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【全文無料:違法行為楽勝!】「無給医」と「無給公務員」に見る絶望社会


どうもこんにちは、常に桃屋のザーサイを食っているイメージがあることで定評のある、元東京大学非常勤講師、元国家公務員、とつげき東北です。

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※この記事を書くにあたり、超美味しくてすばらしいザーサイ提供社、株式会社 桃屋さんからは1円の対価も受け取っていません。本当ですよ?


全文無料ですが、一番下に有料部分を作っており、寄付していただける方はお願いします。

今回はちょっとマジメですから、以下のような発言は厳に慎んでまいりたい。
「屁が出そう、なんなら屁汁(へじる)も出そう」
「おいおいおいおい~~~~あのかわいい2次元画像どこいってん!!!」
「もしかして……ラーメンとは……神では!?」

こういった不規則発言を行うと、今回の記事の信憑性が損なわれると考えられますので、使いません。絶対に。ウコン(ほら、よく見てください、ウコンですよ? 何の心配をしているんだこのウンコ野郎!)。

与えられた課題

某SNSにおいて、私宛に、「双(極性障害のアラ)イさん」と名乗る方から、以下のことが投げかけられました。
「無給医」と呼ばれている、「大学院生や研修医などで、無給又は契約に示された額より極めて廉価な対価で労働している医師」が、今回の新型コロナウイルスの関係で、危険な仕事をさせられる問題に関して、とつげきに「まとめてほしい」と依頼がありました。

少しやりとりをしたうちで、
「公務員で雇用契約も無しに無給で働いている人が居るのか? それなら大問題! 雇用契約の無い公務員は公務員なのか?」(注:以下「雇用契約」と「労働契約」の表現揺れがありますが、あえて同一のものとして話を進めます)
「世間で安定して高級取りであると思われている職種、医者や公務員が実は不合理な雇用契約も無い無給労働に追いやられていることが問題」
といった具体的な問題提起がありましたので、相手に確認のうえ、以下3点を中心に記述してまいります。
1・公務員の労働契約について
2・無給医と比較しながら
3・法令と実運用について

えっ……私の文章なのにマジメ?
やば……キャラが……。

とりあえず変な動画(クイズ法人カプリティオが日本のためにならない動画を作っている様子動画)貼っておきます。

りこ

※世の中の役にたっていないリコぴょんです。
※なお、この画像を貼ることについて、株式会社 桃屋さんからは1円の対価も受け取っていません。なんでくれへんのや、桃屋さん。

1:「公務員で雇用契約も無しに無給で働いている人が居るのか? それなら大問題!」

結論、はい。
以上です。

ソース?
いつも言われるんですよね「ソースはどこだ、ソースは」って。
お前ちゃんと食器棚見たんかと。
なんで毎回私が「リーマンショック級の特別なケースを除いて、一般的には食器棚にあるよ」って言わないとわからないんでしょうかね?
もはやソース諦めて塩でもええやん。
私、お好み焼きもソースじゃなくしょうゆ派です(情報価値の低い文字列、大変申し訳ありません。ちなみに以下は、ほんとにマジメでギャグなしです)。

ではでは、ソースを。

首相官邸に、「国家公務員制度改革推進本部労使関係制度検討委会」というものがありましてです。

首相官邸

その下にワーキング・グループという、実作業といいますか中身のある議論をする人々がおりまして、会議をやっています。

第2回資料6、論点番号1-(6)で、「公務員任用の法的性格と民間の雇用契約との相違点について、どう考えるか」というものがあります。

ここでは、「民間の雇用契約とは異なる」公務員の位置づけなどが語られており、公務員の勤務とは一体何であるかについて、主として行政法あたりの学説が記載されています。
こまけえ話は置いておきますが、2~3ページあたりで、
A 特別権力関係説……ちょっと古い考え
B 公法上の勤務関係説……AやCとする意味ねえよ。制定法によって規律された関係としてとらえればいいんちゃうん
C 労働契約説……民間と同じ労働契約としたらいいじゃん

の3つの説が取り上げられ、特にBとCの見解が対立している状況だね、とまとめられています。

結局、「雇用契約」などというものは、現在の正規職員たる公務員には存在せず、せいぜい「実質上は労働契約と見なせるのでは?」という学説が一応ある、というのが結論です。
仮に「見なせる」としても「みなし」ですから、労働契約ではありません。

最初の問いに戻ります。
「公務員で雇用契約も無しに無給で働いている人が居るのか? それなら大問題!」
このうち、「雇用契約(=労働契約)」は無い、はわかりました。

2・無給医と比較しながら

次に、公務員の中にも、無給で働いている人が存在することを示します。

無給の定義ですが、「無給医」について、例えば次のような事例があります。
ほんの一例をコピーしてきました。
・月130時間前後の勤務で大学からの給与は、月に2万円程度。別途当直あり。当直は1回1~2万円。
あらきん*弁護士さんのnote記事、「「無給医問題」の真の問題は、「労基法に従った待遇がされていな医」こと。」より)

※このあたりの記述(特に大雑把な金額の相場など)は、医師、医学博士の友人であるたなか先生 @tanaka100pcnt
をはじめ、知り合いの医師(リアル友人のほか、相互フォロワーが70名近くいます)に確認した情報も参考にしています。

例えば、月130時間(8時間×16日)で2万円、さらに当直を、月に4回(1回11時間、「寝当直」とはいえ)入れるとして、4回×1.5万円=6万円、合計で、
月174時間、8万円、時給158円です。
この程度になると「無給」と呼ぶのかと理解しました。
なるほど無給医というものが存在し、辛いのはわかりました。

他にもひどい例があると伺います。
「給与明細では賃金21万円とあったが、賃金カットが同額であるため、実質的には賃金0円である」
「毎日勤務だが、月8時間しか働いていない契約書。月給は1万2640円」
「無給で当直代のみ」
といった事例が報告されている、と医師の先生がおっしゃっていました(医療関係者専用サイトの情報で、私は確認できません)。

では、例えば国家公務員の本省に新卒(院卒)、総合職(旧Ⅰ種)で入省した場合はどうでしょうか。
これも1サンプルだけ具体的に出します。
「不幸勝負」ではないですよ。

私が東京大学で非常勤講師をしていた頃に教えていた学生さんで、経済産業省にキャリアで入省した方がいました。
4月1日からの1週間、家に1度も帰れずに業務をしていました。
ざっくりと、1日13時間、休日は少なめに考え、1週間で100時間ほど、月400時間働いていることになります。
院卒者の国家公務員の初任給は、行政職俸給表(一)における2級11号ですから、
基本給が203,600、地域手当が40,720、住居手当が最大27,000(最近28,000円に変わりました)、本府省業務調整手当約5,000円、超過勤務手当は試用期間には支給されませんが、仮に月30時間分(時給1.25倍)支給されたとして、57,263円ほどです。
合計で、
月400時間、333,583円、時給834円程度です。
そういえば私が国家公務員(本省、大臣官房配属)になって最初の2年頃、実質の時給は600円切っていましたね。
超過勤務手当が実際には出ないことを考慮するともっと悲惨で、まあ、どっちもどっちで大変ですね、ということで「無給公務員」と呼んで差しさわりないかなとは思います。

(不幸自慢をしても意味ないですが、医師は「無給医」時代を乗り切れば、年収1,000万円とか行きますが、国家公務員はそうはいきません。キャリアが35歳で年収731万円、東京大学卒の超優秀な方が最高に出世してなる事務次官の年収が2,337万円です。根拠は人事院による「給与勧告の仕組みと本年の勧告のポイント 平成30年8月7ページ。もちろん、医師と違ってバイト(アフィリエイト等を含む)は厳禁です。)

3・法令と実運用について

「給与の安さ」「額の大小」が問題ではありません。
医師はまだマシだの、もっとブラックだの、「低めあって」いても仕方がありません。

「無給」「安月給」で働かせている組織が存在し、それにより搾取されている人がいるかどうか、です。
医師にも、公務員にも、います。
公務員の場合、厳密には「超過勤務命令」を上司が出さないので「職員が自主的に残っているだけで、勤務はしていない」ということなのですが、実際にやらなければならない仕事をしていますので、無給公務です(もちろん、これをしなければ、まったく仕事が追い付かないので、人事評価で低い評価を受け、場合によっては分限免職(リストラ)にされます)。勤務命令が出ていない以上、勤務時間とは呼べず、「労災」などの認定も難しいでしょう。

最初の問いに戻りまして、
「公務員で雇用契約も無しに無給で働いている人が居るのか? それなら大問題!」
について、前段は「雇用契約も無しに無給で働いている人がいる」が真です。
後段、「それなら大問題」かというと、無給医と同じで、当事者にとっては大問題なのですが、世間的には大して問題とされていません

さて、「世間で安定して高級取りであると思われている職種、医者や公務員が実は不合理な雇用契約も無い無給労働に追いやられていることが問題」
については、私は少し一般化して「そもそも日本国というのは、憲法や法令等を守らないし、司法も検察もそれを無視したままである」という観点から、ただし、こと「労働」に的を絞って少し説明します。

ソースを貼るまでもありませんが、多くの勤務医は労働契約の、また公務員は国家公務員法又は地方公務員法の定めにより(例:国家公務員の超過勤務手当については平成二十二年人事院規則九―九七(超過勤務手当)において)、残業(超過勤務)を行った場合には、対価を支払われなければならないと定められています
ところが、額の大小はともかく、これが事実支払われていません
そして、それを病院なら院長先生が、公務員なら任命権者が、知っていて無視しています

仮に民間病院なら、訴えたら勝訴するかもしれませんが(それでも相当大変だと思いますし、その後の処遇がどうなるか……)、公務員が知事や大臣を訴えたとして(自殺でもしていない限り)、司法検察は「親方」に弱く、勝てる見込みはほとんどありません。
大臣は「国家公務員は1秒たりともサービス残業をしていない」とはっきり「国の見解」を述べている始末です。

パワハラもそうです。
医師の世界にもあると思いますが、
霞が関で働く国家公務員の28%が過労死の危険を感じパワハラ被害は34%(1万1,500人)
こういうことです。
怒鳴りまくる、職員の目の前で資料をビリビリに破り捨てる、そんなの普通ですよ。

さらにいわゆる民間の小規模「ブラック」だと、「そんなん普通やん」状態が想像できますね。誰が助けるんだ、と悲しくなります。

私は日本において、憲法や法令が容易に破られている実態、「そうするほうが得するインセンティブ」が存在している事実に深く憂慮しております。

これは話すと長くなりますので、いつかの機会に回しますけれど、「グローバリズム」というものが流行しまして、ありていに言ってしまえばこれは結局「世界中で一番安い労働者を経営者が使えるようにしよう」という極めて「資本主義的な」考えだったのです。
そして、「資本の最大化」を考えれば、必然的に、「社会の分断」と「紛争や戦争」が必要となるのです。
日本の政治やマスメディアを牛耳っているのは誰ですか。
「日本国民の大多数」ではありません。
そこにお金を大量につぎ込める誰か
です。
それを「資本家」と呼びます。
「医師は儲かりすぎ、公務員は楽をしすぎ」という報道をして得するのは、社会を分断して、大儲けしたい連中なんですよ。

そして、いざ政治家がそちら側につくと、もはや司法行政などまったく無視できてしまうんです。司法の闇に迫っていくと、それだけであまりにも、あまりにも長い文章が書けてしまうので、今回はこのあたりで……。

日本の司法や検察の実態については……「検事失格」という本をお勧めいたします。

ザーサイ食おっと!


※おまけ
新型コロナウイルスによって辛い思いをしている人がいる世の中に対する私の動画(10分弱)


ご参考

今回の件について、色々な医師の先生と意見交換をしました。
ためになったものを紹介します。

「当直金が、例では1~2万とあり、先生のおっしゃった5万円とかなり開きがあります。これは病院による運ですか?」
先生「常勤だと1~2万円、非常勤だと5万円とかですね。その人たちの多くは外で昼に五万から十万程度の仕事を週一程度、月に人によって1、2回の夜の仕事をしてることが多いですね」

先生「医学系で儲からない、というのは、理学部博士課程の院生が、学生の指導などをさせられても、月二十万などを大学から貰えないのと同じだと感じます」
「それやろ」
先生「無給医も、『それなりのバイト』をセットでもらいますので、まあ一部(大学からは無給)だけを問題視するのは違うな、と思っています。」

先生「コロナの診療をしている大学病院の大学院生がバイトを断られるケースが増えているので、本当に貧困になる!、という問題意識があると思います」
「運が悪かっただけじゃないですかねぇ。当事者として問題視することはわかるんですが、じゃあ今までの国家公務員は何だったんだよって思います」
先生「そうだと思います」
「介護職とかどれほど運悪いんですかね。医師は今までは年収2,000万円?」
先生「今までよく分からんけど美味しいチーズが食べられてた。ある日を境に美味しいチーズがなくなってた!! これはひどい!! なんとかしろ!! と叫んでる感じですね。」
「事務次官に近いレベルでもらっていた人が、コロナは危険で安い、とか言い出しても、知らんし、というのはわかります。ここにすごく違和感を覚えます。あんた事務次官よりは勉強も仕事もできねぇだろって」
先生「私もそう思います。介護職や行政職を含めた全体調整を考えないとダメだと思います」

「新型コロナは危険で無保証、と言いますが、例えば自然の大災害があったとき、市役所職員とか、もちろん消防庁職員とか、予算もないからタダ働きで人命救って、時には命失ってますよね。さすがに労災くらいは出そうですけど」
先生「ウイルスの件なら、実務上は労災になりそうですし、医師だけは安全に、というのは変な話です。全員がキチンと安全にならなければおかしいです」


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