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「ゲーム機の恐怖」第十話

投獄


監視


!?

おい、起きろ!

コラっ!アルバム!!!

起きろって!



誰か部屋に入ってきた。


おはよじゃねぇよ、寝坊助が!


しっ!静かにしろぃ。誰かが入ってきやがった。


あの足音はチチオヤーか?


おめぇが邪魔で見えやしねぇ。
なんで俺に寄りかかって眠るかねぇ。ったく。


でもよてめぇのおかげで向こうからも見えねぇ。やるじゃねぇか。
偶然だろうけど助かったぜ。


いいからいいから。動くな!バカ野郎。


そのままジーっとしとけ。心臓の音も止めとけってんだ。


行ったか?


行ったか?


行ったな?


はぁぁぁぁ。助かった。見つかってたらよ、またあの場所へ逆戻りになるところだったぜ。

今回ばかりはアルバムのおかげだな。ありがとよ。


継続


いやぁ、あぶねぇなったく。あれだな。裕哉も賢いって言って良いのか分かんねぇけど、お前さんを使って俺を隠すすべを見つけたな。

おぅ、しばらくは逃げきれそうだ。


おい、裕哉!


寝たふりしてんじゃねぇぞ。俺には分かってんだ、おめぇは寝坊なんてしねぇってことくらいはよ。

もうチチオヤーいねぇぞ。シゴトってとこに行った。

ほら見ろ、モゾモゾしてきやがった。


よしよし、起きてきたな。さっさと顔洗って飯食ってこい。



今日は何するのかねぇ。最近はもっぱら信長公にはまってやがる。CPUも熱くなって良いやな。あいつ少し冷てぇとこあるからよ。具合良いな。俺も読み取りレンズ動かしとくよ。

戻ってきたぞ!コントローラー!ぶらぶらして遊んでねぇで節々動かしとけよ!ったく目を離すとすぐサボりだすからな、あいつも。やるときゃやるんだけどよ。裕哉と同じじゃねぇか。あはは。


熱中


どうよ。最近はよ。え?アワロマモリ?違う?淡路守あわじのかみだってよ。読み方分かんねぇ。おぃ、CPU!なんでこれでカミなんだよ。
それにしても日本ってのは広いんだねぇ。こんなにいくさしねぇといけねぇなんてよ。隣に住んでるやつ、みんな知り合いじゃねぇのかよ。その隣に住んでるやつの隣だって知り合いってことだろ?その隣の隣に住んでるやつの隣だって知り合いのはずだろ?よく分かんねぇな、人間様のやることは。勇者様もそうだけどよ、戦うってのが好きなんだろうな。

ほら、裕哉!ボケーっとしてると東のほうで魚屋さんみつうろこみてぇな旗掲げたやつが暴れてんぞ。あら、この時代では信長公はもういねぇのかい。主役がいねぇ世の中ってのも不気味なものだな。大将いなくても、他に大将が出てきちまう。こりゃぁ難儀だね。まるでトカゲの尻尾みてぇだな。


なぁ、一度は休憩してお天道様に挨拶してきたらどうだい?


そういや、裕哉のやつ、16時間で勇者様クリアしたって狂喜乱舞してたからな。両津勘吉には敵わなかったみてぇだ。誰を目指してんだよ。アホだな。あはは。


おぃ、もう日が暮れてきちまったよ。


あいつそういうとこあんだよな。熱中するともう止まんねぇ。見ろ!腰から根が張ってやらぁ。こっちは朝までやるんじゃねぇかってヒヤヒヤしちまう。CPUはアツアツだな。あはは。


ほら、お天道様、沈んじまったよ。


第六天魔王


帰ってきちまったよ。おいおいおい。どうすんだよ、これ。
帰ってきちまったよ。裕哉よぉ。


もう遅いぜ遅いぜ。今から記録セーブしたって間に合わねぇよ。俺はまた真っ暗な世界に逆戻りじゃねぇかよ。ここからじゃアルバムが走ってくるのも間に合わねぇよ。

帰ってきちまったよ。


なぁ今、


ドア


開いたよな?


あぁ、確かに開いた。開く音がしっかり聞こえた。


どうすんだよ、どうすんだよ。

おぃおぃおぃ、第六天魔王?あれはドラキュラ伯爵じゃねぇかよ、あの顔はよ。目が光ってら。グランドクロスなんて打てねぇぞ、俺ぁ。

あんな色、俺たちには表現できねぇよ。こっち見てるよ、おい。
おぃ、コンちゃん。コンちゃんさんよ、ガタガタ震えるなよ。こっちまで震えてくるじゃねぇかよ。そういう仕様?知らねぇよ、そこまではよ。早く向こう行けよ。いや待て、行くな。おめぇが動くと俺まで引っ張られちまう。

いいか、動くなよ…。

見てるよ見てるよ。画面と裕哉・・・。固まってるよ。



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