人材教育の講師業は80歳まで働き続けられるものか
被験者H1(63歳)は、定年のない働き方を実践している。
企業に出向き人材教育の研修講師として23年。
特徴的な店舗を開業した実績を踏まえて、同種の出店に関わるコンサルティングが5年になる。
ここでは講師業について、80歳まで継続できる仕事なのかを推論していく。
企業向け研修講師としての成り立ち(どのように職を得たのか)
2000年に経済産業省推進でITコーディネーターという資格が誕生し、H1はその第1期生を輩出するためのインストラクターに応募する。
15日間の講座受講と10日間の教育体験によって、インストラクター資格を取得。
その肩書きを携え、人材教育会社の外部講師募集の面接試験を受けて、契約に至った。
人材教育会社とは講師のエージェントとしての役割を担い、企業からの研修案件毎に出講依頼をもちかける。
ある意味、ビジネス知見のある専門家の派遣会社だ。
H1の場合、講師契約の半年後に製造メーカーのプレゼンテーション研修を任された。
人材教育会社と講師とは、独占的な業務委託を結ぶわけではないため、複数社との契約が可能だ。
したがって講師が独自に営業窓口を拡げることは適うが、実績が伴わなければ契約の継続はない。(または案件依頼がなくなり自然消滅)
つまるところ、収入はまったく保証されていない。いわば不安定な人気商売といえよう。
しかしその逆にもなり得るわけで、現にH1は人材教育会社5社との間で10年以上に渡ってエージェント契約を結び今に至る。
企業向け研修講師としての現在地(稼働日数から実力を捉える)
H1の講師業において、Googleカレンダーへ記録が残る2010年9月から13年4ヶ月分の実績をまとめた。
これら実績一覧の目的は、H1の仕事ぶりを振り返って評価するのではなく、80歳までの17年に向けて現在のビジネス活動が持続できるか、その基点を呈するためである。
今後の研究においては高齢でも働き盛りでいる指標として、講師業がどのように推移していくのかを記録していくことになろう。
企業向け研修講師としての今後(80歳まで働けるのか)
人材教育会社がクライアント(研修実施先)へ教育プログラムを提案する際、併せて担当講師も紹介する。
そこでは講師プロフィールを提出し、クライアントはその人物評価を行う。
講師の実績や履歴と共に、その年齢も意味を持つことになる。
講師と直接会っていない段階で、60歳を超える齢を目にしたクライアントは、自社内に在籍する定年間近の人物を想起するかもしれない。
案件依頼時に50代までの講師というリクエストがあるかもしれない。
いわば新規案件での研修依頼は、60歳を境に減るものと推量される。
ただ人材教育会社の営業担当によってもたらされる、講師を推すセールストークは多大に影響する。
そのためには、これまで培った実績や評判がなくてはならないことが明白であるが、あくまでも他力本願の域といえよう。
そうした条件を鑑み、H1が80歳に至るまでの17年におよぶ働きぶりを予測してみる。
多くの受講者と対峙する立場の講師は、何よりも健康的な状態で人前に出る必要がある。
受講者からして、初対面なのにわざわざ具合の悪い人から物事を教わりたくないはずだ。
「講師=健康的な人物」が最低条件といえる。
したがって、年齢から来るイメージよりもアクティブな印象を与えられれば、その場での評価は上がる。
このフィジカルなパフォーマンスは、歳を重ねる毎に連戦連投が厳しくなると容易に想像できる。
したがって出講依頼を受けても日程調整するなどして、登壇回数を増やすことは難しくなるだろう。
ただオンライン環境における学習スタイルの拡がりは、シニア講師にとって体力面での負荷を軽減できる。
そのためにも、オンライン講義でのインストラクション能力は欠かせないどころか、アップスキリングしていくべきである。
このテーマに関する研究は、別の機会でまとめることにする。
上記のように健康パフォーマンスを維持するにも、歳を重ねながら仕事を増やしていくプランは考えられない。
現実的には、次のような経緯を思い描くのが妥当と考える。
65歳までの3年間は新規案件が段階的に減りつつも、リピート案件はそれまでの評価で維持できる。
70歳までの5年間は新規案件に期待せず、リピート案件の緩やかな下落に耐える。
70歳からは一部の研修案件は残るものの、もはやエージェントからの依頼は当てにしない。
ついては80歳までの10年を、同志に向けて自らが持つ有用な技術を提供していく後学者の指南役へと移行する。
こうした将来像を想定する限り、課題テーマの『80歳になっても人材教育の講師でいられるのか』は現在のスタンスでは否となる。
70歳からは研修現場でのプレイヤーではなく、講師業に従事する人へ役立つ役割をめざすことになろう
ところで、H1 が40年間に渡るビジネスワークを支えてきた有用な技術とは何になるのか。
それは、世代や言語のギャップを問題にしない『グラフィックスキル(図解化能力)』に他ならない。
次回からは『グラフィックスキル』の技法について修学できるように体系化していく。
グラフィックスキルのメソッドをまとめる合間には、80歳まで輝いて働くための【心】を築くイラストメッセージを綴っていくこととする。
〜 80歳まで残り6,205日 〜
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