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『アコロコタン』で学ぶアイヌ文化

 アイヌを描いた漫画――といえば、やはり『ゴールデンカムイ』になるでしょう。

 先日アップした下の記事もそこそこ反応がありました。

 私も『ゴールデンカムイ』は大好きなのですが、あくまで「野田サトル先生がアイヌをモチーフに創作した物語」であり、エンタメとして楽しむためのものです。作中のアイヌの描写には、脚色や創作も含まれます。

 一方、今日紹介する成田英敏『アコロコタン』(双葉社)は、アイヌの生活や文化を忠実に描写した作品です。

 言い換えれば、「漫画でアイヌ文化を学ぶ」という目的で描かれているのです。

 作中では、四季折々の生活、結婚、出産、子どもの成長、死と葬礼などが連作短編形式で描かれます。

 作者はアイヌ語の講師でもあり、アイヌ文化への造詣と愛着が伝わってきます。

「おいしい」は「ケラアン」

 また、後半には現代に生きるアイヌが主人公となり、差別や苦悩が描かれています。

「アオカイ アナク テタ オカイアン」
(私たちはここにいます)

 はるかな昔から生活を営みながら、抑圧や黙殺を受けてきたアイヌの人々。その生活はほとんど日本人と同化してしまいましたが、言語や伝承などを後世に受け継がなければならないと思います。

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