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【投機の流儀 セレクション】ロシア対ウクライナ戦の行方――「ウクライナをナメすぎた結果、ロシアの敗北が決まった」

筆者は地政学リスクに詳しいわけではないが、一人の投資家として7~8年前にウクライナの国債を短期勝負で買うという、今考えてみるととんでもない冒険をしたものだ(結果的には短期間で42%の利益で売れた)が、その時から所謂プーチノロジーと言われるプーチンについての様々な本を読んでまとめると次のようなことが言えると思う。
育ちの貧しい人が天下をとるとロクなことはない。日本史の上でも、社長にも同じことが言える。プーチンの育ちは貧しい。幼少期の彼の夢はスパイになることであった。レニングラード大学(日本で言えば京都大学に該当するか、今のサンクトペテル大学)を卒業してはいるが、育ちの貧しい者が一人で国を動かせるとすればそれはスパイしかないと思って大学卒業後はKGBの職員になった。 彼が大統領に就任して以降、アメリカの元スパイのスノーデンがロシアに亡命した時にプーチンは言った。「元スパイという者はいない。スパイは生涯スパイだ」と。プーチンは東ドイツ留学中に東ドイツは崩壊した。ソ連に帰国してからは旧ソビエト社会主義共和国連邦が崩壊してロシアになってしまった。つまり彼は、国の崩壊を2度経験したのだ。

「ウクライナをナメすぎた結果、ロシアの敗北が決まった」
本土決戦を強いられた国が敗けた例は世界史上ただ一つ、連合国対日本の時だけであった。その他は全てが、本土を攻めた方が諦めて引き下がる。振り返れば秀吉の韓国侵攻しかり、アメリカのベトナムしかり、日本の中国しかり、ヒトラーのドイツ対ソ連しかり、ドイツ対フランス然りであったと思う。
だいたい本土を攻めに行った方が諦めて引き揚げる。
ウクライナは2014年の戦争以降、ロシアとの戦争を想定して国防の訓練に備えてきた。4000万人の国民のうちの40万人は実戦経験のある人だという。受刑者でも本人が希望すれば刑を解かれて軍隊に入れる。制空権は完全にロシアに握られているが、ウクライナはトルコから買ったドローンを駆使しているから戦死者なくして制空権に対応できる。キエフは陥落するだろうし、ゼレンスキー大統領も殺されるかもしれない。しかし、そういうことがあっても 周辺のNATO加盟国の戦闘機を借りられる。ウクライナ空軍は常時訓練を積んでいる。直ちに戦力になる。以上はロシア・ウクライナ情勢に通じている人から聞いた話しである。
ここから先は筆者の想像であるが、中国がおそらく仲裁に入るだろう。そして国際的に名声を売る。ロシアの天然ガスは欧州は買わないから中国だけが安く買える。今度のウクライナ戦で一番トクをするのは中国であろう。中国がこの激動期に台湾に侵攻することはあり得ない。習近平の計算はプーチンより賢い。
中国が仲裁に入ればプーチンも振り上げた拳の下ろしどころが決まる。盟友習近平の顔を立てて軍を撤退するということになる。これでトクするのは中国である。習近平の方がプーチンよりもウワテということになる。習近平はプーチンと違って育ちはいい。好き嫌いは別の話である。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況

(1)先週末の様相と直近の市況を測ればこうなる
(2)当面の市況:慌ただしい一週間であったが……
(3)2月の市況を振り返れば
(4)迎えるのは「突っ込みあれば自律反騰で中間反騰」
(5)ロシア対ウクライナ戦の行方――「ウクライナをナメすぎた結果、ロシアの敗北が決まった」
(6)ウクライナ問題に対する警戒感は日本と欧米ではかなり異なる
(7)防衛関連銘柄に買い
(8)「期間限定付きの強気」と先週の本稿で述べたかったがアメリカ側がロシアを国際決済銀行機構から外す処置をとるというので、これは、砲火を交えないが第3次世界大戦の形をとることになるから、急遽、目先市況観を訂正したという経緯があった
(10)「円安=輸出立国の日本は株高」とは言えない「悪い形の円安」
第2部 中長期の見方
(1)大手ファンド5社の見方は3月末の下値は2万5,000円
(2)アナリストが獲得した得点(所属会社ごとのランキング)
(3)「熟練投資家・静かな買い」
(4)「長期投資家にとっては将来の種をまく季節と言えるかもしれない」
(5)「鉄道各社、コロナ最悪期を脱す」
(6)風力発電会社の不振と関電・東電
(7)「円安は輸出産業に有利だ、輸出立国の日本にとってはトクだ」とばかりは言っていられない「悪い円安」
(8)タカ派かハト派か迷うFRB。意図的に迷ってみせるならば、それも立派な「市場との対話」であるが……
(9)日本以外の各国中央銀行は利上げ競争
(10)「長期化・複合化するインフレと困難さを増す主要国の金融政策」「日本を除く主要国の中央銀行はインフレ対策で本腰を入れ始める」
(11)キャピタルパートナーズ証券・債券アドバイザーの見解
(12)中長期の相場観を「当面の心の整理、精神衛生」を重視し、株価変動上は筆者の間違い
(13)学生時代のゼミ友との交信(EU、NATOの本部のあるベルギー駐在経験ある元バンカー)
第3部 岸田首相について思うこと
(1)岸田首相は「聞く力」よりも「聞かせる力」を
(2)『新しい資本主義」より優先すべき新自由主義の規制改革
(3)「現状は分配と成長との好循環は生じていない」(内閣府の 報告書「日本経済2021~2022」より

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
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『投機学入門 不滅の相場常勝哲学』(電子書籍)
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『会社員から大学教授に転身する方法』(電子書籍)
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その他、著書多数。以下よりご覧ください。
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