元最先端不登校児@僕と周りの苦悩の差

今現在、不登校の方。不登校児の親の方。偉そうに喋っている"この道のプロ&qu…

元最先端不登校児@僕と周りの苦悩の差

今現在、不登校の方。不登校児の親の方。偉そうに喋っている"この道のプロ"。特にそんな方に見て頂きたいです。 学校に行きたくない、誰にも会いたくない。 自分の気持ち。家族の気持ち。友達の気持ち。先生の気持ち。おじいちゃんの気持ち。 このお話は99.999%ノンフィクションです。

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空を飛ぶ

 6.25㍍先のオレンジ色のリングに向かってバスケットボールが空を飛んでいる。バックスピンが緩やかにかかって綺麗な放物線を描いている。僕はそれを見守る。 ガンッ という音と音とともにリングがボールを撥ねる。ガッカリする暇はない。走ってボールの行方を追う。もう一度自分たちのボールにするんだという強い気持ちはそこまでなかった。ボールを持っている間は主役になれるんだという自分勝手な気持ちが強かった。  右手をのばしボールをライン際で掴む。すぐに立花君にボールを戻す。ほんの少し

    • 当園

       いらっしゃいませ。あ、ようこそお越しくださいました。当園ではたくさんの種類をご用意しております。もちろん手に取り抱っこして頂いても結構です。ちゃんと手を殺菌してからお願いいたします。  あ、いらっしゃいませ。本日もご来園頂き誠にありがとうございます。案内はご入り用ですか?もし必要なら遠慮なく係りの者にお申し付けください。  お客様、当園は初めてでいらっしゃいますか?承知いたしました。ではご一緒にご案内いたします。マスクの着用は任意になりましたのでご安心ください。ではこちらへ

      • 救助

         私には可愛い子どもがいる。名前は緑照。珍しい名前かも知れないが、ちゃんとそこには意味がある。しかし今ここで話すべきではない。そう、私は迷っている。目の前には火事で今にも焼け落ちそうな家がる。必死に放水を続けているが、消える気配はまるでない。しかもまだ中には子どもが取り残されているようだ。野次馬の声では消せないその悲痛な叫び声が響き渡っている。例え耳を塞いだとしても頭の中まで聞こえてくるだろう。  私は迷っている。もしかしたら今すぐに助けに行けば間に合うかも知れない。だが、か

        • ゲーム機の恐怖

          これだけは言わせてくれ。ゲーム機だってよ、やるときゃやるんだよ。 ムズムズ 埃っぽい場所 おいおいおい!誰かいねぇのか?おーい、聞こえているか? こんな暗いところに閉じ込めやがって。 鼻のあたりがムズムズするぜ。ふざけんなよ。 だいたい俺が何したっつんだよ。 ぶへぇ…何でぇいここは。埃っぽいぜ。 弦すら張ってねぇネックの反ったギターに、これは…カビくせぇアルバム。捨てとけよったく。 ん?なんだよ。今日も誰も遊んでくれねぇのかぃ?良くないねぇ。良くない良くない

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        • 短編、ショートショート、稀に実話。
          3本
        • 不登校-外伝-
          3本

        記事

          「ゲーム機の恐怖」最終話

          充電 される者、尽きる者 結局よ。誰でもボーっとしたい時、ヤな時、くだらねぇ時、いろいろあるけどよ、そいつに合った心の充電方法があんじゃねぇかって思うわけよ。 それが俺みたいなゲーム機の場合もあるだろうし、ギターをつま弾くのも良いだろうし。おぅおぅ、もちろん写真を撮るんだっていい。なんだって良いんだよ。 そいつのやり方で充電できればよ。 親ってのは、まぁ親に限らずだけどよ。時間が経つとてめぇのことを忘れてくんだよ。あの時こうだったとか断片的には覚えてやがんのによ。こ

          「ゲーム機の恐怖」第十六話

          先代 やれること 後輩さんよ、俺の声、届いてるか?そうか。聞き取りにくいかも知れねぇが、ちょっとよ湿っぽいついでに聴いてくれよ。 あの豪鬼みてぇな顔の裕哉の父ちゃんな。あぁ、これは俺の一つだか二つ前だかの先代の頃の話なんだけどよ。 ありゃぁ、裕哉がまだ5つぐれぇの子ども時分かな。あの父ちゃんな、仕事から帰ってきて無言でご飯食ったらよ、多分、虫の居所が悪かったんだろうねぇ。バシっと先代の電源つけて、やっぱり”信長の野望”をやってたわけよ。ありゃぁ、血筋だね。あはは。 ん

          「ゲーム機の恐怖」第十五話

          押入れにて 埃っぽくない場所 ぶへぇ。真っ暗だ。 誰かいねぇのか? 弦の切れたギター…。は、いねぇ。 カビくせぇアルバム…。も、いねぇ。 なんだかんだ言ってもよ、良い奴ばっかりだったな。 寄りかかってくんな!ってな怒ったけどよ、少し嬉しかったな。 今じゃ、真っ暗だ。もう目も見えねぇらしい。 年寄りだからな。仕方ねぇ。 ギターのやつ、嬉しそうに音鳴らしてたな。 アルバムの野郎、まん丸に太ってやがったな。 裕哉のやつ、大人っぽくなってやがったな。 後輩のやつ、か

          「ゲーム機の恐怖」第十四話

          異変 容姿端麗、華奢だけど背が高く頭脳明晰。 なんだよ、こいつは。 おぃ、なんだよ。 アルバム!おぃ、アルバム! なんだよ、このでけぇやつは。 てめぇよりでけぇじゃねぇか。あらぁ、まるでブオーンだね。山よりでけぇや。 おぃ! おぃ!新入り! その黒いやつだよ! そう!てめぇだよ。これまたでけぇなてめぇは。なに?高いところから失礼します?良いんだよ良いんだよ、そんなことは。おめぇは何をする機械だ?プリンターか?それとも俺の外部拡張さんかぃ? 最近、物忘れも

          「ゲーム機の恐怖」第十三話

          倖せ 足される思い出、引かれる後ろ髪 アルバム、最近どうなのよ?え?なんか太ったんじゃねぇのか? おぅ、教えてくれよ。え?なに。新しい写真が増えた?素晴らしいことじゃねぇかよ。おい、この野郎!え?写真が増えたせいで体重も増えた?自慢話じゃねぇかよ、この野郎!あはは。いいよいいよ。てめぇだって苦労してんだ。笑ったってバチ当たんねぇよな。 コンちゃんさんはご機嫌如何?〇ボタンが痛くってねぇってジジィかその言い方。あはは。最近ずっと酷使してるから仕方ねぇやな。一度工場様って

          「ゲーム機の恐怖」第十二話

          前向き 時代はまわる いやぁ。久しぶりに働いたな。みんなご苦労さん!いやぁ、働いた。まだCPU熱くてかなわねぇ。コンちゃん、汗かいてんな。大丈夫かぃ?え?俺のじゃねぇ?裕哉の手汗!?なんか・・・すまねぇ・・・。野暮なこと聞いちまったな、すまねぇ。 ま、とりあえずだ。切り抜けることができたな。 それにしてもなんだな。どういう風の吹き回しだろうな。チチオヤーと裕哉がゲームするなんてな。いや、良いんだ。こうやって笑顔の時間を増やすことが俺たちの目標だからな。だよな? こう

          「ゲーム機の恐怖」第十一話

          変化 アンパンチ はぁぁぁ助かった。アンパンチしてくるかと思ったぜ。 あはは。なんでぇ、あの野郎。俺の左コントローラー、ロー電源コードで伸してやろうと思ったのによ。俺にビビってやがったな。うん。 おぃコンちゃん!コントローラー!もう震えなくていいぞ。 俺が守ってやったからな!おぅ。 アルバム!てめぇは余計なこと言うなよ。留め具、外してやるぞ、この野郎。あはは。 それにしてもよ、チチオヤーはなんで何にも言わずに扉を閉めたのかね。確かに裕哉と目が合ってた。うん。だけ

          「ゲーム機の恐怖」第十話

          投獄 監視 !? おい、起きろ! コラっ!アルバム!!! 起きろって! 誰か部屋に入ってきた。 おはよじゃねぇよ、寝坊助が! しっ!静かにしろぃ。誰かが入ってきやがった。 あの足音はチチオヤーか? おめぇが邪魔で見えやしねぇ。 なんで俺に寄りかかって眠るかねぇ。ったく。 でもよてめぇのおかげで向こうからも見えねぇ。やるじゃねぇか。 偶然だろうけど助かったぜ。 いいからいいから。動くな!バカ野郎。 そのままジーっとしとけ。心臓の音も止めとけってんだ。

          「ゲーム機の恐怖」第九話

          やるぜ 一つ。目標を立てること。 あれだな。同じ気持ちってことだからな。ちょいと目標を立ててみねぇか?いや、そんな難しいことじゃねぇ。そうだな、前みたいに裕哉に笑ってもらうっていう目標なんてどうだ? 学校ってとこで何があったか分かんねぇけどよ、何かそこで問題が発生したっていうのは事実だ。かと言って、チチオヤーみたいに強制的に行かせようったって無理だ。何より俺たちは車も金もねぇ。学校って場所も分からねぇ。 俺が思うにはよ、あいつはずーっと頑張ってきたんだ。学校ってとこも

          「ゲーム機の恐怖」第八話

          再会 アルバム やい! てめぇ!聞いてんのか! てめぇだよてめぇ!そこの口を半開きのままボーっと突っ立ってるでくの坊みてぇなアホ面したおめぇだよ! なぁにすっとぼけた顔してやがんだよ。てめぇだよてめぇ! この野郎、裏切りやがって。なにが”俺に任せろ”だ、この野郎。 おかげでこっちはな、危うくディスクトレー開いて飛ぶところだったんだよ。大ケガしたらどうしてくれんだよ、この野郎。 なにニヤついてやがるんだ。こっちはよ、腹の虫が収まらねぇんだよ。ちょっとこっち来い!

          「ゲーム機の恐怖」第七話

          時間 電源ボタンに灯る いいね、いいね、いいね! こりゃいいね!いいねったらないね。ないって言ったって”いいね”があるんだよ。 全身にビリビリする運命みたいなものを感じるな。よしよしよし。電源ついたな?CPUはどうだ?まだ寒いか、そうか。あはは。そのうち熱くなるからよ、今のうちに凍えとけってんだ。あはは。 コントローラーはどうだ?相変わらずユラユラしてやがる。ったく脳天気だな。それがてめぇの良いところだな。はは。 廃熱パネルも順調。レンズも…動くねぇ。たまらないねぇ、こ

          「ゲーム機の恐怖」第六話

          出陣じゃ 降下か落下か っしゃ、行くぞ。行くぞったら行くぞ。誰も押してくんねぇから自分の力で行くぞ。分かってる。急かすなって。飛ばなきゃ何も変わらねぇ。飛んでも変わらないとしても飛ぶしかねぇ。”蒔かぬ種は生えぬ”っつぅだろ? ちょちょちょちょちょちょっと待て。分かってるって。 もういっぺんよ、コード確認するから。 ふぅ。 にしてもあれだな。これで壊れたら、本当にお終ぇだな。 怖くねぇよ、別によ。強がってねぇ。おぅ、強がってねぇ。強がってねぇが心が丈夫じゃねぇんだ