の路線バスに乗り換え、志布志駅へと向かった。ここまで来ればもう安心。あとはJR日南線にバインバイン揺られながら串間駅を目指すだけ。駅に着いたのはもう夜20時過ぎ。駅から徒歩圏内のビジネスホテルへチェックインし、ふかふかのベッドで意識を失ったのでした。

穏やかな西日が安心感を与えてくれる
鹿屋のバス乗り場。目の前に大型商業施設があったりと、かなり栄えている
バスで志布志駅に着いたのは18時を過ぎたところ。すでに真っ暗だった
電車が車で1時間30分ほど待ちがあったので、駅徒歩圏内で夕食を済ませる。豚骨ラーメンと勝利の生ビール
予想以上に夕食が早く済んでしまったので、駅で列車が来るのを待つ。3月末とはいえど、夜はかなり冷え込んだ

後半はバス輪行で90㎞戻ってくるという強行手段に走りましたが、何はともあれ2日かけて最南端・佐多岬をクリアし、そしてスタート地点の串間まで戻ってくることができました。明日はここから北へと向かい、日南海岸を走ります。南国風情たっぷりな名道と、海辺にある数々の景勝地を巡ってみたいと思います!
それでは、お楽しみに!

警察署かな?と思ってしまう外観のビジネスホテル

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?