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投機の流儀 セレクション

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メールマガジン配信大手の「まぐまぐ」で好評を博し、堀江貴文氏(ホリエモン)と並んで2年連続「メルマガ大賞」を受賞、殿堂入りした週報「投機の流儀」。 人生の前場をセルサイドとして、…
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#相場

【投機の流儀 セレクション】政局と株価──「丸呑み」に観る厭な既視感

政治資金問題で岸田首相が公明党と日本維新の会の案をそっくり受け入れた。つまり「丸呑み」した。丸呑みについて、筆者には非常に嫌な既視感がある。もちろん、株式相場に影響する話しだ。 1997年の日本の金融危機とは、11月の1ヶ月で国際的な二大証券会社と大都銀1社であった北海道拓殖銀行と数社の地銀がいっぺんに破綻した。その翌年、小渕内閣は発券銀行であった日本長銀を野党の一時国有化案を丸呑みして、バブル崩壊後の金融再生に一応の道筋を付けた。 その数年前の与野党の党首会談で、細川政

【投機の流儀 セレクション】日本国衰退の最大の問題である人口減少について、本稿はこう考える

長期的に見ると、日本国衰退の最大の問題は人口減少である。この現象は働き手が減って、老人が増える(つまり、支え手が減って、支えてもらう側が増える)ことである。 古代ローマ以来、人口が減って栄えた国は一つもない。この問題は、税制改革や子育て問題の改善などでは解決できない。人口が減っても、1人当たりの生産性が増え、1人当たりのGDPが増えれば、それはそれで幸せではないかという意見も大いにあるが、それは根本的に縮小均衡の考え方であって正しくはない。 国際通貨研究所理事長の渡辺博史氏

【投機の流儀 セレクション】宇宙開発関連株、日本に勝機

アストロスケールホールディングスは世界に先駆けて、宇宙開発の三分野のうちの一つに成功した。日本に勝機はある。宇宙開発を三分野に分けると以下のようになる。 第1の分野は人工衛星。市場規模は大きい。稲の発育管理や魚群探知のためにも使われる。上場予備軍と言われる日本企業がいくつかある。東証は22年12月から宇宙などの新市場開拓を目指す企業の上場を支援する姿勢である。 第2の分野はデブリと呼ばれる宇宙ゴミの除去技術である。6月5日上場予定のアストロスケールホールディ

【投機の流儀 セレクション】「悪い円安」論のレベルに一旦は入った

円安騒動の陰で、植田総裁は連続利上げに向けた布石を着実に打っていると思う。円安に追い込まれたフリをしながら、金融政策の正常化への脱出の舞台を整えるというタヌキ植田総裁の高等戦術が透けて見える。 「2%インフレ」が2023年に実現して、アベノミクス時代から10年間の力投で達成できなかったものが海外要因からのマグレで成立し、これを「基調的な物価上昇率」という表現を植田総裁はするが、この言葉は分かりにくい。 「2%目標」が達成された喜びなのか、将来の不安を宿し、異常金利の脱出とし

【投機の流儀 セレクション】今の相場の基本的なトレンド

2020年3月19日に大底を付けた「コロナショックの大暴落」から1年強で1.8倍になった相場は、1万円の大台を2度超えて1.8倍だったから、或る意味で「大相場」だった。これはコロナショックを収めるために多くの流動性を世の中に出した、このコロナ流動性の相場である。故に、仮称「コロナショック流動性相場」としておこう。これが約1.8倍になって30700円でダブルトップを突いた後、約2年強の往来相場があり、2023年5月から28000円どころを起点として、新しい相場が始まったと見る。

【投機の流儀 セレクション】デフレマインドを脱却して、インフレマインドへ移る

「成長と分配の好循環」は、平たく言えば「分配」は「賃上げ」である。「ほど良いインフレ」が起こって「それを上回る賃上げが起こる」これが「成長と分配の好循環」だ。 ところで、大手は5%超の賃上げが続いている。順調である。春期交渉は人材確保に配分して、どこの企業でも賃上げをほとんど(8割)が満額回答である。特に、製造業の8割が満額回答である。 植田総裁が睨んでいるのは「2%インフレ」の実現と「それを上回る賃上げの継続」である。これが「好循環」である。これが順調に行きそうになってき

【投機の流儀 セレクション】「落ちていくナイフを途中で掴む」(拙著の言い分)「落ちてゆくナイフを2度掴む」(タワー投資顧問の清原達郎氏の言い分)

どんな相場にも中間反落はあるから、その時に銘柄を絞っていたのでは間に合わない。「落ちていくナイフを途中で掴む」底値を打った後は反発が早いから、下値覚えという病に取りつかれているから手が出なくなる。したがって、落ちていくナイフを途中でつかむ。そして、また落ちたらまたつかむ。これがナンピン買いだ。そのためには、今から銘柄の候補に目を付けておく必要がある。 筆者の大学資金を運用してもらったタワー投資顧問の清原達郎氏の近著『わたしの投資術』では「落ちてゆくナイフを2度掴む」と言って

【投機の流儀 セレクション】史上高値更新は通過点に過ぎない。「34年2か月を要した壮大なダブルボトム」を脱したが、どんな長期大相場でも必ず中間反落はある。乗り遅れた筋は、そこを買おう。

週末の22日(木)は4営業日ぶりに大幅反発し、837円幅を上げて、史上最高値を34年2ヶ月ぶりに更新した。 さしたることではない。メディアが大騒ぎしているだけに過ぎない。変化は昨年から始まっている。 34年2ヶ月を費やして 1.2003年の7600円(不良債権山積みという、国内要因による日本経済の大底)を一番底とした。 2.小泉郵政改革相場で、日経平均は約2倍半になった中間反騰を経た。 3.アメリカ発の海外要因によるリーマンショックで、2009年に7000円まで下がり、

【投機の流儀 セレクション】今の相場付きは、後年「半導体バブル相場」とあだ名とされる相場付き

昨年4月までの1年以上に及んだ大保合を離れて以降、今日までの経緯を見ると、1.TOPIXと2.「日経平均から半導体関連10銘柄を除いた価格」との両者は約20%上がった。 それに対して、3.「半導体関連株(ソニー・東京エレクトロン・信越化学・スクリンなどの10銘柄)で合成し、22年末を100とした指数」は、昨年春の大保合離れから約60%上昇した。 ここで判ることは、1番と2番が3番の半導体関連株の大幅高に引っ張られた株高だと言える。しかも、それらは時価総額が大きいから日経平均

【投機の流儀 セレクション】「バーナンキショック」とか「バフェット効果」というが、或る著名人の発言で大相場が生まれるということはない。

年初から1ヶ月弱で、上昇幅は3000円幅を超えた。この調子で行ったら、年末には6万円を超えてしまうことになる。本稿が昨年から述べている「5年内で6万円」の比ではない。 しかし「年末には6万円を超えてしまう」なんてことはないし、またあってはならない。 去年の3月の東証の企業経営改善要請に加えて、その直後にW・バフェット氏が来日して、商社株の買い増しを発表し、そこで火がついた形になっていたので、これを「バフェット効果」などと呼ぶ筋もあるが、冷静に考えれば著名人の発言によって大相

【投機の流儀 セレクション】2024年相場を考える──超長期で見れば上昇志向ではあっても大きな反落が何度も起きる

2024年を考えると 1:3月期の上場企業の純利益は前期比13%増の見込み。 2:春闘の賃上げも昨年以上のものが見込める。 超長期で言えばメガトレンドの変化によって30年間下降し続けた日本が復活するものと考 えるが、そのプロセスで大きな波乱が何回も何回も起こるであろう。アベノミクス大相場の7年間で日経平均は2.8倍になったが、その期間に15%前後の下げは7回あった。15%と言えば今のレベルに当てはめれば日経平均5000円位に相当する。 24年1月現在、今ほど国内外の波乱要因

【投機の流儀 セレクション】「地殻変動」の芽吹きか?─預金に安住してきた日本の個人マネーが、投資に目覚め始めた。物価上昇は投資利回りの追求を促す。バブル経済崩壊後の低迷相場を知らない若い世代の投資家も増えてきた

標題として掲載したこの文言は、日経新聞紙12月18日号の13面「個人投資家に芽吹く『順張り投資』」の記事の書き出しの文言である。副題が「世代交代で変わる意識」とある。 筆者が常々言ってきたところの「個人金融資産の地殻変動」の兆候かもしれない。なにしろ、日本は2100兆円の個人金融資産を持っている類まれな国である。しかも、先進国でただ一国だけだというのは、そのうちの1100兆円が現預金であって、その現預金のうちの証券類に向いているのはわずか14〜15%である。アメリカは50%

【投機の流儀 セレクション】日本株の相対的優位性

諸先進国に比べて、日本株の相対的な優位性が浮かび上がっている。これが業績そのものであろう。株価というのは売り手と買い手との相対的な力学で決まるが、その根本は業績である。 日本は、その業績が足元で鈍っている欧米とは対照的に伸びている。主要企業の業績見通しは上昇している。 日経平均を構成する225社の通期計画を積み上げると、純利益合計は9月末の36.8兆円から11月10日時点では38.9兆円というように2兆円増えた。下方修正よりも、上方修正が圧倒的に多い。日米欧の株価指数の1株

【投機の流儀 セレクション】言葉に力がなく「ただ喋るだけの男、岸田首相」

岸田首相が、突然のように所得税減税を打ち出した。これを集票の道具として、衆院解散に打って出るつもりかどうかは判らないが、突然のように所得税減税で、政局の潮目は当然変わったと思われる。これで他の重要政策に対して、影響が出ることは確実である。予算の問題である。 首相は今回の臨時国会の所信表明演説で「経済、経済、経済」と3回連呼して、政権の最重要課題を経済に置くと宣言した。 これはクリントンが政権に就いた時に“It’s economy. Stupid!!”と、右手人指し指を高く上