マガジンのカバー画像

投機の流儀 セレクション

306
メールマガジン配信大手の「まぐまぐ」で好評を博し、堀江貴文氏(ホリエモン)と並んで2年連続「メルマガ大賞」を受賞、殿堂入りした週報「投機の流儀」。 人生の前場をセルサイドとして、…
運営しているクリエイター

#ウクライナ

【投機の流儀 セレクション】ウクライナ侵攻に際してしっかり身に付けておきたいこと

ウクライナ侵攻で世界は「経済の時代から政治の時代に移った」とする議論が出ているが、これは物事を総合的に考えようとしない人たちの愚論であるということだ。 物事を経済・政治・軍事・外交などと分けて科目として独立して考えたがる人達の思考壁である。全て大国の興亡は経済の衰退によって起こった。古代ローマから古代中国の王朝、近世欧州の王朝、近代も現代も全て経済の衰退から国家は衰退し、場合によったら滅びる。ソ連崩壊はイデオロギーに負けたのではなく、やはり内部経済の衰退から来た。戦争と軍事と

【投機の流儀 セレクション】かつての冷戦と根本的に違う「新冷戦」

かつての冷戦時代は明確なイデオロギー対立であり、グローバリズムという厄介なものがなかった。東と西では輸出入も遮断されていた。旧ソ連が崩壊した後、帝国主義に代わるグローバリズムが盛んになり問題は複雑化した。平和を望まない者などいないが「外敵から身を守るための財政的な余力を残しておくという冷徹な視点なくして、持続可能で公平な発展の道を描くことはできない」(ハーバード大学のケネス・ロゴフ教授、日経新聞3月26日版読書欄から)。 ウクライナは1994年に核兵器を放棄したが、再び核保有

【投機の流儀 セレクション】ウクライナ侵攻でロシア軍が苦戦する理由

約2世紀前、プロイセンの名将クラウゼヴィッツは畢生の名著「戦争論」で「戦争とは外交以外の手腕で遂行する政治の延長である」と定義した。 プーチンのウクライナ侵攻はプーチンの政治家としての意志を外交以外の手段で(軍事力という暴力手段で)遂行しようとする行為であり、そしてクラウゼヴィッツはまた「戦争とは意志と意志との戦いだ」とも言った。プーチンは自分の政治観の意志を通すつもりの行動だがウクライナ側の意志も強固である。 ロシアの経済力は中規模国家のレベルで、製造業の生産はドイツの半分

【投機の流儀 セレクション】ウクライナの士気と西側諸国の経済制裁の強さとを読み間違えたプーチンだが、終始一貫して合理的思考に基づく

旧ソ連の軍産複合体は西側の圧倒的な経済力と技術力にはとても太刀打ちできないことをゴルバチョフ元大統領は判っていた。米国とEUを足した西側諸国の経済力は20分の1以下だということをもゴルバチョフは判っていた。 古代から現代まで、大国の興亡は戦争や革命によるものよりも当該国家の経済力による。古代ローマ帝国、古代~中世にかけての中国王朝、中世のヨーロッパの王朝、全て基本的には経済の衰退が大国の衰退をもたらしてきた。ところで、現代はGDPに占める国防費の割合が明らかであるから、軍事力

【投機の流儀 セレクション】相場操縦を長年続けてきた日本の失敗

我が国は株式相場も為替相場も金利相場も市場に当局が深く介入することが長く続いてきた。当局が介入する「官製相場」の色合いが株式市場も為替相場も国債市場にも濃い。しかも長期間に渡った。株式市場で個人が相場操縦を行うと証券取引法で犯罪になるが、日銀がやる分には堂々と行われる。日銀は2010年12月から相場操縦を始めた。白川総裁の頃だった。ETFを通じて株を買い、持ち株は今は時価総額の7%に達している。日銀が筆頭株主である会社は非常に多い。まるで社会主義国の有り様である。「日本は世界

【投機の流儀 セレクション】ロシア対ウクライナ戦の行方――「ウクライナをナメすぎた結果、ロシアの敗北が決まった」

筆者は地政学リスクに詳しいわけではないが、一人の投資家として7~8年前にウクライナの国債を短期勝負で買うという、今考えてみるととんでもない冒険をしたものだ(結果的には短期間で42%の利益で売れた)が、その時から所謂プーチノロジーと言われるプーチンについての様々な本を読んでまとめると次のようなことが言えると思う。 育ちの貧しい人が天下をとるとロクなことはない。日本史の上でも、社長にも同じことが言える。プーチンの育ちは貧しい。幼少期の彼の夢はスパイになることであった。レニングラー

【投機の流儀 セレクション】ウクライナ緊迫感、株式市場を揺るがしたが動揺は峠を越えた

ウクライナ問題は本稿で再三述べてきた。また述べるが、米露の情報戦はどこまで信用していいか判らない。レーガンとゴルバチョフとのNATO不拡大の約束は本当はなかったという話しもある。ところが、そんな事の真相を突き詰めてもあまり意味はない。我々は株式相場に対する影響を見ている。ウクライナの緊迫感はまた株式市場を揺るがす可能性はある。特にPERの高いものが売られる可能性がある。マザーズ指数は年初から30%以上下げた。成長株の下落が目立った。著名なもので言えば、リクルートの週間下落率2