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ウィンドサーフィン三昧だった、20代

大学を卒業して、始めて就職したのが、W社だった。

東京に本社がある、業務用機器を扱うこの会社。
当時のボクにとっては、最高に魅力的な会社だった。

ボクは学生時代、ウィンドサーフィンをしており、
社会人になっても、それを続けたかった。

なんと、この会社には、ウィンドサーフィン部があったのだ。
それも、当時実業団に加入していた。

社員の平均年齢が、30代前半ぐらい。
とても若さのみなぎる、活気のある社風だったことを覚えている。

社内にはウィンドサーフィンをしている、先輩方がたくさんいた。
各部署に、日焼けをしている面々が多くいた。
彼らは確実にウィンドサーフィン部で、ボクもその一人だった。

金曜日になると、天気図が気になった。
週末はどこで風が吹くのか、午後になると、みんなソワソワしてくる。
先輩とすれ違うと、週末の風情報が飛び交った。
仕事中、窓から見える、木々の揺れ具合が気になった。

そして、仕事が終わると、
会社で借りている、ウィンドサーフィンの倉庫へと向かう。
そして、会社の営業車や資材車に、道具をみんなで乗せるのだ。
翌日、千葉方面に向かうのか、三浦に向かうのか、湘南に向かうのか、
そんな話をしながら、盛り上がる。

そして、翌日社用車はマストやボードを乗せ、海に向かう。

海で、存分に夕方までセイリングを楽しんだあと、
皆でまた会社に戻るのだ。

楽しかった。

とにかく楽しかった。

20代前半からの5年間。
ボクにとって、この会社で過ごした時間は、
かけがえの無い、財産になっている。

たった5年間であったが、その時期にこの会社にいたことは、
その後のボクの人生に、大きく影響していると思う。

ウィンドサーフィンから離れて、10年以上が経つ。
昨年の夏休み。
福祉施設の児童たちと、三浦海岸の海辺まで行った。

海には、ほとんどウィンドサーフィンの姿はなかった。
当時の海のように、あふれんばかりのセイルを見ることはない。

時代の流れを、海風に感じた瞬間だった。

今でも、ボクの心の中では、
風をセイルつかんだ時の感覚。
波しぶきを上げて、プレーニングするボード。
水面を走るスピード感と、水面を切るボード音。

あの、ゾーンに入る感覚を、忘れたことはないのだ。


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