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投機の流儀 セレクション

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メールマガジン配信大手の「まぐまぐ」で好評を博し、堀江貴文氏(ホリエモン)と並んで2年連続「メルマガ大賞」を受賞、殿堂入りした週報「投機の流儀」。 人生の前場をセルサイドとして、… もっと読む
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#投資

【投機の流儀 セレクション】投資の「終活」をどう進めるか?

これは日経ヴェリタス紙4月14日号の2頁を割いた記事の文言である。認知症への備え・相続への備え・高齢になった際の投資をどう整理するかという問題であるが、これは人それぞれによって違うから一概には言えない。 証券保管振替機構によると、個人株主全体に占める比率は60歳以上が43%だという。金融庁は75歳以上の高齢者に対する勧誘・販売ルールを設けている。75歳以上に対しての投資は役職者による事前承認が必要だという具合である。認知症と診断された場合には証券口座は凍結され、家族であって

【投機の流儀 セレクション】大幅下げがあっても、右往左往しない方がいい。むしろ、買い場探しだ

先々週末5日(金)は一時、日経平均900円幅を下落した。今年二番目の下落だった。米景気は底堅いとされ、インフレは沈静化するとし、日本はメガトレンドの変化を買う相場だとしてきたが、この楽観相場は一瞬冷や水を浴びた形であった。 しかし、本稿では「3ヶ月で7000円上がった分のスピード調整だ。値幅調整ではなく、時間調整であり、日柄整理だ」と4月7日号でも述べ続けた。原油の一段落で、シナリオの修正を迫られた投資家もいたかもしれない。そうなると、瞬間的にパニックに入ったかもしれない。

【投機の流儀 セレクション】今はバブルではない。自分が儲けていない人々が、嫉妬でバブルというだけだ。「嫉妬は正義の仮面を冠って主張される」

日本は今年になってから年初来7000円幅を上昇して、他の先進国の市場を上上回った。それは決して説明できない上昇ではない。平成バブルの時に比べて経常利益は3倍近い。PERは16倍前後で、89年バブル当時の4分の1である。PBRは当時の3分の1である。バブルが崩れて一番底を付けた後の95年と比較するとしても、一株当たり利益は当時の8倍ある。決して不合理な値段ではない。また、日本株を支える基本的な要因も不合理なものではない。 一つは明らかに数字で出ている春闘である。昨年、春闘が3

【投機の流儀 セレクション】日経平均が史上最高値を付けた2月末の投資部門別売買動向における奇妙な風景

日経平均が史上最高値を付けた2月末における投資部門別売買動向には奇妙な風景が見られた。証券会社が自社の資金で自社に帰する損益で売買することを「自己売買」略称「ジコバイ」と言われているが、これは2月第3週で自己売買は5077億円の買い越しとなった。 一方、海外投資家は786億円の売り越し、個人投資家も918億円の売り越しとなった。これは東証の投資部門別売買動向の発表の数値であるが、証券会社が自らリスクをとって最高値近辺の日本株を大幅に買い越したという見方はしない方がいいと思う

【投機の流儀 セレクション】史上高値更新は通過点に過ぎない。「34年2か月を要した壮大なダブルボトム」を脱したが、どんな長期大相場でも必ず中間反落はある。乗り遅れた筋は、そこを買おう。

週末の22日(木)は4営業日ぶりに大幅反発し、837円幅を上げて、史上最高値を34年2ヶ月ぶりに更新した。 さしたることではない。メディアが大騒ぎしているだけに過ぎない。変化は昨年から始まっている。 34年2ヶ月を費やして 1.2003年の7600円(不良債権山積みという、国内要因による日本経済の大底)を一番底とした。 2.小泉郵政改革相場で、日経平均は約2倍半になった中間反騰を経た。 3.アメリカ発の海外要因によるリーマンショックで、2009年に7000円まで下がり、

【投機の流儀 セレクション】今の相場付きは、後年「半導体バブル相場」とあだ名とされる相場付き

昨年4月までの1年以上に及んだ大保合を離れて以降、今日までの経緯を見ると、1.TOPIXと2.「日経平均から半導体関連10銘柄を除いた価格」との両者は約20%上がった。 それに対して、3.「半導体関連株(ソニー・東京エレクトロン・信越化学・スクリンなどの10銘柄)で合成し、22年末を100とした指数」は、昨年春の大保合離れから約60%上昇した。 ここで判ることは、1番と2番が3番の半導体関連株の大幅高に引っ張られた株高だと言える。しかも、それらは時価総額が大きいから日経平均

【投機の流儀 セレクション】「バーナンキショック」とか「バフェット効果」というが、或る著名人の発言で大相場が生まれるということはない。

年初から1ヶ月弱で、上昇幅は3000円幅を超えた。この調子で行ったら、年末には6万円を超えてしまうことになる。本稿が昨年から述べている「5年内で6万円」の比ではない。 しかし「年末には6万円を超えてしまう」なんてことはないし、またあってはならない。 去年の3月の東証の企業経営改善要請に加えて、その直後にW・バフェット氏が来日して、商社株の買い増しを発表し、そこで火がついた形になっていたので、これを「バフェット効果」などと呼ぶ筋もあるが、冷静に考えれば著名人の発言によって大相

【投機の流儀 セレクション】「もしトラ──トランプリスク」どんなことになるだろう?

海外要因で最大なものがトランプの再選であろうと筆者は考える。米国のアジア外交は大きく転換するだろう。トランプ流の実業界の経験、つまり相対(あいたい)取引で二国間取引が盛んに行われるだろう。 トランプは北朝鮮の金正日と大統領在任中に3回会った。バイデン政権になってから北朝鮮は対米強硬路線を強め、今や米国に到達するICBMを保有するようになった。トランプは就任後、4回目の北朝鮮会談を仕掛けるだろう。そして、韓国に置いた米軍を引き揚げると言うだろう。そうすれば日本が脅威に遭遇する

【投機の流儀 セレクション】「This is Japan」という銘柄は間違いない

「出口戦略の時機に迷う日銀」「動けぬ日銀」「悩み多き時機を抱えた日銀」 これを株式市場は見透かしているかのように見える。 おそらく4月の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除を決めるだろうと筆者は予想している。そしてその後、割合に早い段階で0.25%程度の利上げに踏み切るであろう。何度も述べるが、これは本当のところ「脱デフレ宣言」の意味であり、当然に今春の春闘がインフレを上回る賃上げが進むと見て「成長と分配の好循環」が動き出したことを認定したことになり、日本経済にとって

【投機の流儀 セレクション】株がヒトを変える

新NISAが1月から始まった。 1.1800万円の生涯投資枠ができた。 2.非課税期間が無期限になった。 失礼な憶測ながら、投資初心者の多くは、目的やライフプランに即した資産運用ができていない人が多いと思う。本稿の読者の皆様はお子様に基本的な方針を教えておくべきであろう。もちろん、そうしておられる方が多いだろう。 「例えば、毎月3万円積み立て、運用利回りを年5%とすれば、20年後には1190万円となる。40年後には4350万円となる」(日経ヴェリタス紙1月7日号)。 人生

【投機の流儀 セレクション】2024年相場を考える──超長期で見れば上昇志向ではあっても大きな反落が何度も起きる

2024年を考えると 1:3月期の上場企業の純利益は前期比13%増の見込み。 2:春闘の賃上げも昨年以上のものが見込める。 超長期で言えばメガトレンドの変化によって30年間下降し続けた日本が復活するものと考 えるが、そのプロセスで大きな波乱が何回も何回も起こるであろう。アベノミクス大相場の7年間で日経平均は2.8倍になったが、その期間に15%前後の下げは7回あった。15%と言えば今のレベルに当てはめれば日経平均5000円位に相当する。 24年1月現在、今ほど国内外の波乱要因

【投機の流儀 セレクション】中小型株厳選で行くか?「勝ちやすい所で勝つ」か?

 先々週までの日本株式市場は、輸出関連株が下げた。これは言うまでもなく、米金利低下→円高警戒→輸出関連株を敬遠という経路をたどった。 総じて2023年いっぱいは円安、米景気好調、海外投資家買いの拡大→大型株に有利の投資環境→中小型株には向かなかった。 大型株に対する中小型株の劣後は、TOPIX100(時価総額と流動性の大きい上位100社で構成される)が23年年初から12月4週まで25%上昇した一方、TOPIXスモール(小型株で構成される)は19%高と劣後したが、それどころで

【投機の流儀 セレクション】首相の愚策──英国政権の愚策を学んでいなかった? 標榜する政策を力強く説明できてない

国の一般会計の税収が昨年度の71兆円を超えて、過去最高を更新した。これを背景に、この税収増を「国民に還元する」という言い分で所得税減税を掲げた。そして、その本意は「デフレからの完全脱却を成し遂げるため」と謳った。この謳い方はなかなかいい。 ところが、やったこと自体は人をバカにした愚策であり、もうちょっと褒めた言い方で言えば歴史に学んでいなかった。経済対策ではなく、選挙対策だと見透かされるがオチだ。このぐらいのイロハのイが分からなかったのだろうか? 現にイギリスのトラス政権は

【投機の流儀 セレクション】「解散風、のち不発」の迷走

この迷走は6月と今回で二度目だ。「解散できない首相」と言われるようになった。衆議院の解散権は首相の伝家の宝刀である。 伝家の宝刀の使い方は以下のような例がある。 7年8ヶ月の長期在任した佐藤栄作元首相だが、その間に「第二の昭和恐慌」と言われた「昭和40年不況」を戦後初の赤字財政で乗り切り、戦後最長の「いざなぎ景気」を作出した。その後、彼はこういった。これは政界の常套語になったような気がする。「首相の権力は内閣改造をやるほど下がり、衆議院解散をやるほど上がる」というのである。