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【投機の流儀 セレクション】相場操縦を長年続けてきた日本の失敗

我が国は株式相場も為替相場も金利相場も市場に当局が深く介入することが長く続いてきた。当局が介入する「官製相場」の色合いが株式市場も為替相場も国債市場にも濃い。しかも長期間に渡った。株式市場で個人が相場操縦を行うと証券取引法で犯罪になるが、日銀がやる分には堂々と行われる。日銀は2010年12月から相場操縦を始めた。白川総裁の頃だった。ETFを通じて株を買い、持ち株は今は時価総額の7%に達している。日銀が筆頭株主である会社は非常に多い。まるで社会主義国の有り様である。「日本は世界で最も成功した社会主義国である」と言われているし、かつてはマルクスが生きていたら一番褒め上げるのは日本だろうなどというつまらないジョークもあった。この為替介入によって投機的な動きによる暴騰暴落は避けられたが、それは市場の不自然さをつくり出すものである。投機的な取引は実体経済に先行して進む(何故そうなるかということは詳しく述べると3ページぐらいになるから紙面に余裕がある時に述べてここでは割愛する)。その実体経済に先行した歪みをその直後から実需がついてくれば正常なものとなるが、実需がついてこなければそれはその投機は手仕舞うだけであって目先的には暴落が起こる。しかし、それが自然なのだ。当局が介入すると市場の自然の姿を破壊してしまうことになる。そのために過去30年間、先進国の中で成長率が最も低いのが日本であり、また物価上昇率が最も低いのも日本である。物価上昇が低いということは家計にとっては有利だが、収入もまた全く伸びていないのであるから結局は適度なインフレが最良なのであって、それを上回る収入の上昇があるのが最適である。為替も官製相場的である。むしろ官製相場だと言ってもいいだろう。この十数年間で円安を作出するために当局が介入した円売りドル買いは70兆円以上にのぼったはずである。その間の日本の貿易収支は130~140兆円だったはずだから貿易黒字の半分を当局が吸収したことになる。この間の円ドルは115円と75円の間であって円売り介入の効果はほとんどなかったと言える。円高は日本人の購買力が著しく低下する。その中で原油価格が上がるから日本経済にはかなりの打撃となり家計に響く。GDPの6割を占める家計に響くと経済は収縮する。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況

(1)週初は小安く始まろう
(2)所詮は中間反騰、利食いできるものは一旦は売って手をすかせるところであろう
(3)先週木曜日の一瞬1000円高はホンモノではない
(4)海外緊迫で夜間取引活況
(5)25日移動平均との乖離、および騰落レシオ――この程度は見慣れた風景であり、異常安値というには値しない
(6)外債、国内勢が1年10ヶ月ぶりの大幅売り越し
(7)株価先行きに警戒感強い
(8)目先の底入れをどう計るか
(9)原油を始めとする資源が一斉高
(10)「冬来たりなば春遠からじ」という具合にスカッとしないが「一足一刀の間境」に常に対峙していようと呼びかけたい。
第2部 中長期の見方
(1)一行動一目的、目的の単一性、これが大事だ
(2)原油160ドル下の今年末の日経平均は?
(3)ウクライナとロシアについて考える
(4)ふたたび、ウクライナとプーチン
(5)ウクライナに気をとられている間に米のインフレは進む
(6)日本はコロナ前の水準に復帰するのが米国に比べて遅れている
(7)相場操縦を長年続けてきた日本の失敗
第3部 読者との交信蘭
(1)「21年高値から20%下げ」に関する交信:3月7日受信、7日夜、返

(2)「地方公務員T様」との交信・下線は筆者付す。(受信3月8日、返信3月8日・夜)
(3)かねてからの論客H様との交信

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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