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絶交した親友にうっかり電話してしまった話

うっかり、やってしまった。その場の勢いでとか、ノリでとかで「うっかり」話したんじゃなくて、本当に「うっかり」電話してしまった。

Buletoothイヤホンで音量を調節しようとしたら、何故か絶交した親友に電話がかかって
しまった。


ちなみに最新の履歴に残っていたとか、電話帳の一番上にいたとかでもないので、何で電話がかかったのかは本当に謎だ。電話帳の整理って必要なんだなと思わせてくれた事件だった。

話を元に戻そう。うっかり電話してしまった。

慌ててすぐに切ったけど、発信履歴にはばっちり残ってしまっている。これは親友の方にも、ばっちり通知が残ってしまっているだろう。

「ごめん、間違えてかけちゃったんだよね」とかメッセージを送るべきか?
けれど向こうが無視したかった場合、無視し辛くなるんじゃないのか?
そもそも、もう私の連絡先なんて消してしまっていて、誰か分からないんじゃないか?

ぐるぐるととうしようか考えているうちに、現実逃避からか親友との思い出が頭の中を駆け巡った。懐かしいなあ、楽しかったなあ。

ああ、何でこうなったんだっけ。

*

親友とは高校生の時に出会った。同じクラスで同じ部活。詳しくは言えないが同じコミュニティに属しており、顔を合わすことも多かった。

自然と、というよりは徐々に仲良くなっていったような気がする。気づけばよく行動を共にする仲になっていた。世代がバレそうだけど「ニコイチ」と周りからも思われていた。
高校を卒業して私が県外に引越しをしても、仲は良かった。一緒に旅行したり、長電話したりした。
まるで半身のように思っていた。一緒に居て心地よかったし、考えていることも手に取るように分かった。

少しずつ、違和感を覚えるようになったのはいつからだろうか。

話をしていても引っかかることが多くなった。そうかな、そういうものかな。私はそんな風に思わないけどなあ。みたいな、今までに無い引っかかりを。
段々と、こんな子だったっけ?と思うようになった。私が好きだったあの子は、こんなこと言う子だったっけ。

何を考えているのか、分からなくなった。以前と同じように相談されたら、どう返していいか分からなくなった。当たり障り無く、応援することしか出来なくなった。

そうやって、ずっと曖昧に笑っていられたらよかったのかもしれない。
でもあっけなく、側にいられなくなった。

「絶交」という形になったとき、悲しいような、どこかで安心したような、なんとも言えない気持ちになった。

「その子も、どこかで後悔したり悪かったなって思ったりしたら、いつか落ち着いたら連絡してくるよ。私ならそうする。無かったら、そういう子だったんだよ」

親友のことを相談していた別の友達に、事の顛末を告げると返ってきた言葉だ。

そうかもな。そうかもしれない。ひょっこり、戻ってくることがあるかもな。

今回、うっかり電話してしまった時にこの言葉を思い出した。もしかしたら、これをきっかけに連絡がくるかもしれない。
というか、これで連絡がなかったら、もう元の関係に戻れることは、恐らく無い気がした。

*

折り返しは無かった。

ここでようやく、私の中で親友への思いが一区切りついた気がした。

どっちが悪かったとかじゃない。
恐らく、お互いがお互いの人生から要らなくなった。寂しいけれど、きっとそれだけのことなんだろう。よくある話だ。

この親友との話を書くかどうか迷ったけれど、一区切りついたということと、うっかり電話してしまったのが意味が分からなさすぎて文章として残しておくことにした。

とりあえず皆さん、電話帳は定期的に整理しましょう。

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