赤い糸を、切れるかどうか。

金曜ロードSHOWにて、「名探偵コナン 『時計じかけの摩天楼』(以下「時計じかけの摩天楼」)」が放送されていて、なんだか懐かしくなったのでnoteに投稿することにしました。

このnoteは、この「時計じかけの摩天楼」を見たことがある人向けのnoteです。

映画のストーリーに関して重要なネタバレを含みますので、見たことない方は絶対見ないでくださいね。
(ちなみにコナン映画はほぼ見てきましたが、「時計じかけの摩天楼」は今見ても色褪せない名作なので是非見てほしいです)


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わたしがこの映画を最初に見たのは、映画館でした(年がバレそう)

映画のクライマックス、爆弾を解除するために最後に「青の線を切るか、赤の線を切るか」と蘭が決断しなければならないシーン。

まだ幼かったわたしはこのシーンで、何故蘭が赤を選ぶのかが理解できませんでした。

だってそのシーンに至るまで、それはもう何回も何回も蘭が「赤がラッキーカラーなんです」って言うんですよ。
何の疑いもなく、自然と赤を選べば正解なんだって思ってました。わたしが解除役だったら爆発させてます。

映画館を出ても頭に疑問符が浮かんでいましたが、一緒に見ていた母は「わたしも切りたくないと思った。やっぱそうだよね」と蘭に共感していました。ますます混乱したことを覚えています。


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それから10年くらい経ち、昨日のように再放送で「時計仕掛けの摩天楼」を見た時のことです。

わたしも、赤を切りたくないと思いました。

10年越しにようやく答えを得たような気持ちになりました。
同時に、わたし成長したんだなとか物の見方が変わったんだなとか、少し感慨深い気持ちになったことを覚えています。コナンってすごい。

切りたくない理由は、わたしの場合はなんというか、本当に感覚的なことなんですけどね。

まず「好きな人のラッキーカラー」を切れるかどうか問題ですよね。
わたしは成長してなんとなくできなくなりました。気を遣うのとはちょっと違うかもしれないけど、なんとなく切れない。
すごく言葉にするのが難しいけど、切れない。

また、最後に何故青を切ったのか、とコナンが蘭に問うんです。それに対して「だって新一と、赤い糸でつながってるかもしれないでしょ」と蘭は答えます。
幼い頃は(何ソレ)って思った記憶があります。赤い糸?何言ってるんだこの人?って。割と冷めた子どもだったのかもしれません。

これも10 年越しに「わかる…………」ってもの凄く共感できました。恐らく赤い糸云々は本気で言ってるわけじゃないんですよね。でも、赤い線が切れた姿は見たくないんですよね。分かる。めっちゃ分かる。しかも好きな人のラッキーカラーだし。

ここまで書いてもなんか明確な言葉で言い表せないこの感じ、きっと蘭本人に聞いてみても、これ以上の理由って出てこないのかもしれません。

生きるか死ぬかの選択を絶対に行わないといけないなら、自分の感情に任せた選択をしますよね。例え論理的じゃなくても。でもだからこそ、あの二者択一の選択に勝ったんだと思うんです。

ちなみに、この二者択一の瞬間に時が止まったように画面がモノクロになるんです。
そこから画面がじわじわ色付くことによってどっちが正解だったかが分かる演出なんですけど、それもめちゃくちゃいい。

正解を切ったかどうかではなく、どっちの色を切ったかどうかに重点が置かれてるのがいい。語彙が無くなってきましたね、ごめんなさい。

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何歳で見たかによって、映画の感想がこんなにも違う。コナン映画ってすごい。何歳になっても楽しめるってすごい。
昨日の放送で思い出したので、忘れないように書き留めてみました。

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でもこれだけ書いておいてなんですが、コナン映画の中で一番好きなのは「世紀末の魔術師」です。キッド好きなんで。

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