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[016] 動物の癒やす力。あるいは、ヒトはケモノとともに人間となった。

☆16日め

子どもの頃は、猫と接点がなかった。

弟が犬をほしがり、名古屋にいる親戚がブリーダーをやっていたので、毛の短いヨークシャテリアをもらって飼っていたから、犬には縁があったのだが。

といっても、特にその犬を可愛がったりはしなかったし、もちろん可愛いなとは思って、少しばかりは遊んだりしたわけだけれど、面倒を見るようなことはしなかった。

そんなで犬には馴染みがあったが、猫というものはぼくにとって、どこか遠い存在だった。

人の飼い犬なら、たまたま出くわしたときに、尻尾を振ってきたりすることもあるが、猫はそういう社会的な行動も取らないわけで。

猫との距離が変わったのは、南伊豆に住んでいたときのことだ。

ぼくは二度結婚をしているが、一人めの奥さんと結婚して三年めに、東京を離れて伊豆半島の南端近く、子浦という小さな漁村に住み着くという暴挙に出た。

そこには一年半住んで、その間ぼくは働きもせず、無為の夏休みを過ごした。

奥さんはそんなぼくにつき合い切れず、別れて別々に東京に戻ったのだった。

その奥さんが、猫好きだったから、知らない田舎で普段話す友だちもいない中で、野良猫に餌をやって友だちになった。

そうしてぼくも、猫という動物の面白さを知ることになったのだ。

猫は犬と違って、気ままな動物である。

犬のように尻尾を振ったり、ぺろぺろと舐めてきたりはしない。

けれども、猫は猫なりの距離の取り方で、こちらに対して好意を示してくれるし、こちらの愛情を受け取ってもくれる。

犬に舐められたり、「かまって、かまって!」と言われたりするのが苦手なぼくには、猫との距離感は気持ちのよいものだった。

そのとき餌をやっていた猫の一匹、たましっぽのことはこちらの記事に書いた。
https://note.com/tosibuu/n/n40925e049ec0

それで今日は、人間と動物のつき合いについて、少しばかり書きたい。

動物が嫌いな人は仕方がないが、そうでないなら、普段の生活の中で動物と触れ合う機会がない人は、気が向いたら、ぜひそういう機会を作ってみてほしいと思うのだ。

新型コロナの時代ということもあり、また日本では文化的に人間同士の接触を避けがちなこともあり、「肌を触れ合う」という経験はどうしても不足しがちになる。

「肌の触れ合い」というものが、人の心の安定には、大きな役割を持っているにも関わらず。

人間は頭で考えるだけの存在ではなく、五感で感じる存在であり、その中でも全身を覆っている皮膚によって感じる領域は実に広大なものなのだ。

そうはいっても誰カレかまわず、人間同士で触れ合うわけにはいかないから、動物にお付き合いを願うわけだ。

野良猫と友だちになってもいいし、知り合いの飼っている犬や猫に助けを借りてもいいだろう。

今どきは猫カフェも犬カフェもある。

動物のふわふわした毛に触れるときの気持ちのよさは、たぶんぼくらがまだこの体に毛皮をまとっていた頃の遺伝的な記憶に違いない。

そして動物たちは無垢の存在だ。野生の残酷さや餌をねだることはあっても、彼らの行動に打算はない。

彼らの無垢の心を、肌触れ合って体感することは、人間にとって大きな癒やしになりうる。

現代の忙しい社会にどっぷり浸かって暮らしていると、人間だけしか相手にしないことにもなってしまうけれど、人間が人間でいられるのは、長い歴史を通じての動物たちとのつき合いがあってこそでもある。

ネズミを猫に退治してもらい、犬には番犬として働いてもらい、馬や牛には重労働を肩代わりしてもらう。

そうやって動物に助けられながら、動物とのつき合いを通して、この人間社会は発達を遂げてきた。

そんな動物たちに感謝の気持ちを伝えるためにも、そしてまた新たな元気をもらうためにも、時間を作って彼らに会いに行く。

そうすれば、あなたの経験の厚みは増し、人生の幅も広がるはずというものだ。

なお、野良猫と友だちになる場合は、相手を見極めた上で、じっくりとつき合うことが必要。

中にはすぐ撫でさせてくれる猫もいないわけではないけるど、最初から人に近づかない猫もいる。

そうでなくても、初めは警戒心が強いので、できるだけ姿勢を低くし、急な動きは避けること。ゆっくり手を伸ばして、相手から匂いを嗅ぎにくるなどの行動を引き出すのがポイント。

下手に手を出すと、ひっかかれたり、かじられたりするばあいもあるのでご注意を。

みなさんの検討を祈ってこの記事を終わることにしよう。

てなことでみなさん、ナマステジーっ♬

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[みなさまの暖かいスキ・シェア・サポートが、巡りめぐって世界を豊かにしてゆくことを、いつも祈っております]


☆この記事は、ヤヤナギさんがこちら
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