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投機の流儀 セレクション

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メールマガジン配信大手の「まぐまぐ」で好評を博し、堀江貴文氏(ホリエモン)と並んで2年連続「メルマガ大賞」を受賞、殿堂入りした週報「投機の流儀」。 人生の前場をセルサイドとして、…
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#円安

【投機の流儀 セレクション】「異常状態」から「正常状態」に戻った=メガトレンドの潮目が変わった

個人向け国債などという利回りの低いものを3年債が過去最高となって、10年債は12年ぶりの高水準となった。1万円単位の小口から買える個人向け国債の需要により、金利上昇が鮮明になった。7月発行の変動金利の10年債は12年ぶりの高水準となった。固定金利の3年債は過去最高水準となった。 ここで「金利なき世界」から正常な世界、つまり「金利ある世界」への意向をにらんで、需要が集まった。「異常状態」から「正常状態」に戻ったということだ。 【今週号の目次】 第1部;当面の市況 (1)バリ

【投機の流儀 セレクション】政局と株価──「丸呑み」に観る厭な既視感

政治資金問題で岸田首相が公明党と日本維新の会の案をそっくり受け入れた。つまり「丸呑み」した。丸呑みについて、筆者には非常に嫌な既視感がある。もちろん、株式相場に影響する話しだ。 1997年の日本の金融危機とは、11月の1ヶ月で国際的な二大証券会社と大都銀1社であった北海道拓殖銀行と数社の地銀がいっぺんに破綻した。その翌年、小渕内閣は発券銀行であった日本長銀を野党の一時国有化案を丸呑みして、バブル崩壊後の金融再生に一応の道筋を付けた。 その数年前の与野党の党首会談で、細川政

【投機の流儀 セレクション】日本国衰退の最大の問題である人口減少について、本稿はこう考える

長期的に見ると、日本国衰退の最大の問題は人口減少である。この現象は働き手が減って、老人が増える(つまり、支え手が減って、支えてもらう側が増える)ことである。 古代ローマ以来、人口が減って栄えた国は一つもない。この問題は、税制改革や子育て問題の改善などでは解決できない。人口が減っても、1人当たりの生産性が増え、1人当たりのGDPが増えれば、それはそれで幸せではないかという意見も大いにあるが、それは根本的に縮小均衡の考え方であって正しくはない。 国際通貨研究所理事長の渡辺博史氏

【投機の流儀 セレクション】宇宙開発関連株、日本に勝機

アストロスケールホールディングスは世界に先駆けて、宇宙開発の三分野のうちの一つに成功した。日本に勝機はある。宇宙開発を三分野に分けると以下のようになる。 第1の分野は人工衛星。市場規模は大きい。稲の発育管理や魚群探知のためにも使われる。上場予備軍と言われる日本企業がいくつかある。東証は22年12月から宇宙などの新市場開拓を目指す企業の上場を支援する姿勢である。 第2の分野はデブリと呼ばれる宇宙ゴミの除去技術である。6月5日上場予定のアストロスケールホールディ

【投機の流儀 セレクション】「悪い円安」論のレベルに一旦は入った

円安騒動の陰で、植田総裁は連続利上げに向けた布石を着実に打っていると思う。円安に追い込まれたフリをしながら、金融政策の正常化への脱出の舞台を整えるというタヌキ植田総裁の高等戦術が透けて見える。 「2%インフレ」が2023年に実現して、アベノミクス時代から10年間の力投で達成できなかったものが海外要因からのマグレで成立し、これを「基調的な物価上昇率」という表現を植田総裁はするが、この言葉は分かりにくい。 「2%目標」が達成された喜びなのか、将来の不安を宿し、異常金利の脱出とし

【投機の流儀 セレクション】今の相場の基本的なトレンド

2020年3月19日に大底を付けた「コロナショックの大暴落」から1年強で1.8倍になった相場は、1万円の大台を2度超えて1.8倍だったから、或る意味で「大相場」だった。これはコロナショックを収めるために多くの流動性を世の中に出した、このコロナ流動性の相場である。故に、仮称「コロナショック流動性相場」としておこう。これが約1.8倍になって30700円でダブルトップを突いた後、約2年強の往来相場があり、2023年5月から28000円どころを起点として、新しい相場が始まったと見る。

【投機の流儀 セレクション】日本企業の「稼ぐ力」底上げ

日本は言うまでもなく、エネルギーの殆どを輸入に頼るため、資源価格が上昇すれば輸入物価が押し上がる結果になる。2021年4月以降、輸入価格は前年比2桁ペースで上昇した。ところが最近、日本企業が海外貿易で受けるコスト高の圧力が緩んできたという(日経新聞8月10日号)。 そうなると、設備投資や賃上げに勢いがつく。「成長と分配の好循環」が生まれる。これを岸田政権が標榜し出してから1年半を経て、その兆しは見えてきた。「30年ぶりの賃上げ」「過去最高のボーナス」「設備投資に弾み」が現象

【投機の流儀 セレクション】現状の株式相場の三大問題

言わずと知れた、①FRBの利上げと量的引き締め(QT)、②ウクライナ戦線、③コロナ、ということになろう。これについて簡潔にまとめたい。 FRBの利上げと量的引き締め。これについては本稿6月5日号第1部(10)「米利上げと株式相場について考える」で考え方を略述したので本稿では割愛する。 ウクライナ問題について。これは「米国の軍産複合体による創出の面が強い。ウクライナ戦で巨大利益を得ているのは米国である。米国が意図的に誘発した戦争だと言える」これは植草一秀氏の見方である(スリーネ