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【書評】『勉強できる子卑屈化社会』を読んだら、思い当たる節が多すぎる!

あなたは勉強は好きですか?

私は中学校は学年トップ5で、いわゆる進学校に余裕で入学。中学校までは勉強しないでも余裕で頭がいい人に君臨した。

いや、正確に言えば勉強はしてたんだけど、まあ勉強できたけど運動ができない。

ということで、頭がいい嫌味な奴と運動音痴なダメ男という烙印を押された。

今思えばお互い子供だなあと思うけど、当時はコンプレックスでしかなかった。特に勉強ができることで妬まれることに。

でも、勉強ができる人がたくさん集まる高校があると知った後は、勉強して見返してやる!との一心で勉強だけを真剣にやった。

これは勉強が好きだからではなく、勉強をしないと自分は変われないと感覚的に感じたのだろう。

で、無事進学校に合格した。ちょっとランクは下げたけどそれでもそうとう頭のいい高校だと思うし、中学の中での進路実績や直前模試の結果を読んだら、全体のトップ10には余裕で入ってた。

ところが、このような進学校へ行ったら周りの成績が高すぎる。現役で京大に合格するような人がいる所だからね。

勉強が通用せず、成績が一気に下がった。多分レベルを下げた高校だったらついていけただろうけど、まったく内容もついていけず、同級生と勉強についていけないトークをすることになった。中学生の時に話したら信じられないだろう変化だ。

でも個人的にほっとした。

もうかつてみたいに、勉強できる自分に対する周りの目を気にしなくていい。

勉強しなくなって成績が下がったことに焦るのではなく、勉強しても浮くことがなくなった環境に居られたことに喜んでいた。

そう、ここで私の学びの姿勢は一時的に止まってしまったのだ。

まあそこそこ名の知れた大学に入学するくらいにはなったから、なんだかんだで勉強してきたんだなとは思うけど。

ちなみに、高校入ってから本当に勉強しなくなって成績が下から○番目レベルに下がっちゃったけど、部活にいそしんで少しは明るくなったからか、親に勉強しろといわれる機会はむしろ少なくなった気がする。

***

「勉強とは贅沢だ、だから勉強しろ。」とかいう意見があるけど、今ならわかる。

当時の私は中学高校の勉強だけじゃなくていろいろなことを経験したかったんだ。

部活とか、修学旅行とかじゃなくて。大学のようなよくわからないけど面白い講義とか、一人旅とか、バイトとか、ボランティアとか、趣味とか、お酒とか。

お酒はともかく、大学生でようやく好奇心の赴くままに勉強することが出来たのかと思う。

一般的な就活生が将来の暗い未来を案じて就活したくないと思うように、大学で学ぶことが中学高校のように周りの視線を感じる暗い未来だと思っていたってのもあってか、勉強に力を注げなかった。

あるいは自分には勉強だけしかないと思ってたのに、社会では勉強は役立たないという風潮だから苦しくなるんだろうな。

逆に、将来は明るいと思いながら就活をすれば楽しいし、勉強は自分のためになるし楽しいと思えば、どんなことでも学びになる。

私的には、こっちを選びたい。

***

正直、私も勉強にコンプレックスを持っていたこともあるから、「勉強なんて意味がない」とか思ってしまっていた。

文学部もいらないとか思いかねなかっただろう(いや正直周りのやる気ない学生を見ると、今でも少し思ってる節はあるけど)。

こんな状況で大人になって、親世代になったら…

子どもが勉強大好きとか言ってたら…

いやはや、恐ろしい考えが浮かんでしまった。危ない危ない。

将来は勉強好きな子供に対して、「勉強より大事なことがある」と"善意"で叱るゆがんだ大人じゃなくて、「勉強できてすごい!」と素直に褒められる人になりたいな。

勉強ができることよりも、いろいろなことに好奇心を持っていることこそ評価されるべきだと思う。勉強はできるかどうかはその後についてくるし、好奇心を大切にして勉強ができないなら、それはそれでもいいと思う。

勉強できることによって、中学高校時代は勉強しかやらなかったから、あまりそういう好奇心がなくなってしまったかもしれない。

"頭がいいだけのつまらない人間"というのはそこも影響してるかもしれないな。

勉強は強制されるものというよりも、好きだから勉強するものだ。

***

個人的に好感を持ったのは、自己啓発書にありがちな「ではどうふるまうか」という”答え”がほとんど書いてないこと。

筆者の前川さんがこうなったらいいのにとか、こうしたらいいのではと思うことは書いてあるけど、完全な回答は書いていない。

勉強できる子の特徴とどう捉えられているかが、淡々と書かれている。

ある意味無責任という感じではあるけど、答えにのっとって行動するよりも、自分たちがどうすればいいか、そしてそのためにとった行動の中で意味を見出すことが必要なんだと思う。

勉強できないコンプレックスを持った人も、勉強できる人に対して苛立ちばかりではなくなるだろうし。

勉強できる子はこれをやれと言うのではなく「自分でヒントにして考えろ」という前川さんなりのメッセージ、いや優しさに思えてならない。

そしてだからといって勉強できない子を下にみることもない。

こういう”本当に勉強ができる人”に寄り添った本はなかなかないと思う。

もっと勉強しておけばよかったという後悔はきっと将来ずっと続くだろうけど、今からでも少しずつ改善したいと思った。それができそうと思えるくらいに良い本だった。

勉強できることにコンプレックスを持って悩んだ方は、是非読んでみてください。

***

それにしても、勉強嫌いになるのはまだしも、高校時代の「勉強しない自分カッコいい」とか思ってた自分は黒歴史だな…

受験勉強は意味がないとかじゃなくて、純粋に勉強しておけばよかった。

結局理科からは逃げちゃったので(数学センターは最後の最後でやっと好きになれた)、少しでもやってればな…と後悔する。

高校までの自分はいなかったと思ってしまうのも無理はない。

もし過去に戻れるのなら~~とかいう議論は不毛だけど、「バカ野郎!調子乗るな勉強しろ!」て怒鳴りながらタックルくらいはしてやりたいわ。

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