見出し画像

【投機の流儀 セレクション】日本国衰退の最大の問題である人口減少について、本稿はこう考える

長期的に見ると、日本国衰退の最大の問題は人口減少である。この現象は働き手が減って、老人が増える(つまり、支え手が減って、支えてもらう側が増える)ことである。
古代ローマ以来、人口が減って栄えた国は一つもない。この問題は、税制改革や子育て問題の改善などでは解決できない。人口が減っても、1人当たりの生産性が増え、1人当たりのGDPが増えれば、それはそれで幸せではないかという意見も大いにあるが、それは根本的に縮小均衡の考え方であって正しくはない。

国際通貨研究所理事長の渡辺博史氏は日経ヴェリタス紙5月26日号に「意見卓見」の欄で「人口問題と税制」を述べておられるが、抜本的な解決案は一言も述べていない。
抜本的な解決案は本稿で述べた通り、一定の条件の下での移民受け入れ策の増強である。本来、日本人のルーツは南方と西方、北方から来た移民であり、我々は移民の末裔である。それを小学校時代から教育し、移民を嫌わない民族性を早急につくり、色々な問題を抱えることは承知しながら、それを防ぐ手立ても考えて、移民受け入れを増強することだ。

アメリカの出生率が1.3ぐらいしかないのに人口が増えているのは、もちろん移民を受け入れているからだ。移民を受け入れれば識字率が減る、生活上の諸問題が起こる、宗教の問題もある、犯罪も増えるかもしれない等々のマイナス面もある。アメリカはそれを承知の上で移民を受け入れてきた。大統領そのものが移民の三世か四世だし、みんなが移民の末裔であることを承知している。我々も皆が移民の末裔である。ただ、一万年以上の月日が経ち、それを忘れているだけだ。

基本的なことを皆忘れて、移民を理由もなく毛嫌いする。筆者の考えでは、移民を無条件に受け入れるのではなく、当然に或る条件を課す。「民主主義国家が生活や言語上の条件を課するということができるだろうか」という議論はまた別にある。それを超越して、移民を受け入れる以外に手がないことを全員に納得させ、条件を付けて移民を逐次受け入れる。これ以外に手はない。日本人になりたい外国人は大勢いるはずだ。

時間はかかるが、もう一つの手がある。

日本は1年に80万人しか生まれないのだから、1人産んだら1000万円支給するという制度を設けると8兆円で済む。たいした問題ではない。こういう方法もあると述べた。今、問題になっている子育て支援とか人口増加策は焼け石に水である。出生1人につき1000万円ずつ支給すると同時に移民を受け入れる。8兆円で済む。3人産めば3000万円を支給する。24兆円で済む。
これしかない。財源は国債を発行すれば足りる。人口が増えればGDPが増え、税収も増える。そして、その8兆円から24兆の分はそれで埋まる。こういうように前向きに考えたい。

【今週号の目次】
第1部;当面の市況
(1)週末はTOPIX型の相場、売買代金が7.7兆円で22年4月の市場再編後で最大。週明けは小確りで始まろう。
(2)「業績予報 曇りのち晴れ」
(3)「控え目に発表しておいて、後で上方修正する」
(4)日経平均4万円がフシではない。
(5)政治とカネの問題「クリーン」を求める票田の情緒性─しかし、危険な既視感有
(6)上場企業の今期純利益(25年3月期)は5年ぶりの減益予想
(7)25年3月期は円高予想で合計3000億円減益、為替の影響がなければ1%増益となる計算
(8)追加利上げの時期を見極める、重要な局面に立つ日銀
(9)賃上げの潮目は完全に変わった。30年ぶりの変化である。
(10)中国から日本への富裕層脱出が、新築マンションの平均価格上昇に加速を加えている。
(11)単純明快に、物価を念頭に金融政策を進めるべき日銀

第2部;中長期の見方
(1)「日本株高は野球で言えば3回戦の裏だ」─カナダの運用会社の言い分    
(2)日本の製造業の変化に期待している─米プリンシパル・アセット・マネジメントCEOの言い分
(3)米国大統領選挙と米株価(週刊ダイヤモンド誌 5月25日号)
(4)「もしトラ」「ほぼトラ」「ややバイ」などを今考えても、あまり意味がない。
(5)米国経済の様子
(6)米国経済情勢、インフレ自体が今後は徐々に落ち着いてくる。
(7)従業員持ち株制度による従業員の持ち株比率は、会社四季報からすぐに読み取れる。これと当該企業の業績目標達成率との関係
(8)券投資の利益を「利益」として計上せず、日鉄(5401)の「損金準備金」として計上しておく。
(9)マクロ情勢とあまり関係がなく、株価は自己実現していく銘柄が必ずある。
(10)日本国衰退の最大の問題である人口減少について、本稿はこう考える。
(11)日本はキャッシュレス決済の比率で言えば、他諸国よりもかなり遅れている。
(12)「儲かる農業」が定説になってきた。
(13)外国人投資家がトルコ向け投資を拡大している(ロンドン5月23日 ロイター)。

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
https://amzn.to/2AebYBH
『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
https://amzn.to/2vd0oB4
『投機学入門 不滅の相場常勝哲学』(電子書籍)
https://amzn.to/2AeQ7tP
『会社員から大学教授に転身する方法』(電子書籍)
https://amzn.to/2vbXpZm
その他、著書多数。以下よりご覧ください。
https://amzn.to/2va3A0d

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?