Google I/Oで未来を見てきた
OK Google, どんな未来を作っていくの?
先日、Google I/O 2018へ行ってきました。
セッションや発表内容の細かなレポートは多くの方が書かれているので、
このブログでは、肌で感じてきた”Googleのこれから”について個人的感想で綴りたいと思います。
今年はAndroidが誕生して10年という記念すべき年です。
そのわりには、iPhone Xのように派手なアニバーサリー感はなく、むしろ質素な印象を受ける発表ではなかったでしょうか。
しかし私は今回の発表で、Googleが目指すAndroid OSのポジションというものを明確に示してきたように感じられました。
■Simple Clean Home Button (and Notch)
世間では、Googleも遂にAppleのコピーメーカーに成り下がったという声が上がっているこの機能。
これまで独自性を保ってきたナビゲーションバー。
戻るボタンを代表に、GoogleNow起動やタスクスイッチなど度重なる独自進化を遂げて来ました。
その結果、今回大きく刷新してたどり着いた答えは、まさかの「デジタルホームボタン」1つだけ。
スライドすると、これまでの縦方向ではなく横方向に扉が並んだタスクリスト。
更に話題のノッチをサポートすることで、まさにiPhone Xと同じインターフェイスがここにあります。
確かに機能だけにフォーカスするとコピーメーカーに見えますが、Googleの答えはそこではないと思います。
Androidが10年間抱えてきた問題とは何でしょうか。
それは、オープンソース故に、各メーカーがOSをカスタマイズして断片化が生じていることです。
Googleがどれだけ良い機能を開発し、どれだけセキュアにしたとしても、それがすぐに行き届くのは全世界の10%未満。
多くはメーカーがカスタマイズして、対応されるまではどうにもらなかったのです。
また、そのカスタマイズ手法のほとんどは、あからさまにiOSをコピーしたカスタマイズでしょう。
そこでGoogleは、自らをiOSに似せたOSを開発してみたのではないかと推測します。
これによって各メーカーは極端なカスタマイズをする必要がありません。
更に、情報強者の多くはiPhoneを使い、情報弱者はAndroidを手にしづらい状況にあります。
そういったデジタルデバイドにおける”障害”も、iOSに似てればハードルがぐんと下がります。
更に、Googleは教育においても力を注いでいます。
普段iPhoneを使っている生徒が、授業でAndroidタブレットを手にしたとき、OSの違いによって授業が捗らないといったのも問題でしょう。
Appleが教育市場に参入してきたことを考えると、もしこの判断をしているのであれば懸命でしょう。
そしてこれは最大の私見ですが、GoogleはもうスマートフォンOSにおけるAndroidにそこまで力を入れていないように感じられます。
何故なら、スマートフォンOSはもう十分に成熟し切ってしまっているから。
しかしスマートフォン市場からAndroidが消えたらどうなるでしょうか?
Androidの存在は、スマホ市場にバランスをもたらす者として存在意義を見出したのではないでしょうか。
あくまでGoogleはオープン性を変えていません。
しかし、少し歩み寄ることで、消費者たちのスマートフォンライフが改善するが有意義であることに気づいたのではないでしょうか。
あとは、各メーカーや各キャリアが、Googleのこの志に歩みよることが大事です。
そうなればきっと、Android市場は非常に健全なものに進化していくと感じられます。
■Joy of Missing Out
これまでスマートフォンOSは、たくさん使ってもらうためだけに便利で魅力ある機能を足し続けて来ました。
しかしその結果、日常生活から失われてきたものが多くあります(目を閉じて考えて見ましょう)。
世間ではそれを改善すべき、デジタルウェルビーイングの流れが強まってきています。
そしてGoogleは、自らその機能をAndroidで提供しました。
Googleが提唱するJOMO(Joy of Missing Out)は、情報社会から置いていかれることへの恐怖FOMOを逆手に取った、むしろ置いていかれることを楽しもうというメッセージです。
iOSのおやすみモードより更に強力な消音モードやアプリの利用時間設定など、OS上でデジタルダイエットを設定することができます。
実際、Android P Betaで消音モードを使ってみると、スマートフォンの存在を忘れるほど安らぎの時間が訪れました。
音だけでなく、画面上にも通知センターにも通知が表示されないというものです(オフにすると、オンにしていた間の通知がすべて確認できます)。
たったそれだけの工夫ですが、効果はあるものです。
こういった活動は賛同を得ることでしょう。
そしてこのサービスの提供こそが、Googleの次のビジネスチャンスなのだと思います。
■Smart Phone->Speaker/Display in Google Assistant with IoT and Machine Learning
今回のI/Oは、Google Assistantに関する発表やセッションが多く見られました。
アプリ開発のノウハウよりも、AIアプリ開発のノウハウが目立ちました。
レスポンシブという概念は、今や画面要素をレスポンシブにするのではなく、デバイスにおける音の有無、画面の有無に合わせて、ユーザーへのフィードバックに該当するコンテンツをレスポンシブにするというものでした。
前述のJOMOと、スマートスピーカーやスマートディスプレイの普及によって、スマートライフは”個人”から”家族”や”職場”、”公共”とった世界に拡張されていくでしょう。
更にスマートライフはスマートデバイスを脱し、Android Thingsを使ったIoTモジュールたちによって、実生活をデジタルに直結させていきます。
しかもiOSでもAndroidでも、どんな環境でもGoogleは存在し、それを繋ぐハブとしてGoogle Assistantが、スマホがそこにいなくてもあなたに寄り添い続けます。
そして世界が衝撃を受けた機能、AIが電話予約するGoogle Duplexや、Google LensといったSFから飛び出してきたようなサービスが、人間に変わって実世界のタスクをこなしていきます。
更にGoogleの機械学習技術との融合によって、障がい者の目、手、口、耳となっていくことも、LookoutやGboardで発表されています。
障がいは身体だけでなく、情報弱者や言語の壁、方向音痴といった障がいも解決し、超越していくことでしょう。
■Make good things together
前述を聞くと、Google Assistantに対してワクワクするような感覚を覚える人もいれば、まるでホラーのように感じる人もいるでしょう(僕は前者ですが)。
一方、Googleのビジネスな部分が垣間見える答えでもあると思います。
しかし、そういったオープンな繋がり合いが、世界を平和的により良いものにしていくと信じています。
そしてこれがGoogleだけでなく、未来の当たり前になっていくビジョンであり、AIを持つAppleやAmazon、Microsoftも同じく目指しているものだと思います。
しかしGoogleは既にこれらビッグネームから一歩先に進みました。
何故なら、Action on GoogleのAIアプリも、Android ThingsのIoTアプリも、すべて従来のAndroidアプリのように開発を進めることができる環境を用意しました。
そうして最終的に、Androidはスマートフォンの殻を破り、より多くのものを結びつける存在として進化し、学習し、更にもっと進化していきます。
より良いものを一緒に作り、結びつけていくために。
それがI/Oのアバンタイトルにあった”Make good things together”の答えであり、10周年を迎えるAndroidとGoogleの答えだったのではないでしょうか(この動画大好きです)。
思えば、僕のデジタルライフがGoogleに徐々にシフトしたのは、Googleなら全て情報が揃っている、不愉快な広告やメールを排除してくれる、自分のことを理解してくれる、全て繋がっている、そんな理由だったと思います。
あれから僕もかなりこの業界の知識と見方を学びましたが、今でも新しいサービスが出る度、その頃の感動を与えてくれます。
今回、I/Oに参加して、Googleのオフィスにも足を運んで思ったことは、この感覚は間違っていなかったということでした。
Googleなら、何かいい方向に変えてくれる。そんな気がします。
OK Google, より良い明日にしておくれ
ちなみに、日本ではAndroid One端末でピュアな最新Android OSを体感することができます。
日本はすっかりApple大国ですが、日常、Googleのサービスを少しでも使っている方は、たまにはGoogleの世界に飛び込んで、共により良いものを体感してみるのもいかがでしょうか。
(Android P以降では、更に国内メーカーも参入しやすく、かつてもモバイル大国復興のチャンスかもしれませんね。)
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