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菅谷館~鎌倉時代に起源を持つ名城

 菅谷館は、杉山城と同じ埼玉県比企郡嵐山町にある。最寄り駅も同じ武蔵嵐山だが、駅からの方角は逆だ。

 武蔵嵐山駅から徒歩15分程度で、傾斜はほとんどない。鎌倉幕府の有力御家人である畠山重忠の居館で、12世紀末に築かれた。中世の武家の居館跡で、ここまで保存状態がいいものは珍しいそうだ。「続日本百名城」にも選定されている。

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城全体が、土塁でぐるりと囲まれている。はっきりと戦闘を意識してのことだろう。

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三の曲輪・二の曲輪の間にある堀。右側には土塁が築かれ、高低差をつくっている。

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戦国時代になると、この地域では山内上杉氏と扇谷上杉氏の激しい抗争が繰り広げられた。現在の城郭は、山内上杉氏が整備し、防御力を高めたものと考えられる。

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曲輪から突出した土塁「出桝形土塁」は、攻め寄せる敵に効果的に矢を射かけるためにある。

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写真からはわかりにくいが、「蔀(しとみ)土塁」という仕掛けもある。西の曲輪から三の曲輪に入るところにある。虎口(曲輪への入口)を通じて、敵が曲輪の内部の様子をうかがうのを防ぐ「目隠し」の役割がある。

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知名度は高くないが、非常に見ごたえのある土の城である。近隣の杉山城・松山城・小倉城と合わせて「比企城郭群」として史跡指定されている。

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