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望洋亭日乗+α

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下記のごとき経過をたどり、本日より再び毎日投稿を心がけてみます。 --- 初め「文章力養成100日コース、2020.7.1 - 10.8 の100日の記録」になるはずでしたが、作… もっと読む
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戦前の日本に現代の混乱を透かし見る - 高見順「昭和文学盛衰史」

戦前の日本に現代の混乱を透かし見る - 高見順「昭和文学盛衰史」

高見順の「昭和文学盛衰史」
https://amzn.to/3D250hk
を読んでいる。

キンドル unlimited
https://tinyurl.com/u4note
で何か文学系のおもしろい本がないかと探していてたまたま見つけたのだが、なかなか勉強になる。

「昭和文学盛衰史」といっても、大正の終わりから太平洋戦争が始まる頃までの昭和初期の「暗い時代」の話であり、その頃の世相を反映して

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(29) 毎日毎日ぼくらはガラス板の。

(29) 毎日毎日ぼくらはガラス板の。

昨日はバグで文章が消え、今日はネットが一日つながらず。

そんなこんなが何かのお告げのようでもあり。

30日間の連続投稿で区切りにしようかと思っていましたが、昨日の4週間連続で一旦切りをつけることにしました。

この間の投稿はやや短めでしたが、このくらいなら毎日書き続けることは不可能ではありません。

でも、まとめて30分から1時間取って書くのは、ちょっと精神的に疲れる、というのが実感です。

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28 今日もまた道端のタンドールで火が燃える

28 今日もまた道端のタンドールで火が燃える

北インド・ハリドワルの食事情をお伝えする記事を書いて投稿しようとしたところ、アプリのバグで、中身がすべて宙に消えてしまいました。

頭の中から復旧するのは諦めて、今日の記事はこれだけにします。

それではみなさん、ナマステジーっ♬

☆誤字・打ち間違い陳謝、ご指摘歓迎。サポートもよろしくご検討くださいませ。
#随想詩 #短編小説 #エッセイ #コラム #望洋亭日乗

27 餡入りのかりんとうはあるか? 象の頭を持つガネーシュ神が、ヒマラヤから降りてくるぞ。

27 餡入りのかりんとうはあるか? 象の頭を持つガネーシュ神が、ヒマラヤから降りてくるぞ。

数日前からお寺の聖なる炉であるドゥナーの脇に、ガネーシュ神の像が飾られてライトアップされている。

(日本ではガネーシャと呼ばれるのが普通だが、北インドでは最後の母音である「あ」の音が落ちてガネーシュと呼ばれるのが普通なので、ここではガネーシュと書かせていただく。ちなみにネパールにある山の名は、日本語でもガネーシュ・ヒマールかガネッシュ・ヒマルと呼ばれている)

日本には馬頭観音というものがあるが

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26 北インド、ハリドワル、2021-09-13月曜、朝9時8分

26 北インド、ハリドワル、2021-09-13月曜、朝9時8分

ヒンズー寺の巡礼宿に滞在している。部屋から一歩扉の外に出ると、ベランダの向こうに空き地が広がっている。

と書いて、これはベランダというのだろうか、と思う。部屋の入り口の外の共用の通路は、日本ではベランダと呼ばないかもしれない。

けれどもインドの人たちはそこに洗濯を干すのだし、場合によってはプラスチックの椅子をおいて寛いだりもする。だからここはベランダだ。

借りている部屋は通路の一番はじの角部

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25 炎の儀式、煙の儀式。そして謎の女・箕奈ミナコの話

25 炎の儀式、煙の儀式。そして謎の女・箕奈ミナコの話

トップ画像の中央、炎の向こうには、インドの三大神、ブラフマ、ヴィシュヌ、シヴァの三位一体の生まれ変わりである神人、ダッタトレーヤ尊者が鎮座ましましておられます。

昨夜の神を讃える儀式(アルティといいます)を執り行なっている最中に、丁度停電になったため、普段はお目にかかれない、闇の中、灯火だけが辺りを静かに照らす、厳粛な場面が訪れたのでした。

わたくしが寄宿している北インド、ハリドワルのベーロウ

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24 安住の地を求めて

24 安住の地を求めて

ぼくの人生は、行き当たりばったりです。

多数派の流れからは距離を取りながらも、何となく周りの流れに、適当に合わせたり、適当に逆らったり、巻き込まれたり、流されるままに沈没したり、そんなことを繰り返しているうちに、もうじき57歳の誕生日を迎えます。

そんなぼくですから、安住の地を特に求めているというわけでもないのですが、インドに長くいて、環境中の化学物質に起因すると思われる体調不良に悩まされてい

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23 青空の下で懸案がひとつ解決

23 青空の下で懸案がひとつ解決

北インド、ヒマラヤの足元にしてガンジス川のほとりの聖地ハリドワルは、昨日今日とよく晴れて陽射しが暑い。

とはいえ、西日以外はほとんど入らない巡礼宿の部屋は特に暑くなく、気候は快適である。

パンデミックによるビザ延長措置が、あれこれ変わって、今月末の出国を前に、exit permit というものが必要になり、先月末に奥さんの分と合わせ、2通の申請をネットでしていた。

これがなぜか、ぼくの申請は

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22 心の底より湧き上がりくるもの

22 心の底より湧き上がりくるもの

しばらく前に自動筆記についての記事を書いたんだけど、昨日その記事にコメントをつけてくれた方がいて、自分にもできるでしょうか、という質問だったので、誰にでもできますよ、という意味のお返事を書きました。

そんなこともあったので、今日は特にこれを書こうというのを決めずに、浮かんでくる言葉を書き留めてみます。

パンデミックの特例で、一年以上前にビザはとっくに切れてるのに、インドでの滞在が許可されてます

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21 破壊神の寺にて。今日はヒンズー教のお勉強。

21 破壊神の寺にて。今日はヒンズー教のお勉強。

インドの三大神、ブラフマ、ヴィシュヌ、シヴァの名前はご存知でしょうか。

ブラフマは梵天として仏教にも取り入れられる世界を創造した神、ヴィシュヌは世界を維持する神で、ヒンズーがブッダを取り入れるときに、ブッダはヴィシュヌの化身であると説きます。そしてシヴァは世界を破壊して再生に導く神であり、仏教には大黒天として取り入れられています。

インドの神々は多数の名を持ち、それぞれの名のもとに化身として特

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20 ぼくはマハラジャ。そしてヒンズーの行者の呼び方について。

20 ぼくはマハラジャ。そしてヒンズーの行者の呼び方について。

「ばっばっ、しゅばどぅばぁ」
という印象的なスキャットから入って、
「あい・あむ・ばば、
あい・あむ・ばば、
あい・あむ・ばば、
あい・あむ・あい・あむ・あい・あむ・ばば」
というラップが続くかっこいい歌を、シンガポールのディック・リーという人が歌っています。

☆Dick Lee "I am Baba"

https://www.youtube.com/watch?v=iFsrAMBQbHY

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19 窓際のマンゴー樹が育てる共感力の話

19 窓際のマンゴー樹が育てる共感力の話

インドでは素焼きの器に油を入れて、そこに綿をよじった燈芯を立て、火をつけて神に捧げる。

よく使うのは直径3 - 4センチの小さなものだが、お寺などでは直径20センチに近いような大きいものも使っていることがある。

素焼きの器だから、何回かは繰り返し使うのだが、壊れないうちにその辺にうっちゃられていることも多い。

しばらく前にそんな器を拾ってきて、食べたあとのマンゴーの種をうちの奥さんが植えたも

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18 水溜りで昼寝楽しき豚の国 - なぜインドには野良豚がいるのか

18 水溜りで昼寝楽しき豚の国 - なぜインドには野良豚がいるのか

北インドのハリドワルで寄宿しているヒンズー寺は、その周りがかなり広い空き地になっていて、その一部は駐車場として使われているのだが、ある部分はほとんどごみ捨て場と化している。

そして、そこに住みついている豚の一家がいる。

なぜインドに野良豚がいるのかは、やや不思議なことである。

多数派であるヒンズー系の人々はどちらかと言えば菜食で、間違っても聖なる牛は食べない。

また2番目に人口が多いイスラ

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17 何もない場所から全ては始まる

17 何もない場所から全ては始まる

この小さな文章が、人生最後の文章になるとしたら、ぼくはここに何を書くだろうか。

だからといって、何か特別なことを書く必要などなくて、いつも通りに雑然と言葉を並べてもいいんだ。

* * *

「樹洞の主」という題名のお話を考えた。

人里からそう遠くはない山にくぬぎの巨木があって、その木には大きな樹洞(うろ)があいている。

その樹洞は一匹のたぬきの別荘なのである。

名をたぬ兵衛という。

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